ヒトラ-にぬすまれたももいろうさぎ (評論社の児童図書館・文学の部屋)

2件の記録
はな@hana-hitsuji052026年8月8日読み終わった図書館本図書館で借りた50年くらい前の児童文学。 ヒトラーが当選する選挙の少し前から物語が始まる。 戦争とか迫害が始まる前、当たり前に不自由なく暮らしていて、こうしてヒタヒタと忍び寄ってくるものが亡命する旅の途中や逃げた国での生活描写で、誤解を恐れず表現するなら「程よく」伝わる。 住み込みで働く家政婦が何でも出来るから家事に疎い両親や、フランスで振る舞われた紅茶やぶどう酒、クリームののったケーキで満腹になった場面では、先日読んだ「砂糖の世界史」がよぎる。 ガス室などの描写はないので「ナチスドイツ」「ヒトラー」という言葉に構えすぎず、でもある家族の生活やその周辺の人たちの生活が変わっていくこと、環境の変化に適応しようとして両親、主人公とその兄にそれぞれ負荷がかかる場面で、これは子どもが読んだ時に何かが充分伝わると思った。 転校したり、言葉の通じない国の学校に通うためにそれまで家で過ごしたり、言語が理解できなくて話せないことの大きなストレス、鉛筆を買うのに辞書を持って「もっと安いものが欲しい」と子どもだけで交渉すること、両親の喧嘩、悪夢。 それでも家族が揃っていれば「つらい子ども時代」とは言えないのではないかと感じる主人公。 お金が必要なのに、お金がないどころかどんどん減っていく恐怖、偽名で出される手紙、行ってみないとわからない生活が親の肩にのしかかる。子どもはそれについて行って順応していくしかない。 多くの移民、難民の家族の心境についても考える。 死ななかったから良かったねという話ではなく、これが自分に起きたことなら?と思いが巡る。 戦争が始まらないように阻止するにはどうしたらいいんだろうか。止めなければ、と始まってから動くのでは遅い。





