絶怪

3件の記録
- DN/HP@DN_HP2025年5月29日地の文に体験者からの聞き取り場面を主に台詞で挿入していく、というのはもうオーソドックスなスタイルだと思うけれど、それでフォーカスしているのは怪異自体のでも、聞き取った作家が感じたのでもなく、体験者が“そのとき”感じた恐怖なのだと感じた。それはそうだろうという気もするけれど、その体験者にフォーカスというか、寄り添った、寄り添ってしまったような、そんな実話怪談はあまり読んだことがない気がした。 それもたしかに怖いですね、と読み進めていくと中盤過ぎに現れる『海』という話が怖かった、というかその話で少し怖い体験をした、気がしている。 最初の数行で体験者の名前のブレというか、いきなり違う名前が登場して戸惑う。直後に最初の名前(の父親の話)で話は続いていくから誤植かな、とも思っていたらさらに説明なくもうひとつの名前が登場する。前者2つは下の名前、3つ目は名字だったから、ああ2人の苗字なのかな、わかりにくいなとも思ったけれど、この話はそこに叙述トリック的な仕掛けがあるのかもしれないとも勘繰りはじめる。そう思ったところで、今度は同音異義の誤字(と思う)があって、やっぱり名前も誤植だったのかもと思いながら読み進めて辿り着いた最後の数行で、ああそういうこと……? と途中まで腑に落ちてくる。わからないし、怖いな。しかし、同音異義の誤字もわざとでミスリードも誘ったうえでこの“オチ”だったとしたら、めちゃくちゃ凄いことをやっているのでは、と思う。 実話怪談で感じるわからなさというのは、確かめようがないというか、確かめる気もないのだけれど、ここで感じていたのはまた別のわからなさだったりして。ということで、インターネットで少し検索してみる。ひとつだけこの話の名前の表記に言及している感想を見つけた。しかし、そこでは不可解でわからなかった名前の数が3つではなく2つと書かれていたのだった。あれ、わたしの読んだ話だと3つだった気がしたけど、もうひとつはどこにいちゃったの、読み違い、まさか、わたしはなにか違うものを読んでいたのか、も……と、またわからなくなる。わからなくなると怖くなる。その恐怖を感じてすぐ寝た。嫌な夢をみたような気がする。昨日の夜の話。この話はそれから読み返していないから、まだわからないままだ。