邪宗門 下

邪宗門 下
邪宗門 下
高橋和巳
河出書房新社
2014年4月11日
1件の記録
  • 上巻の感想で「おそらく、集団としてハッピーエンドに向かっていくことはないだろうから、恋愛要素を絡めながら個人の物語に収斂させていくのだろうか。」と書いたが、そんな甘っちょろい小説ではなかった。新興宗教という集団を徹底的に煮詰めて煮詰めて煮詰め続け、後半は怒涛の展開だった。 終戦によって価値が転倒し、戦中は正義とされたことが戦後は不義となり、戦中は偉ぶっていた人らがこそこそ消えていく。とはいえ、支配する者と支配される者、権力の理不尽さは変わらない。価値転倒してもなお世間がそういう状況なのであれば、"世なおし"は最終手段ともいえるほどに過激化していかざるをえない。絶望的な貧困から這い出て「ひのもと救霊会」に拾われた千葉潔という人物が、結局はもう一度世間に絶望する物語だったのではないか。 「•••救霊会はたしかに<邪宗>だった。淫祠邪教の故に邪宗であるのではなく、窮極において、この世を信じえず享楽しえない人々の集団であるゆえに。」(下巻 543頁)
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