芭蕉雑記,西方の人 他7篇

芭蕉雑記,西方の人 他7篇
芭蕉雑記,西方の人 他7篇
芥川龍之介
岩波書店
1991年10月16日
1件の記録
  • Autoishk
    Autoishk
    @nunc_stans
    2025年7月12日
    「しかし棘のない薔薇はあっても、受苦を伴わない享楽はない。微妙にものを考えると共に、微妙にものを感ずる蘆は即ち微妙に苦しむ蘆である。この故に聡明なるディレッタントは地獄の業火を免れるために、天堂の荘厳を捨てなければならぬ。更に手短に言い換えれば、あらゆる悪徹底を避けなければならぬ。無邪気なる英雄崇拝者は勿論こういうディレッタントの態度を微温底とか何とか嘲るだろう。けれども微温底に住するの可否は享楽的態度の可否である。享楽的態度を否定するのはーー古来如何なる哲学といえども、人生の使命を闡明にするのに成功しなかったことは事実である。昔はその不可なるを知って、しかも仁を説いた孔丘さえ微温底なる中庸を愛していた。」(p.76) 芥川を読んでいると、ニーチェ的な超人思想や芸術による超越への傾斜が見られる一方で、こういう中庸の徳への志向も現れる。それでいてあのような最期に向かっていったのは徴候的と思える。
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved