GB84 下

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デイヴィッド・ピース
黒原敏行
文藝春秋
2025年8月6日
3件の記録
  • 圧倒的だった。短い文を連ねる淡々とした文体で日誌のようにつづられる1年にもおよぶストライキの全容。しかもスト潰しを行う人々についてのサブプロットまでもが入ってどんどん切り替わっていくので物語に振り落とされそうになる。警察による徹底的な実力行使や、情報機関、アイルランド紛争で使われた人員や手法が投入を描くことで、このできごとが最初から労働組合の弱体化を目的としたものであったことが明らかにされる。こうしたことがオーウェルの『1984年』の年にそのオーウェルの母国であるイギリスで起きたことに驚愕するとともに、その後世界の各地で様々な形で資本主義が牙をむいてきたことを考えると、世界にとってのYear Zeroだったと思わずにはいられない。間に挟まれるピケッティングに参加するマーティンとピーターの独白、マイナー(とその家族)たちの苦難には心揺さぶられる。/バンド・エイドが炭鉱ストライキから人々の目をそらすものだったというのもかなりの衝撃だった。
  • 黒茶幻
    黒茶幻
    @kurochagen
    2025年8月10日
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