国際エピソード (岩波文庫 赤 313-2)

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RIYO BOOKS@riyo_books2026年7月11日読み終わったところがベッシー・オールデンがつくった影繪は、肝腎の侯爵の姿と一致しなかった。そしてその不調和が時として彼女を、自分でも譯が解らないくらい、苦しめた。彼が傍にいないときには、不調和は勿論大して目立たなかった。そういう時の彼は高い責任と愛すべき性質とが充分美しく結合したもののように思われた。ところがいったん眼に見えるところに坐って、いつもの快活さと單純さとで笑ったり喋ったりしていることになると、勢い彼女はより正確に測るようになり、ランベス卿の地位は堂々たるものだが、青年自身にはあまり堂々たるところがないことを痛切に感じるのだった。そういう時には彼女の想像は彼から離れて──遠く離れてさまようのだった。