虫たちの家

虫たちの家
虫たちの家
原田ひ香
光文社
2016年6月16日
1件の記録
  • イネイネ
    イネイネ
    @ah-ineine3
    2026年6月21日
    本編と同時並行でおそらく誰かの過去と思われる物語が綴られているのですが、語り手は主人公ではない。では誰のことなのか…と推理してみても、作中にはヒントと言われるものが見つけられずに混乱してしまう。二回目を読んで漸く内容が頭に入ってきました。 「この場所を護りたい」という大義名分の元に創設者の一人として決めた筈のルールを易々と破ってまで他人の過去を詮索しようとするテントウムシの気持ちがどうしても分からなかったのだけど、最後まで読むとなるほど、そうしたくなるように仕向けられていたのではないか。東京でアゲハの身辺を調べていた時に出会った元演劇部の少女が「あの人は演技が上手かった」と証言していたシーンからパズルのピースが繋がってぞくりとしました。 ミツバチの母が飛び降りてしまったのはミツバチの伝え方が悪かったせいだったのでは…? とはいえ、テントウムシは母親のミツバチ母への仕打ちも知らなかったのだと思います。多分ミツバチ本人を除け者にした過去については忘れてしまっていたのではないでしょうか。いじめられたり無視されたりした側は死ぬまで忘れられないが、当事者はあっさりとその記憶を失ってしまうものだから。 母親を失い、父親の寵愛を奪われたことだけではなく色々なものが積み重なって怨みを募らせる結果になったのだと思います。 様々な理由で社会から隔絶されてしまった女性たちの物語だと思っていたが、最後までちゃんと読んでみると一人の女に全てを失われた母親とその娘による復讐劇でした。主人公こそが諸悪の根源と言われてもおかしくないような… ミツバチ・アゲハ親子についても無関係の人間まで巻き込んであそこまでやるか…と思ったらゾワゾワしましたが、まあ、家庭をめちゃくちゃにされた相手だもんな…そうなるよな… やはり会話って大事なんですね。子供時代の2人がきちんと会話して仲良くなれてたらこんな悲劇は起きていなかった筈ですから。 追記 マリアは住人に虫の名前をつけていたけど、それはたぶん生態や特徴から「こういう性格の人でこんな過去があったから」だとラベリングしているからなのだけど、パソコンを使ってはいけないというのは名前の由来など簡単に調べられてテントウムシが排除に動こうとするのを分かっていたからなんじゃないかと邪推してしまう。最も秩序を重んじていたのはきっとテントウムシのほうだったのだと。
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