三ギニー

5件の記録
- comi_inu@pandarabun2025年3月7日かつて読んだオールタイムベスト買ったのは某大学医学部受験に男女差別があったのが発覚した頃だ。 100年前に記されたこの作品にも全く似たような出来事が書かれていると知り、手に取った。 コインランドリーでタオルが仕上がるのを待ちながら読んだ。 ウルフは様々な事例をあげながら「教育ある男性である貴兄」に対し、女が学ぶこと、稼ぐことで得られるものがどれほどのものなのか、このことが世にもたらす影響がいかほどのものなのか、わかりやす〜〜く(皮肉と怒りをこめて)と詰める。女が意義を唱えたり意見したりすると、感情的だとか言い方がどうとか注文がつくことは充分理解しているからめちゃくちゃ丁寧に外堀を埋めたのち、理路整然とブチギレる。その語りは雄々しく、そして悠然としている。 この本の美しいなと思うところは、解説が充実しているところだ。本編と同じくらいの量がある。ウルフが作中でものすごい量のテキストを引用していることが理由だろう。それらをひとつひとつ丁寧に拾い上げ、彼女の語りを紐解くのは100年分の時を超えたコールアンドレスポンスのようだ。 彼女が飛ばす美しい火の粉が、100年の時間を超えてわたしの胸に着地する。小さな火種から火柱が立つ。場所が夜のコインランドリーであろうと、どこだろうと関係ない。真の言葉はすべてを越えて飛んでくるのだと思い知った作品だった。