PEACE WING 平和の翼

PEACE WING 平和の翼
PEACE WING 平和の翼
広島サッカースタジアム単行本制作委員会
建築画報社
2025年5月1日
1件の記録
  • 辻井凌
    辻井凌
    @nega9_clecle
    2025年7月16日
    エディオンピースウイング広島がどのように建てられたのかを明らかにした種明かし本であり、同時に思想書でもある。建築者にはそれぞれ思想がある。どんな思想でスタジアムなどの建物が建てられたのかを考えると、建築はもっとおもしろくなる。  開放的な作りをとても重視していたことがわかる。閉じられた要塞ではなく、開かれた広場だ。僕はスタジアムの異物感や要塞感が好きなのだが、日常に溶け込む空間としてスタジアムが存在できるなら、それは「サッカーを日常へ」の大きな一歩だ。  一番のペルソナを「はじめてスタジアムに来る人」に置いていた。日本のどのクラブも、今後スタジアムを建てる際にはこのペルソナを意識するのではないか。新規を取り込むか、既存に満足してもらうかのバランスを取る試みは、サッカークラブにとって永遠の課題だ。  思想が最も濃厚だったのは、仙田満が提唱した、めまい空間に基づく「遊環構造」だと思う。松浦寿輝が図書館を、共感・共有・高揚・一体化の体験を含む「めまい」をもつ空間だと書いたことに影響を受けたこの発想は、本書の中でも思想として確立された特異なものである。
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved