ファヴェーラの漫画家

ファヴェーラの漫画家
ファヴェーラの漫画家
樽路実
萩本創八
一迅社
2025年4月25日
1件の記録
  • えこ
    えこ
    @633611600
    2025年4月30日
    漫画家になる夢をあきらめた主人公が、才能に恵まれながらも環境によって漫画家という夢を諦めようとしている少年に出会い、二人で漫画家を目指す物語 驚いたのは巻末に掲載された情報提供者の数 本作はブラジルのファヴェーラ(スラム)を舞台にしている。外国のスラム街となると、日本で暮らす日本人にとっては、ただ刺激的な舞台として消費してしまう危険性もあると思う そうではなく、真摯にファヴェーラという場所に向き合おうとしている姿勢の表れだと受け止めた 主人公の弘人が出会ったジョアンは、漫画が大好きな少年というだけでなく、目の前で人が殺されても動じず、家族を養うためにギャングになるという運命を受け入れる大人びた面がある だからこそ、「あと1年僕に時間があったらマンガカになれたのかな……?」というジョアンのセリフは痛切であり、ジョアンはただ大人びているわけではなく、生きるために必死で環境に順応しようとしていただけなのだと気づかせてくれる 環境によって夢を諦めざるをえない人がいるなかで、そんな環境に立ち向かって夢を叶えようとする二人の姿が胸を打つ ただ夢を目指す姿や漫画を描く上でのロジックが描かれているだけではなく、外国人であるがゆえのズレをどのようにチューニングするかといった要素も組み込まれていて、マンガ家マンガとしても今までにない作品になっている 萩本先生の前作『アスペル・カノジョ』は生まれもった自身の特性に向き合う物語だったが、今作では自身の生まれた環境に立ち向かおうとする物語なように感じる 立ち向かった先にどんな運命が待っているのかを最後まで見届けたい
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