あの戦争と日本人

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- 句読点@books_qutoten2025年8月13日読み終わった『昭和史』の半藤一利さんによる、語りおろしの戦争史。 幕末から1945年の敗戦までをひと繋がりで見せてくれる。全て繋がっている。 特に日露戦争で辛うじて「勝利」を納めたのを境に、日本は道を間違えてしまった、とする著者の見方に納得した。そこから昭和の軍国主義、敗戦までは下り坂を駆け下りるかのよう。まさに司馬遼太郎がいった「坂の上の雲」を目指しひたすら坂を登ってきた日本が、とうとう坂の上にたどり着いたはいいが、実際には雲には手が届かないのにも関わらず、それを認めずに上ばかりを見て下(現実)を見ず、つまづいて転んでそのまま坂をゴロゴロ転がっていくようだ。 語り下ろしで、とても読みやすく面白く、かなり分厚いのに3日くらいで読めてしまった。 半藤一利さんのような、戦争経験者の語る戦前の歴史をきちんと知っておくことは、今後再び日本が道を誤らないためにも絶対に必要なことであると思う。今偏狭なナショナリズム、幻想に基づいた愛国心を説く政党が出現し、支持者もそれなりにいるようであるが、なぜあんなにも杜撰な、カルトまがいの、胡散臭い政党に人々が靡いてしまっているのだろうか。半藤さんがご存命であの政党のことを知ったらなんというだろうか。半藤さんが生涯をかけて伝えようとしてきた歴史の教訓が、ほとんどの人には伝わっていないことの表れではないか。 あの政党の支持者の発するSNS上のコメントなどを見ていても、頭を抱えたくなるくらいの不勉強、YouTubeやショート動画か知らないけどそこで摂取した誤った歴史観に基づいた薄っぺらい愛国史観を持っていることが分かる。グロテスクですらある。戦争をするということはどういうことか、負けることがどういうことか、現実をみるとはどういうことか、学ばねば。「核武装が安上がり」「南京大虐殺は無かった」「日本はアジアを侵略などしていない」などという発言を平気でするような人たちに、そしてそんな人たちを嬉々として支持する人たちに日本の平和を壊されたくない。