新編 日本古典文学全集79・黄表紙/川柳/狂歌

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- もり@monmonpe2025年6月11日読み終わった図書館本@ 自宅6/1放送の大河ドラマの恋川春町先生でちょっと読んでみるかと思って、図書館で黄表紙本や恋川春町先生の本を探したらすぐ借りられるのがこれしかなかった^^; 古典文学全集はそもそも黄表紙本が収録されているものが少ないし(洒落本はよく収録されているけれど、式亭三馬とかだよね……)文学として昔は認められていなかったのかなぁとか思った。漫画的な感じで。 黄表紙本、面白い!しかも、セリフは挿絵の登場人物の傍にあるから漫画みたいなノリで読める!!! 文章もセリフは当時の江戸っ子がこんな感じで喋っていたんだなぁというのが分かって面白い。「うっちゃって」とか「こったぁ!」とか本当に言ってたんだ。 それはそうと故事成語だったり、経文だったり、浄瑠璃だったり、謡曲の歌詞の転用とかもあって、知識のある大人向けの作品なんだと思った。今でも漫画って大人の人が読むし、そういう感じかな。 自分は学生時代~大学で中世の頃の文章を専門に読んでいて、この時期の文章をちゃんと読むのは初めてなんだけど、超読みやすい。滑らかに読めるし、感動しちゃったよ。500年先になると、こんなに違うんだね…… 『金々先生栄花夢』結構短くてびっくり。さくっと読めるんだね。(大河でもそういやかなり薄い)鱗形屋さん凄いね~ 元の作品→後ろの解説の順で読みました。解説も面白ーい! 最後に鱗形屋さんが出てくる話とかもある。面白い。奥付をこうする(版元に挨拶させる)の面白いのでは?今でも編集さんとかのコメント必ず欲しいもんな。 読んだもの、と初心者の所感 ※江戸時代の古文をフィーリングで読んでいるので100%理解しているとは言えない(免責) 月報……『笑いは江戸の華』ねじめ正一/『世に珍しい黄表紙の世界』アダム・カバット/『粟餅の曲づき』菊池昌治 『金々先生栄花夢』恋川春町……読みやすかったし短くて面白かった。初めて読んだ黄表紙がこれで良かった。夢オチ。 『桃太郎後日噺』朋誠堂喜三二……セリフ多め。恋愛話からのファンタジーアクション?話がいきなり複雑になり、困惑。 『啌多雁取帳』奈蒔野馬乎人……今度は地の文が多い。吉原が舞台で実際に松葉屋にいた遊女とか出てきて大河勢ドキドキ。絵が歌麿。終わりの文章がちょっと好き。書くはきつい無駄。(引用) 『従夫以来記』万象亭竹杖為軽……序に春町先生の名前がいきなり!知り合いを作中に出しちゃうタイプ。未来のことを書きながら風刺きかすの、いいね。プウとかピイとかの意味がちょっとピンと来ないな。擬音?神仏習合はガッツリ予言当たってる。移動銭湯は普通に欲しい。 『江戸生艶気樺焼』山東京伝……京伝黄表紙中最高の傑作(解説より)生まれて初めてヤキモチを焼かれてるところ、可愛い。 『江戸春一夜千両』山東京伝……現代でも寓話として流行って欲しい。解説に書いてあったことを鵜呑みにするならやっぱり山東京伝は別の作品に着想を受けたものが多いんだね。大河で言ってたな。 『文武二道万石通』朋誠堂喜三二……前に読んだやつも脚本みたいだなぁと思ったけど、どんどん脚本みたいになっていく。 『鸚鵡返文武二道』恋川春町……晩年の恋川春町の印章、可愛い(盃の中に寿)。地の文が多くて安心する。すごい、BL(と言っていいのか?)のシーンがある。結構生々しい感じの。陰間との馬の稽古のシーン、ドキドキしてしまった。 長くなるのでここで。川柳も狂歌も全部面白かった!案外川柳の方が好きかも。 その他気になったこと。 浜辺黒人さんが斯波氏ってあの斯波?(後で調べる) 黄表紙の方の解説だと恋川春町先生の死因は自殺とも言われているってなっていたけど狂歌の春町先生の紹介だと「自殺した」ってガッツリ書いてある…… 酒上不埒さんの狂歌。お気に入りのやつを引用メモします。p540 "婚礼も作者の世話で出来ぬるはこれ草本のゑにしなるらん" 「ゑ」は「絵」に「縁」を掛ける。草双紙の画工の身である私が、作者喜三二の世話で婚礼が出来たのは、考えてみれば私たちが草双紙の名コンビである縁によっているようだ、との意。この春町にとっての二度目の結婚は、私生活を考える上でも重要な意味合いを持つが、草双紙、就中、黄表紙がこの二人によって大成したことを考え合わせると、一首は更に意味深長な詠となって来るが、いかがなものか。