ひみつの森のオオカミ

7件の記録
セレンシア@febrate12026年8月15日読み終わった借りてきた絵本音楽狼以前読んで印象に残っていた絵本「レーナとヒキガエルの紳士」のクリエイターたちによる、姉妹編といった雰囲気の一冊。美しい歌を歌う娘に恋した森の狼のお話。娘は父親と暮らしていたが、父親が死に、歌いやめてしまった。娘に再び歌ってほしいと願った狼の不思議な冒険。 相変わらず暗いテイストの、大人向けの挿画ではあるが、静かなおとぎ話のような本作には非常によくあっていると思える美しい一冊となっている。おとぎ話では悪役のイメージがある狼が気高い森の王であるところがたまらない好きポイント。非常にロマンチックで甘やかな物語。誰かに贈りたくなるような一冊で、やはり深く心に残った。
けちゃっぷ@krkrkrpp2026年6月28日読み終わったこの森には、この世でいちばんおおきなオオカミがいる。 その毛皮は、雨あがりの木の幹のように黒く、目玉は満月のように金色で、森のどんな動物からも、おそれられていた。 むすめの歌声が聞こえてくると、とたんに時はゆっくりとながれだし、オオカミのこころに光がさしこむ。 しかし、ある朝を境に歌が聞こえなくなる____ 。 「黒い影のように狩りをつづけた。 歌のなくなった世界で、こころのなかは、うつろだった。」 という一文からは、”命を奪うことを生業とする者から見る光(=むすめ)のまばゆさ”と、それを知る前には戻れない、という強い渇望が見え隠れする。 そんな中、ふしぎな鈴を手にすることで、オオカミは人間の言葉を話せるようになる。むすめとオオカミの静かな逢瀬、再びこころは歌にあふれ、ウサギやシカを食べていたときよりもゆたかに、たましいがみたされていく____ 。 しかし、その”代償”も静かに、そして確実にオオカミを蝕んでいき……。 ---- 昔話風の語り口で紡がれる光と影の物語という構図自体とても好きだが、それよりも「ファンタジー世界が織りなす不思議な情景、そこに乗るオオカミやむすめの感情」の一つひとつが粒のように美しい言葉で丁寧に描かれていて、そこが自分を惹きつけてやまない。 言い方が正しい分からないが、非常にドストレートでプリミティブな美しさが宿っていると思う。 舞台設定がそう思わせるのもかもしれないが、一度知ってしまった光を渇望するオオカミの様や、それに応えるむすめを見ていると”説明するには難しい、何かやわらかいもの”が絵本という形で顕現したみたいだった。




