旅する画家 藤田嗣治

旅する画家 藤田嗣治
旅する画家 藤田嗣治
林洋子
新潮社
2018年9月27日
1件の記録
  • 勝村巌
    @katsumura
    2025年8月13日
    旅をテーマに藤田嗣治の一生をコンパクトにまとめたムック本。藤田嗣治の足跡を分かりやすく辿ることができる。その時々の代表的な作品も大きく鮮明な写真で掲載されているため、藤田の作風の変化を捉えやすい。 エコールドパリ時代と戦争画の頃では藤田の画風はかなり異なっているが、その変化がどのように現れてきたかを知るには最適の本と感じた。 藤田は第二次大戦直前くらいには群像による構想画(ミケランジェロとかみたいな感じ)を試行した作品をいろいろ書いていて、その頃には白人女性の裸婦だけではなく、多様な人種を割とがっちり、多少マニエリスム的に描く傾向を持っていた。 そういった画風が秋田の行事や戦争画に結びついていったのだと感じる。 また、戦時中の藤田の足跡を丁寧に追っているのも好印象。記録はしっかり残っていたと思うが、よく調べたな、と思う。 アメリカに押収され1970年に永久貸与の形で東近美に収蔵された戦争記録画は153点。そのうち14点が藤田の作品と考えると、藤田にとっては戦争画は壮年期に集中して大作を描いた画題と言えるのだろう。 年表などもあり、読みやすい、しっかりしたムック本でした。
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