川端康成初恋小説集
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浮舟@ukibune_19912026年3月19日感想川端康成の初恋相手伊藤初代との出会いから別れまでの間を描いた短編小説の物が大半を占めているので、同じような小説が連続しています。 川端がどれだけ初代の事が好きで引きずっていたのかよく分かります。 川端が初代に惹かれた理由として、13歳と幼く純粋性と美しさを兼ね備えていながら、初恋も孤独であり、川端の境遇と似ていた点にあると思います。 また、川端は16歳以下の女性に拘っていたようで、それは子供時代に子供らしい事が出来なかった思いから、16歳以下であれば2人で子供に戻れるのではないか、子供らしくいられるのではないかと考えていた事に起因します。川端は初代自身も子供時代を取り戻したいと考えているのではないかと推察していたが、初恋の考えは分かりません。 川端にとって初代との結婚生活は一筋の希望であり、初代も孤独な身だからこそ2人の幻想世界を夢見たのでしょう。 また、そんな子供時代を取り戻せると思っていた初代との結婚は破綻となり孤独に戻ってしまいますが、その希望から絶望への落差から孤独の闇が一層深くなり、忘れられない輝き(初代)が心に強く現れて少女の純粋性そのものを神格化したのだと思います。 川端が求めた子供回帰は果たされず、少女の純粋性に対する執着と自己の孤独を極めた結果、ただ美しい者を見つめる魔界の眼を獲得したのだと思います。仮に少女と結ばれても年老いた川端では子供に成り切る事は出来ませんからね。 その美しい思い出と純粋性への執着から伊豆の踊り子、眠れる美女、みづうみという作品に繋がったのではないでしょうか。 川端康成初恋集は面白いとは思いませんが、川端康成の原点を知るには良い作品かと思います。
