Reads
Reads - 読書のSNS&記録アプリ
詳しく見る
RIYO BOOKS
RIYO BOOKS
RIYO BOOKS
@riyo_books
読了した作品の感想記事を書きます。作家が作品に込める哲学、思想、主義などを出来る限り汲み取ろうと努めています。ご覧になる方にとって、これらの記事が作品と出会う切っ掛けになれば幸いです。
  • 2025年8月23日
    大理石像 デュランデ城悲歌 (岩波文庫 赤 456-1)
    しかし稲妻が僅かの間光っただけで消えてしまうと、恐ろしい幻影も、それが起った通りにまた消えてしまった。もとの薄明が再び部屋をみたした。婦人は前のようにほほ笑みながら彼を見たが、黙っていて、悲しげで、やっと涙を抑えているようだった。
  • 2025年8月16日
    死都ブリュージュ
    死都ブリュージュ
    ああ!中断することのないこれらのブリュージュの鐘の音、死者たちのために、休みなく大空に聖詩を歌うこの盛大なお勤め!そこからは人生の嫌悪が、いっさい空のはっきりとした意味が、徐々に迫りくる死の告知が、どんなにしみじみと感じられることか……
  • 2025年8月9日
    花・死人に口なし 他7篇
    花・死人に口なし 他7篇
    幽靈。──幽靈はゐる。確かにゐる。──死んだものが生きてゐるふりをするのだ。凋んだ花が徴臭くなつても、それは花咲き、薫つてゐた頃の思ひ出にすぎない。我々が死んだ人達を忘れないかぎり、彼等はまた歸つて来る。──彼女がもはや話すことが出來なくても、それはどうだつていゝことだ。──私は今でも彼女の聲を聞くことが出來る。彼女はもはや姿を現はさない。しかし私は今でも彼女を見ることが出來る。
  • 2025年8月2日
    ヘンリー五世
    ヘンリー五世
    今日はクリスピアンの祭日と呼ばれている。 この日を生き延び無事に帰国する者は、 この日のことが話題になるたび背筋を伸ばし、 クリスピアンという名を聞いて奮い立つだろう。 この日を経験し、老年まで生きながらえた者は 毎年その前夜祭のたびに隣人をもてなし、 「明日は聖クリスピアンの日だ」と言うだろう。 そして袖をまくり上げ、古傷を見せながら 「クリスピンの祭日に受けた傷だ」と言うだろう。 老人はもの忘れが激しい、だが他のことはすべて忘れても その日に立てた手柄だけは、尾ひれをつけて、 思い出すだろう。 『ヘンリー五世』第四幕第三場
  • 2025年7月26日
    シェイクスピア全集(24)
    シェイクスピア全集(24)
    リチャードが、涙をこぼさんかぎりにしていった言葉は いま振り返ってみれば予言に等しい。 「ノーサンバランド、お前は、従弟のボリングブルックが 私の王座に昇ってくるための梯子だ」── 神もご存じだが、あの時の私にはそんな意図はみじんもなかった、 だが、当時の状況が国家に平身低頭させ、私もやむなく 王座という偉大な権力に口づけしたわけだ。 「いずれきっと」と彼は続けて言った、 「いずれ必ず、この汚い罪は化膿してふくれ上がり、 破れて膿を噴き出す」──そう続いた言葉は、 まさしく今の状況と我々の友好関係の決裂とを はっきり予言していた。 『ヘンリー四世 第二部』第三幕第一場
  • 2025年7月12日
    シェイクスピア全集26 リチャード二世
    さあ、従兄弟、王冠をつかめ。さあ、従兄弟、 こちら側は私の手で、そちら側は君の手で。 さて、この黄金の冠は深い井戸のようなものだ、 二つの桶が代わる代わる水を満たす、 空になったほうはいつも空中に跳ね上がり、 もう一方は底に沈んで人目に触れず、水でいっぱいだ。 底に沈み、涙でいっぱいの桶は私だ、 一方のあなたは高々と昇ってゆく。 『リチャード二世』第四幕第一場
  • 2025年7月5日
    絵のない絵本改版
    絵のない絵本改版
    ヒバリが歌いながら野から舞いあがって、棺の上のほうで朝の歌をさえずりました。それから、棺の上にとまって、くちばしでむしろをつつきました。そのようすは、まるでさなぎを裂きやぶろうとでもしているようでした。それからヒバリは、ふたたび歌いながら、大空に舞い上がりました。そしてわたしは赤い朝雲のうしろに引きさがったのです
  • 2025年6月28日
    死と乙女
    死と乙女
    彼らの行動が実際に形をとる某国にあっては、自分たちの被った損傷を表に出せぬままこれとどう向き合うべきか自問する多くの人々をしり目に、己の犯した罪がだれの目にも触れる形で晒されるのではと恐れつつ生きる別種の人々がいるからだった。 アリエル・ドルフマン『死と乙女』チリ版あとがき
  • 2025年6月21日
    ブロンテ姉妹 ポケットマスターピース12
    ブロンテ姉妹 ポケットマスターピース12
    神はその創造物を通して崇拝するのが賢明である。実際、神の属性の非常に多くのもの、また神の聖霊そのものが大いに輝き得るのは、その忠実なる僕をおいて他にはない。その者を知るが、正しく理解できないとすれば、それは私自身が愚鈍であり、感受性に欠けているからである。そして、それ以外に私の心を捉えるものはない。
  • 2025年6月14日
    ひとはなぜ戦争をするのか
    ひとはなぜ戦争をするのか
    文化の発展とは、人間が理性的な存在であるという証の成果でもあります。二つの欲動に流され、権威に溺れ、人間としての理性を放棄することは、オルテガ・イ・ガセットの説く「野蛮」(barbarie)に他なりません。人間は、他者を尊重することができ、他者と意見を交わすことができます。文化の発展とは、人間が「より人間らしく」生きる姿勢の表れだと思います。現在でも続いている戦争という「文化の衰退」が、少しでも早く無くなることを祈るばかりです。
  • 2025年6月7日
    高慢と偏見新装版
    高慢と偏見新装版
    兄として、地主として、主人としての彼の保護に、どれだけ多くの人の幸福がかかっていることか、と彼女は思うのだった!どれだけのよろこびや苦痛を、彼は与える力をもっていることか!どれだけの善や悪が、彼によってなされるのだろうか!家政婦が述べた意見はすべて、彼の人格を高くするものだった。彼の姿が描かれ、その目を自分にそそいでいる画布のまえに立ちながら、彼女は、いままでにおぼえなかった深い感謝の気持ちで、彼の自分への思いを考えた。
  • 2025年5月31日
    虐殺器官
    虐殺器官
    ジャーナリズムからスルーされた虐殺の悲鳴は、ネットの海に埋もれてしまっていた。取り上げられる主要な残虐行為以外は、さして注目もされないウェブページとしてアーカイヴされているにすぎない。情報を発信するのは容易だが、注目を集めるのはより難しくなっている。世界は自分の欲する情報にしか興味がなく、それはつまり情報そのものは普通に資本主義の商品にすぎないということだった。
  • 2025年5月24日
    灰とダイヤモンド 下
    灰とダイヤモンド 下
    いま、われわれの敵は破滅に瀕している。それはヒトラーの徒党であり、人類の敵であり、人類の恥辱なのである。ドイツ軍は解体しつつあり、戦争は終わろうとしている。しかし、諸君、戦争の終結がわれわれの闘争の終結を意味すると思ったら、それは大間違いである。ポーランドのための闘争は、やっと始まったばかりなのだ。
  • 2025年5月24日
    灰とダイヤモンド 上
    灰とダイヤモンド 上
  • 2025年5月17日
    ノーベル賞文学全集〈23〉シュリィ・プリュドム.フレデリック・ミストラル.ジョズエ・カルドゥ (1971年) 詩集(抄) 心の日記抄 ミレイユ 四十唱 カロリーネナ
    ああ!眼はまなざしを失ったのか いやいや、そんなはずはない。 眼はどこかへ動いて廻ったのだ 見えない世界という方へ そして傾く星の群れは 私たちから去る、が空には住んでいるように ひとみには沈む陽が見えても それが死ぬとは真実でない 青くあるいは黒くみな愛されて美しく どこかの広大な暁に向かって開いていて 墓場のずっと向こう側で 人が閉じた眼はまだ見ているのだ。 シュリィ・プリュドム「眼」『雑詩集』
  • 2025年5月10日
    ためいきのとき: 若き夫ジェラール・フィリップの死 (ちくま文庫 ふ 22-1)
    わたくしはまた力をとり戻す時を待っている。その時はやがて来るだろう。生はいまなおわたくしの心をかきたてている。わたくしは切りぬけたいと思う、あなたから解き放されてしまうのではなしに。
  • 2025年5月4日
    シェイクスピア全集(19)
    ならば、この世が俺に与えられる喜びはただ一つ、俺より見栄えのするやつらに向かって命令し、叱りつけ、力をふるうことしかない、だから、王冠を夢見ることを俺の天国にしよう、命あるかぎりこの世は地獄にすぎないと思い決めよう、この出来損ないの体に載った頭が輝かしい栄光の冠で飾られるまでは。
  • 2025年4月26日
    雪国
    雪国
    駒子の愛情は彼に向けられたものであるにもかかわらず、それを美しい徒労であるかのように思う彼自身の虚しさがあって、けれどもかえってそれにつれて、駒子の生きようとしている命が裸の肌のように触れて来もするのだった。彼は駒子を哀れみながら、自らを哀れんだ。そのようなありさまを無心に刺し透す光に似た目が、葉子にありそうな気がして、島村はこの女にも惹かれるのだった。
  • 2025年4月19日
    バラバ
    バラバ
    磔刑男がもどって来たのだ。ゴルゴダの丘の上の彼がもどって来たのだ!その約束どおり、人間を救うため、この世界を滅ぼすために!約束どおりそれを壊滅させ、燃やしてしまうために!いまこそ、彼はその力を示したのだ。そしてバラバが彼を助けようというのだ!悪党バラバ、ゴルゴダ以来の罪深い兄弟である彼は裏切らない!いまは裏切らない!今度は裏切らない!いまは!
  • 2025年4月12日
    権利のための闘争
    権利のための闘争
    ヘルバルトが権利=法概念から排除しようとする闘争の要素は、権利=法の最も本質的な、永遠の内在的要素なのである。闘争は権利=法の永遠の仕事である。労働がなければ財産がないように、闘争がなければ権利=法はない。「額に汗して汝のパンを摂れ」という命題が真実であるのと同様に、「闘争において汝の権利=法を見出せ」という命題も真実である。
読み込み中...