てまりのナゾほどき帳 出島と秘密の紅い石
3件の記録
花春@haru-tuge2026年9月25日読み終わった絵本・児童書面白かったー! 講談社児童文学新人賞を受賞した作品らしいけれど、納得の面白さ。 江戸の長崎で、針仕事が好きな古手屋の町娘が、芸妓の姉様からレースをもらって小物を作ったり、オランダから持ち込まれた宝石の抜け荷事件に巻き込まれたりしながら、自分のやりたいことをみつけてゆく話。 オランダ船を日常的に見ることができる位置に住んでいて自身も好奇心旺盛だけれど、当時、女性が船に乗って外国に行くなど認められるはずがない。 そういう世の中の仕組みをちゃんとわきまえているところに好感が持てる主人公だけれど、その「滅相もないことは言えんがいね」という分別が彼女の成長を妨げていることがわかる導入から、夢を見つけてそれを目指すと決めるラストまでがテーマがブレない。 自分が外国に行くのではなく、「いつか自分の作品を外国に届けたい」という夢のありかたなのも、ギリギリ叶うかもしれないラインで、落としどころが上手い。 主人公の聞き分けの良さや周囲の人たちのフォロー、展開など、令和のまっすぐなジュブナイルだなと思う。時代ものだけれど! 医学生の少年との淡い恋や芸妓を目指す親友との友情、西洋医学の心得がある先生や芸妓の姉さまたちといった大人たちなど脇を固めるキャラクターたちも魅力的だったし、主人公との関わり方も良かった。 父親が基本的に蚊帳の外というか、あんまり噛んでこないのも、「大人への一歩として自分の進みたい道をみつけるこども」というテーマから考えて的確な距離感だったんだろうな。 主人公はけして跳ねっ返りではなく、むしろ良い子タイプだけど「てまり」という名前なのも、跳ねて家から出ていくイメージなんだな…そう考えると、細かいところまでちゃんと考えられてる作品だなー。 和布にレースで作った花をあしらうの、とてもよかったな…。もらったレースがきれいで大事で、相応しい仕立てを!と慎重に考えて出来上がった彼女だけの作品。貴重なものをくださった姉さんの気持ちも大事にしてるんだなが伝わる。 最初、作品が絵で想像できなくて、けっこう長く描写に「??」ってなってたのが惜しい。裏表紙にぽつんとイラストが載ってるのだけど、読み始める前に裏面見てなかったから…。 イラストが章タイトル下部にしか無いタイプだったのだけど、勿体無いなと思ったなあ。読者層から考えていらないと判断したのかもしれないけど、時代ものって読者からすれば非日常的だから、挿し絵で補強したほうが入り込みやすいと思う。 表紙絵もとても可愛らしいのだけど裏表紙や背表紙の絵はもっとあっただろ…と思う。背表紙でミニてまりちゃんが跳ねてるの可愛いけど、表情が同じで…これ表紙絵ラフをいくつか出したものを流用した?みたいな…。 これは、イラストレーターではなくデザインの人があんまりだった感じかなあ。 文字フォントはやわらかくてのびやかで可愛らしくて、すごくセンスいいんだけどなあ。 タイトルもすてきだけど、謎解きがメインテーマの話ではなかったから、合ってないなと思う。元タイトル『古手屋てまり』のほうが合ってる。元タイトルはあまりにしっとりしすぎているしこどもが手に取らなそうだから変更そのものはしたほうがよかったのだろうけれど~…難しいね。
saki@53hon_to2026年4月23日読み終わった図書館で借りた鎖国が続く江戸時代の長崎を舞台に、異国にあこがれる少女てまりがとある謎に迫る、青春ミステリ冒険譚。 児童文学とはいえ、ふだんほとんど時代小説を読まないからな〜……と内心思っていたのだけど、児童文学とか時代小説とか関係なくおもしろくて、気づけばスルスル読み進めていた。 ミステリはもちろん、淡い恋模様や友情、家族の絆を通じて「自分は何がやりたいか?」という自問も描かれていて、最後には主人公たちの成長も見ることができた。読みごたえのある一冊だった。
