奔流の海

奔流の海
奔流の海
伊岡瞬
文藝春秋
2024年1月4日
2件の記録
  • 母から借りた。読みやすいし、二人の登場人物の一人称視点が連続していくのは自分の執筆方法と近くて参考になった。総合的には好きでも嫌いでもない。絡まった紐を解いていくような面白さはあるけど、感動はしなかったかな。よかったね〜とは思った。 裕二の幼少期の食糧事情が解像度高くてきつい。そういう苦しみの中にも、良い友達がいて缶蹴りをしたりした地元があり、それを懐かしむ描写まではかなり共感できたんだけど、それ以降はあんまり感情移入できなかった。最終的にあっさりと過去を捨てたように見えたのがその理由なのかもしれない。彼は缶蹴りを懐かしむことがあるんだろうか。あのガヤガヤした地元を。思い出しもしないのかな。私は多くの苦しみを含めて地元を愛してるし捨てられない、みたいな性分だから合わなかったのかも。勿論本物の名前で本物の家族の元へ帰るって大事だし、別に不自然な描写ではない。主人公の性格にも、まさしく奔流に流され続けるようだった彼の人生にもあっている。ちゃんと正しい場所へ流れつけたのは良いことだ。 あと途中出てくる女の子の最後の手紙がつらすぎた。「そういうことをしてしまう性分」なんかではない、あなたの行動はすべて説明がつくもので、良くも悪くもありふれていて、あなたは誰からも軽蔑されるべきではないと言いたい。裕二には伝わっててほしい。 もう一人の主人公の女の子の方はあんまり好きじゃなかった。そりゃお父さん死んで可哀想なんだけど、あまり感情移入できなかった。なんというか全体的に没入できなかった感覚がある。相性が悪かったのかも。
  • み
    @arimi
    2025年2月19日
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved