七つの会議

4件の記録
橘海月@amaretto3192019年3月1日読み終わった冒頭から示される不正と隠蔽の予感が明かされた後、思わぬ収束へと向かう展開に翻弄される。これは大人の小説だ。口当たりの良さとは裏腹に、噛みしめるほどに苦い。 伊坂幸太郎『火星に住むつもりかい?』のように小説でないと描けない、小説だからこそ描ける世界。 少し前にどこかで「今は水戸黄門が求められている」とあった。ドラマ「アンナチュラル 」もそうだったが、連続物より一話完結物が持て囃される風潮らしい。本作も章ごとに語り手を変えるいわば連作短編集だが、これは水戸黄門からは程遠い。むしろ章ごとにモヤモヤが募り、やるせなさが積み重なってゆく。 「不正がわかって終わりではない」「隠蔽が解明されて終わりではない」「不正が発覚しても終わりではない」物語はこれでもかと投げかける。何度も底が抜けたと思いながら、これで終わりでは?さすがにこれは終わるのでは?との思いは全て裏切られる。作中描かれるある人物の苦悩や虚しさは、決して他人事ではない。

