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RIYO BOOKS
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@riyo_books
読了した作品の感想記事を書きます。作家が作品に込める哲学、思想、主義などを出来る限り汲み取ろうと努めています。ご覧になる方にとって、これらの記事が作品と出会う切っ掛けになれば幸いです。
  • 2026年7月11日
    国際エピソード (岩波文庫 赤 313-2)
    ところがベッシー・オールデンがつくった影繪は、肝腎の侯爵の姿と一致しなかった。そしてその不調和が時として彼女を、自分でも譯が解らないくらい、苦しめた。彼が傍にいないときには、不調和は勿論大して目立たなかった。そういう時の彼は高い責任と愛すべき性質とが充分美しく結合したもののように思われた。ところがいったん眼に見えるところに坐って、いつもの快活さと單純さとで笑ったり喋ったりしていることになると、勢い彼女はより正確に測るようになり、ランベス卿の地位は堂々たるものだが、青年自身にはあまり堂々たるところがないことを痛切に感じるのだった。そういう時には彼女の想像は彼から離れて──遠く離れてさまようのだった。
  • 2026年7月4日
    赤毛のアン
    赤毛のアン
    あたしがクイーンを出てくるときには、自分の未来はまっすぐにのびた道のように思えたのよ。いつもさきまで、ずっと見とおせる気がしたの。ところがいま曲り角にきたのよ。曲り角をまがったさきになにがあるのかは、わからないの。でも、きっといちばんよいものにちがいないと思うの。それにはまた、それのすてきによいところがあると思うわ。
  • 2026年6月27日
    気がかりな結末 (1975年) (現代の世界文学)
    それは新しい時代思想を身につけた翻訳者たちで、実務的で敏捷でどんな仕事でもたちまち片づけることのできる人たちだった。そのうちの何人かは三か国語、四か国語を知っていたが、別にそれで本質が変わるものではない。要するに若き実務家たちである!彼らには実現されなかった希望にこだわるような過去もないし、いずれも若々しい爪を光らせて仕事に立ち向かっていく。その上、馬のように筋骨たくましく、きわめて正常なる血圧と頑丈な歯とをそなえている。
  • 2026年6月20日
    斜陽 他一篇
    ああ、何かこの人たちは、間違っている。しかし、この人たちも、私の恋の場合と同じ様に、こうでもしなければ、生きて行かれないのかも知れない。人はこの世の中に生れて来た以上は、どうしても生き切らなければいけないものならば、この人たちのこの生き切るための姿も、憎むべきではないかも知れぬ。生きている事。生きている事。ああ、それは、何というやりきれない息もたえだえの大事業であろうか。
  • 2026年6月13日
    氷 (ちくま文庫 か 67-1)
    氷 (ちくま文庫 か 67-1)
    少女は強烈な寒さに耐えられず、ずっと震えつづけて、ヴェネツィアンガラスのように砕けていった。その崩壊の過程は実際に見て取ることができた。少女は次第にやせ細り、さらに白く、さらに透明に、亡霊のようになっていった。この変容は何とも興味深いものだった。少女は完全にエッセンスだけの存在となり、動くことすらなくなった。
  • 2026年6月6日
    十五少年漂流記
    十五少年漂流記
    そんな小さなことで──と思うかもしれない。だが、少年たちの生活は社会の縮図である。人間は、子供の時から、一人前の大人のように扱ってもらいたいものなのだ。
  • 2026年5月30日
    盲目の梟
    盲目の梟
    昔の人間の行動や思想、願望や習慣はこのお噺という手段を通じて、後世の人々に伝えられて来たのではあるまいか。このお噺は我々の生存にとって必須欠くべからざるものの一つなのではないか。幾千年となく、人類は同じようなことを喋り、同じようにセックスし、同じように子供じみた悩みを抱いてきたのだ。人間の一生というのは、始めから終わりまで一つの面白可笑しいお話、信じられないほど馬鹿馬鹿しいお噺にすぎないのではないか?私が今書いているのだって自分のお話なのではないか?ものを書くというのは、挫折した願望にとっての排け口であるにすぎない。所期の目的を達し得なかった願望、作家自らが受け継いだ知力の範囲内で抱かれた願望にとっての。
  • 2026年5月23日
    これについて
    これについて
    生きるとは、家庭という名の落し穴に、 生贄として落ちることとは違う。 これからの身内というなら、 少なくとも世界が父親で、 少なくとも母親が大地だ。
  • 2026年5月16日
    父帰る・藤十郎の恋
    父帰る・藤十郎の恋
    新二郎!お前はその人になんぞ世話になったことがあるのか。俺はまだその人から拳骨の一つや二つは貰ったことがあるが、お前は塵一つだって貰ってはいないぞ。お前の小学校の月謝は誰が出したのだ。お前は誰の養育を受けたのじゃ。お前の学校の月謝は、兄さんがしがない給仕の月給から払ってやったのを忘れたのか。お前や、たねのほんとうの父親は俺だ。父親の役目をしたのは俺じゃ。その人を世話したければするがええ。その代り兄さんはお前と口は利かないぞ。
  • 2026年5月9日
    創造者
    創造者
    な黄金の渚の秘宝がわがものであることを知っており、それだけが逆境にある彼の救いだった。 同じく遥かな黄金の渚で朽ちもせず待っているお前の秘宝、 無量の漠々たる人並みの死。
  • 2026年5月2日
    赤い百合 下 (岩波文庫 赤 543-8)
    赤い百合 下 (岩波文庫 赤 543-8)
    十字架が先頭を進んできた。これは慈惠會の信徒たちが覆面をかぶって、松明を手に聖歌を誦しながら、死者を墓場に運んでゆくところだった。イタリアの風習にならって、行列は夜になってから足早やに通ってゆくところだった。十字架も柩も旌旗も、人通りのまれな河岸を飛び跳ねるようにして通って行った。ジャックとテレーズとは塀のもとに身を寄せて、足早やの葬列をやり過した。僧侶や詠歌隊の稚兒や覆面のひとびとが過ぎ、この快樂の地上では迎されぬ、邪魔者の《死神》が一緒に驅けて行った。
  • 2026年5月2日
    赤い百合 上 (岩波文庫 赤 543-7)
    赤い百合 上 (岩波文庫 赤 543-7)
    十字架が先頭を進んできた。これは慈惠會の信徒たちが覆面をかぶって、松明を手に聖歌を誦しながら、死者を墓場に運んでゆくところだった。イタリアの風習にならって、行列は夜になってから足早やに通ってゆくところだった。十字架も柩も旌旗も、人通りのまれな河岸を飛び跳ねるようにして通って行った。ジャックとテレーズとは塀のもとに身を寄せて、足早やの葬列をやり過した。僧侶や詠歌隊の稚兒や覆面のひとびとが過ぎ、この快樂の地上では迎されぬ、邪魔者の《死神》が一緒に驅けて行った。
  • 2026年4月25日
    リュヴェルスの少女時代
    リュヴェルスの少女時代
    その印象は、彼が考えていた以上にずっと大きな淵をもっていた点で際立っていたのだ……その印象は少女の管理の外にあったのである、なぜなら、その印象は致命的なほど重要で意義あるものであり、その印象の意味は、彼女の人生の中に初めて他者が、名前なくあるいは偶然に仮りの名前を持った全く特性のない、憎しみを呼びさまさず、また愛を吹き込まない第三者が入って来たという点にあったからなのだ、しかし、その第三者というのは、殺すなかれ、盗むなかれ等々と語る際に、もろもろの名や意識に呼びかけつつ、戒律がヴィジョンにおいていっているところの存在だったのである。
  • 2026年4月18日
    日輪・春は馬車に乗って 他八篇
    卑弥呼の高座は二人の方へ近か寄って来ると降された。しかし、耶馬台の兵士の中で、彼らの反絵を助けようとするものは誰もなかった。何ぜなら、耶馬台の恐怖を失って、幸福を増し得る者は彼らであったから。彼らは卑弥呼と一緒に剣を握ったまま、血砂にまみれて呻きながら転々する二人の身体を見詰めていた。彼らの顔は、一様に、彼らの美しき不弥の女を守り得る力を、彼女に示さんとする努力のために緊き締っていた。
  • 2026年4月11日
    異邦人
    異邦人
    君は死人のような生き方をしているから、自分が生きているということにさえ、自信がない。私はといえば、両手はからっぽのようだ。しかし、私は自信を持っている。自分について、すべてについて、君より強く、また、私の人生について、来たるべきあの死について。そうだ、私にはこれだけしかない。しかし、少なくとも、この真理が私を捕えていると同じだけ、私はこの真理をしっかり捕えている。
  • 2026年4月4日
    ちいさなちいさな王様
    ちいさなちいさな王様
    おまえたちは、はじめにすべての可能性を与えられているのに、毎日、それが少しずつ奪われて縮んでいくのだ。それに、幼いうちは、おまえたちは、知っていることが少ないかわりに、想像の世界がやたら大きいだろう。どうしてランプに明かりがつくのか、テレビの画面に映像がうつるのか、理屈がわからないから、想像しなくてはならなかった。
  • 2026年3月28日
    ユートピア
    ユートピア
    こういってはなんですが、あなた方のご忠告に従って、信徒がキリストの律法に従って自分の生活を律するのを嫌がるのを見て、キリストの教義を勝手に歪め、あたかも鉛の物差しのようにそれを現実の世情に当て嵌め、その結果、どうにか両者が互いにうまくいっているのは賛成できません。結局のところ、どういう好結果が生じたかというと、信徒たちが前より一層安心して悪に耽けるようになったということだけです。
  • 2026年3月21日
    蒼ざめた馬
    蒼ざめた馬
    人びとはこのなかに意味をもとめているのだろうか?わたしは鎖の環をもとめているのだろうか?ワーニャは信じているのだろうか、神を?ハインリッヒは信じているのだろうか、自由を?いや、もちろん、世界はもっと単純だ。たいくつな回転木馬はくるくるまわっている。人びとは蛾のように火にむかってとぶ。焔のなかで死んでいく。なにもかもおなじことではないか?
  • 2026年3月14日
    D坂の殺人事件
    D坂の殺人事件
    ぼくのやり方は、きみとは少し違うのです。物質的な証拠なんてものは、解釈のしかたでどうでもなくなるものですよ。いちばんいい探偵法は、心理的に人の心の奥底を見抜くことです。だが、これは探偵自身の能力の問題ですがね。ともかく、ぼくは今度はそういう方面に重きをおいてやってみましたよ。
  • 2026年3月7日
    オペラ座の怪人
    オペラ座の怪人
    わたしたちはふたりだけのために、死ぬほどうたうことになるだろう。泣いているな!わたしを怖がっているんだな!だが、わたしはほんとうは悪い人間じゃない!わたしを愛してくれ、そうすればわかるだろう!わたしが善良になるために欠けているのは愛されることだけなんだ!
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