慟哭の海峡

慟哭の海峡
慟哭の海峡
門田隆将
KADOKAWA
2017年11月25日
2件の記録
  • 読書日和
    読書日和
    @miou-books
    2025年12月10日
    先日の台湾山行でお世話になった方から勧めていただいた本の一冊。 「バシー海峡」という地名は、台北の鉄道博物館で初めて見かけたもので、今回の読書を通して初めてそこで起きた歴史の一端を知った。 先の大戦では、この海峡で10万人以上とも言われる多くの日本兵が海に沈んだという。 それほどの悲劇があったにもかかわらず、どれほどの日本人がその事実を知っているのだろうか――そんな思いが胸に刺さった。 やなせたかしさんの弟・千尋さんについては、別の書籍で読んだことがあり、大まかな背景は知っていたつもりだった。 しかし本書では弟の友人たちの証言が収録されており、初めて “実在の青年としての姿” が強く立ち上がってくる。 だからこそ、その最期を知るにつれ胸が締め付けられる。 とりわけ、やなせさんが亡くなられた日のエピソードは、静かで深い悲しみがあり、亡くなられた方々にも思いを馳せた。 バシー海峡で12日間漂流し、生還した中嶋氏の証言は圧巻だった。 「初めは何人もいた仲間が、ひとり、ふたりと力尽きて海に落ちていく。海が透明だから、沈んでいく表情まで見えた」 という言葉、どれだけ辛かったり怖かったろう。 奇跡的に救助され療養後に除隊となっても、彼は再び志願して中国戦線へ赴き、終戦を迎えた。 戦後は、一生を戦友の慰霊に捧げたという。 生き残ったこと、生かされるということの重み、大正世代の男性たちの命の扱われ方――突きつけられ胸が苦しかった。 知らないことが多すぎた。そして、知らないままではいけないと思わされた。 「バシー海峡」という一つの地名の裏に、これほど多くの無名の死と、語られざる人生があった。 本書は戦争を語るというより、忘れられた人々の声を掘り起こす作品なのだと感じた。
  • ごま麦茶
    ごま麦茶
    @g0mugi_chan
    2025年8月19日
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved