平井弘歌集

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- 中根龍一郎@ryo_nakane2025年3月28日ちょっと開いたかつて読んだ桜の花を見て思い浮かべるのは平井弘の歌で、少し開いた。 さくらさくら 子は生ぐさき声つたえ思い遺されたる花あかり (p.53) 平井弘のなかではかなりわかりやすく、それほど技巧的でもなく、秀歌はほかにたくさんある。ただ「さくらさくら」の初句が唱歌の引用になっていて、平井弘の歌は唱歌よりずっと強いために、「桜」から結びつく唱歌のイメージに寄生し、乗っ取ってしまう。そういうふうにしてやや異様な仕方で記憶に根を下ろし、桜を政治空間の象徴性の問題に引きずりこんでいく。桜は国体の問題と無縁ではいられない。