日経サイエンス2025年4月号 [雑誌]

日経サイエンス2025年4月号 [雑誌]
日経サイエンス2025年4月号 [雑誌]
日経サイエンス
2025年2月25日
1件の記録
  • ぽぽ
    ぽぽ
    @wakio
    2025年3月29日
    定期購読している本誌の中でも、今号の量子力学特集は特に興味深く感じた。テーマは「観測問題」。量子論の最重要かつ難解な課題の一つであり、何をもって「観測」とするのか、また観測者とは何者かといった本質的な問いが扱われていた。過去→現在→未来という直線的な時間感覚を前提とする人間の思考では、この問題の理解は困難であり、「時間すら基盤にできない世界で論理的に考えるのは至難の業」という実感があった。まさにSF的なテーマであり、劉慈欣『球状閃電』のような量子論を題材にしたフィクションとも重なる興味を覚えた。 読解の助けになればと、自分なりに図解しながら読み進めた。観測対象と観測者、量子力学と古典物理学といった対比を視覚化することで、理解の補助にはなったが、テーマがあまりに難解であり、深い納得には至らなかった。とはいえ、そうした試みを通じて本特集は印象深い読み物となった。 もうひとつ印象に残ったのが、木星の衛星エウロパに関する観測機派遣の記事。これまでエウロパについては名前を知っている程度だったが、太陽からの距離が遠く厳しい環境ながらも、地下の海の存在などから生命の可能性が高いとされていることを知った。宇宙生命の存在というテーマに対して、初めて科学的な記事を真剣に読んだが、その内容に強く惹かれた。仮に生命が存在したとして、その生態は地球の常識とはまったく異なるものとなるだろう。その可能性に、地球の深海生物に対するようなワクワク感を覚えると同時に、スケールの大きさによるそれ以上の興奮も感じた。今後この分野について、もっと書籍などで学んでみたいと思わせる出会いでもあった。
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved