わがスタンダール

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- CandidE@araxia2025年7月6日読み終わった作家のキャリアの長さを惟う。その歴史の激動と人生の照応、自らの論旨の変遷、言及する人物が生前の芥川龍之介から村上春樹にまで至ること。それら記憶や記録を継承すること、リレーすることの不思議が通読時にあった。 また、スタンダールへの情熱とは別に、例えば、1941年時に、「何故二十世紀は大小説を生み得ないか? 」だとか、1986年時に、1973年時点を振り返り、「日本の若者は無気力無関心となり、そもそも本というものを読まなくなった」といった嘆きの文言が散見されることで、どうしても19世紀が小説の黄金期やピークであることを、本作よりも時代の下った2025年に意識してしまう黄昏にも見舞われた。文学の黄昏の黄昏の黄昏。 これより少し寄り道をした後に、スタンダールとバルザックをいくつか読もうという気になる。夏目漱石も少し。でも本当は未知を包摂した最先端現代文学を読みたいんじゃー。そんな読書。