戦禍に生きた演劇人たち 演出家・八田元夫と「桜隊」の悲劇
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つばめ@swallow32025年8月10日読み終わった広島の平和大通りにある"移動演劇 さくら隊原爆殉難碑"の存在は知っていたが、この本を読むまでは地方を巡りながら公演をしていた小規模な劇団なのかなと思っていた。 平和大通りや平和公園、広島市内には原爆の記念碑が多数ある。1つ1つの記念碑にたくさんの人の人生があったことを改めて考えさせられる。 戦前の演劇の歴史、演劇界を取り巻く社会情勢まで分かり、戦争の恐ろしさだけでなく治安維持法による恐ろしさも感じた。ある思想を持って活動しているというだけでなく、根拠もない疑いであんな恐ろしい目にあうなんて… 特に印象に残ったのは、 『獅子』の"人間一生のうちで本当にしたいことがあったら、その時は崖から飛び降りるつもりでせにゃならんぞ"というメッセージ 小山内薫の"俳優の為事は、人間が「人間」を創り出すことである。神でない人間が「人間」を作るのである。決して生易しい仕事ではない。普通人以上の精力、普通人以上のエネルギイがなければ、中途で参ってしまう、" 八田元夫の"平和と言われる時代にあっても、無関心にその時代の行列に並ぶのではなく、自分が正しいと思うことに向かって意志を示し続けなくてはならない。…とにかく傍観者にならないことが自分たちに課せられた義務なのだ"という戦争に対する自分自身の責任と向き合った八田さんの後世へのメッセージ。








