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橘海月
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@amaretto319
美味しいお酒と本、かわいい娘達と唯一無二の友人でもある旦那がいれば幸せ。 本はある時は私の唯一の世界で、またある時はそばにいてくれる友人で、絶望から救ってくれる救世主だった。読める時も読めない時も本はじっとそこにあって、私はただひたすら読んで読み尽くしてまた読みたいなと思う。いつまでも。 Xは@amaretto319
  • 2026年2月14日
    高島太一を殺したい五人
    塾の教え子を殺した高島太一、その彼を殺害しようと目論む塾関係者の五人。動悸は被害者の復讐や塾の保身など様々だが、意を決した彼らが別々に別荘に辿り着いた時には、太一は床に転がり生きてはいるが意識がなかった…。生者を前に殺害方法を検討する、前代未聞のミステリ。 物語としては非常に不謹慎だが、冒頭の深刻さから打って変わって「どうせこのまま死んでもらうのだから、できるだけ自分達が疑われないようにベストを尽くそう」と、五人がああでもないこうでもないと模索する様はコミカルで笑ってしまう。死者が出る前に推理合戦するのも、誰もこの期に及んで彼を助けようとしないのも。 そして結論が出そうなあたりからの違和感が、最後は見事に回収される。表題も含めてよくできていた。
  • 2026年2月14日
    藤田先生のミステリアスな一年
    恩師の見舞いに来た中村や同級生は、小6の一年間を懐かしむ。田舎の学校に現れた藤田先生は愛情深く生徒に接し、彼らに数々の魔法を見せてくれた。先生は謎解きをしないだけでなく、なぜか翌年から魔法を一切使わなかった。かつての同級生達は思い出を語りつつ、魔法の謎を解こうとする…。 田舎の学校に突如現れた先生が、生徒の心を掴む。ひとつひとつのエピソードはほのぼのとしつつも、実際にこんな問題に直面したらどうすればいいのか?を投げかけるものだった。クラスに不幸の手紙が蔓延したらどうするのか?樹海に生徒が迷い込んだら?最後に明かされる先生の過去も含めて物語が一面的でなくよかった。 藤田先生が放つ「魔法」は、謎が解けてみればそれほど派手ではなく、やや拍子抜けな面もある。でも当時、あれらを目前にした生徒達にとっては紛れもない魔法であり、生涯忘れ得ぬ物だったろうなとも。私にも小学生の先生に関する忘れ得ぬ記憶がある。藤田先生がそれをやろうとした思いこそ、素敵な教育だなと感じた。
  • 2026年2月12日
    本を守ろうとする猫の話
    書店を営む祖父を亡くした高校生の夏木は、人の言葉を話す猫に導かれて不思議な本の迷宮に誘われる。 想像通りに物語が進み、予定調和な結末を迎える。温かな登場人物は魅力的だが話の筋が単調で、まるでラノベのようだなと思った。いや、ラノベの方がずっと面白いけど。 ただ物語が単調で、予想通りなだけならよかったが、私が一番鼻についたのは全編を通して感じる説教くささかもしれない。なるほど私も本好きだし本に価値を置いている。だがそうでない現実に対して、主人公がヒーローよろしく対峙した上であの結末はどうしても説教くさい…となってしまった。 いや、好きな人は好きだろうし、感動する物語だとは思うのだけれど、とにかく私にはあまり合わず退屈だった。いっそ不思議な世界に行かない現実の話だけだったらよかったのに。そっちはとても読みやすく面白かったよ。
  • 2026年2月10日
    そして誰も死ななかった
    あくまで本作はミステリ。だが肝心の謎やトリックは説明が難しい。西澤保彦『七回死んだ男』を彷彿とさせなくもないが、あちらは死ぬのは主人公1人に対し、こちらは5人も死にそして甦る。その死の順番が犯人を導く…あれ?この時点で誰々は死んでるんだっけ?甦ってるんだっけ? …途中から私は考えるのを放棄した。いやわかるか! ただ、この興味深いトリックや謎解きが始まるまでは、ハッキリ言ってそれほど面白くはない。舞台設定や登場人物のキャラクターは好みが分かれるところで、正直私にはあまりハマらなかった。後半の謎解きも含めて、エログロに耐性がある人向け。死者が次々と甦る様はコミカルで笑えるが、なんせややこしくて「いいから死んどけ!」となること必須だ。
  • 2026年2月7日
    そして誰もゆとらなくなった
    著者の堂々たる空回りっぷりが、これでもか!と味わえるエッセイ。書店説明会の講演を頼まれて、まさかの健康情報を披露してしまう姿や、友人の披露宴の余興でガラス細工の小籠包を生かすための無理矢理な脚本に、それに纏わる捏造など、リア充ぽく見えて意外とそうでもない様がとにかくおかしい。 どのエピソードも魅力的だが、特に「しておくべき」に捉われた、マチュピチュにウユニ塩湖の旅行や、サイン会に向けての入念な準備のエピソードが良い。考え過ぎて誰も得しない、共感性羞恥が満載だ。 空気の読めなさが端的にわかる、高級な寿司屋で「今日はいいワサビが手に入ったんですよ」と目の前で大将が得意気におろしたそれに絶賛した直後の「サビ抜きで」には笑ってしまった。 「令和ロマンの娯楽がたり」が、私が初めて目にした朝井リョウで、トークがとても上手で話し慣れているのかな?と思ったあれも、入念に下準備した結果のアドリブのきかなさだったとしたら面白いな。彼自身が小説の登場人物かのように、キャラとして個性的だなとも。
  • 2026年2月4日
    仮面同窓会
    仮面同窓会
    終始胸くそ悪い展開が続き、ある地域特有の風習や学校行事がちょうど事前にSNSで流れてきて話題になっていたのもあってゾッとした。主人公の臆病さも、それ故に歯切れが悪く裏目な行動に出てしまうのも読んでいてイライラが強い。話はミステリだが、犯人なんかどうでもいい!と途中で叫びたくなってしまった。 物語には、犯罪かそれに類する行為を共有することで結束を増す男達と、その醜悪さが複数登場しこれでもかと描かれて反吐が出る。一度縛られると逃げ出せない、濃い地域の人間関係の密度も。ああなると従うか、相手か自身の命をかけて抗うかしかなく、そうなった時点で詰みだなとも。意外な犯人からの展開はコミカルで落ちは上手いと思わせられたが、それどころではなく、それすらも薄ら寒かつた。
  • 2026年2月3日
    逆ソクラテス
    逆ソクラテス
    小学生が主人公の五つの短編集。物語の中には何度か転校生が登場し、彼らは秩序を破壊する。秩序と言われると聞こえがいいが、場合によってはいじめの構図だったりもするから侮れない。転校生ゆえにそれが可能で膠着をぶち破る様はハラハラしつつも爽快だ。 決めつけが多い担任に、飄々とした担任も登場し、出てくる大人も多彩だ。あの、小学校が世界の全てだった頃を思い出した。 物語は小学生の過去と今を行き来する。小学生の頃に思い描いていた未来と実際の大人の姿は異なるが、それは必ずしも悪い方向ではなかったりする。物語のある先生が言うように、未来も何が正解かも誰にもわからない。それでも考え続けることが大事なのだと思える。このあたりは、ドラマ御上先生でくり返し言われていたことに通ずるかもしれない。
  • 2026年1月31日
    天龍院亜希子の日記
    主人公の譲は27歳、転職した人材派遣会社は忙しく、産休明けから時短で復帰した岡崎の分まで負担がのしかかる。同期のふみかは岡崎を露骨に嫌い、他の女性陣と悪口ばかりだ。 恋人とは別れ損ねているうちに相手の親が倒れて、なんとなく結婚する流れになって…と、途中まで物語の流れが掴めず、優柔不断な譲にいらいらした。でも徐々に譲がらしくない行動をとるにつれ、彼とその不器用さが嫌じゃなくなってきた。 すごく仕事ができるのに、産休明けの時短も子供に振り回されうまくいかず、二人目の妊娠をきっかけに辞めざるを得ない岡崎や、負担を引き受けては攻撃的になるふみかなど、登場人物は個性的な女性が多い。 その中で恋人の父親が主人公に放った「それが巡り巡って、君のためにもなる気がする」はよかった。先生として長年生きてきた父親の、口調やその表情まで浮かぶようだった。
  • 2026年1月30日
    空色の小鳥
    母の連れ子として、莫大な資産を持つ西尾木家に来た敏也。その母も亡くなり月日は流れ、家を出て生活していた義理の兄が地元に連れ戻され、不慮の事故で亡くなった。 その数年後兄の忘れ形見である結希と出会い。兄の妻となるはずだった千秋は末期ガンに犯されていて、敏也は結希を自分が育てると告げるが…。子を利用する愚かさはあれど、真摯に子育てをする主人公に複雑な思いだった。 籍を入れていない父親は幼くして亡くなり、母は病気で自分のランドセル姿を見られない。そこに突如現れた若いおじさんと、育った蒲田を離れ大宮で過ごすことになった結希の心境を思うとひどく切ない。同時に幼心に傷を負った敏也と亡くなった兄との確執も。結末はなんとなく漂っていたが、それでも結希の存在は名前の通り希望だと思う。紫陽花のエピソードに胸を打たれた。
  • 2026年1月26日
    子供部屋同盟
    子供部屋同盟
    タイトルに惹かれて手に取った。誰かに虐げられ復讐を誓うも手段がない者たちが、裏サイトを通じて「子供部屋同盟」に辿り着く。彼らは様々なエキスパートでいながら無職のいわゆる「こどおじ」で、復讐を代行してくれると言うのだ。報酬はお金ではなく“動機”で…。 一見、水戸黄門的な悪が成敗されスカッとする短編集だが、主人公が復讐を決意するまでの流れに重きが置かれており、理不尽な暴力や不運としか言いようのない状況に胸が痛む。最後のいじめの章は、特にいじめ描写が生々しく読み進めるのが辛い。それだけにいじめられっ子の彼女が選んだ復讐がより刺さる。 エピローグの含みを持たせた終わり方も、一筋縄ではいかなさを感じた。自身の手を汚さない復讐を果たした被害者が、どこかで加害者となる可能性もあるのだ。
  • 2026年1月25日
    蝉かえる (ミステリ・フロンティア)
    直接的間接的に、虫に関連する不思議なミステリ。全話に登場するのは飄々と探偵役を務める魞沢泉(えりさわせん)彼は虫に興味を持ち神出鬼没で、人見知りなくせに他人の懐にスッと入り込み、謎解きの時すら他者への気遣いを見せる。民俗学や因習、生物学や科学まで網羅された不思議な短編集。 五つの物語はどれも魅力的だが、震災と因習がグロテスクに結びついた表題作「蝉かえる」 遥か遠い砂漠のスカラベから、身近な差別問題にまで思いを馳せる「彼方の甲虫」 時空を超えてあっとなった「ホタル計画」がよかった。息苦しい話が多い割に、読後感はどれも良い。
  • 2026年1月23日
    男ともだち
    面白かった。独特の膿んでいる雰囲気が良い。 イラストレーターの神名には、同棲してる彼氏以外にも、浮気相手である妻子持ちの医者がいる。そして大学時代から特別な男友達「ハセオ」が。恋人に「なんかずるい響きだなって」と言われる男友達。何年会わずとも変わらず、寝ない以外まるで恋人のような、それ以上の大切な関係の。 読みながら自分の学生時代を思い出していた。友達から恋人になって、友達だった頃よりもうまくいかなくなった男友達や、長年友達で、絶対そうなることはないと思っていたのに、つきあってみたらこれ以上はないくらい恋人としてしっくりいった男友達。もう今は恋人じゃなくなってしまったけど、夫として今もいる。
  • 2026年1月18日
    花屋さんが言うことには
    花屋のアルバイトとなった主人公と多種多様な従業員の毎日を描く、いわゆるお仕事ものだが、花屋だけでなく主人公紀久子が望むデザイナーの仕事についても味わえる。花屋の店長の李多含め、農大の研究助手の芳賀など個性的な登場人物が多く、多様な生き方や挫折にもさらりと触れているのがいい。
  • 2026年1月16日
    Rのつく月には気をつけよう
    夏美と渚、長江の大学時代から続く男女三人の飲み会、毎回ゲストを呼び美味しいお酒とツマミで盛り上がる。話題が過去の出来事になると、謎解きまでしてもらえるオマケつき。謎解きがややアクロバットな力技な話も多いだが、とにかくお酒と料理をを楽しむ雰囲気が良い。三人の関係性に訪れる変化も。 短編集なのでさくさく読める。特に私が一番惹かれたのは「のんびりと時間をかけて」かな。他の話と違って、そこまで不可思議な謎も派手な解決もないけど、相手と自分との関係性について熟考する様子がものすごくリアルで、かつ自然だと思った。長年つきあっていても、別れやその決意は案外こんな風に突然生じるのかもしれない
  • 2026年1月15日
    希望の糸
    希望の糸
    刑事加賀シリーズだが、今回は従兄弟の松宮が語り手となっている。松宮自身の秘められた親子関係と、ある事件に関わりがある人物の親子関係が主軸。事件そのものよりも人間関係が中心で、それにしても子供とは何なのだろうとしみじみ考えてしまった。ある人や状況において驚くほど軽く、ある人にとってはこれ以上なく重い存在が。 事件そのものや犯人には特にひねりはなく、それよりもその背後となる前提がわからないまま、読んでいて腑に落ちない違和感が徐々に明らかとなる過程がメイン。ミステリを読むぞ!と思うと肩透かしかもしれない。人間ドラマを読みたい人向け。
  • 2026年1月14日
    嘘をついたのは、初めてだった
    表題通り「嘘をついたのは、初めてだった…」から始まる29の物語。どれもよかったが、さすが読ませる赤川次郎、着眼点に驚いた柾木政宗、独特な世界観の彼ららしい芦沢央と夏川草介。王道ミステリな真下みことに潮谷験、意外性と文体が好きな青羽悠が特に印象的だった。 もし自分だったら、この冒頭でどんな物語にするだろう?と創作意欲も掻き立てられそう。
  • 2026年1月13日
    珠玉
    珠玉
    伝説的な歌手リズと、彼女の宝物である黒真珠と、祖母に全く似ていない孫娘歩の物語。スターの孫という恵まれた環境にいるはずの歩は、容姿など多くのコンプレックスの塊で、仕事のパートナーにも愛想を尽かされ逃げられてしまう。だが戸籍上の祖父のパーティーでジョージと出会ってから、少しずつ変わってきて…。 読み始めた当初は卑屈な歩に少しイラッとしたが、遠慮なく言いたいことを言うジョージに振り回され、意志を持つ黒真珠キシの視点が登場してからは、俄然面白くなってきた。有名人の血縁も容姿も、本人には選べない生まれながらのもので、だからこそ羨み蔑み囚われてしまうのだろうな。ずっと服を作り続けてきた歩の、物作りの姿勢は真摯でよかった
  • 2026年1月12日
    Rのつく月には気をつけよう 賢者のグラス
    『Rのつく月には気をつけよう』の続編。 二組の夫婦とその子供達が集まり、ふとした話の謎を解く、美味しいお酒と料理と共に…。連作短編集の良さが最終話に詰まっていて、おっ!?となった。雑談のように語られる謎の塩梅が、深刻過ぎずにちょうどいい。美味しそうなツマミもお酒もかなり魅力的だった。 西澤保彦の匠千秋シリーズが好きな人は合うかも。おすすめ。
  • 2026年1月10日
    杉森くんを殺すには
    杉森くんを殺すには
    冒頭から「杉森くんを殺すことにした…」とあり、何やら物騒な雰囲気が漂う。主人公は高一で、各章ごとに過去の杉森くんの描写があって「だから杉森くんを殺さなければならない」と続くのだが、肝心の杉森くんとの関係性が見えてこず、ただひたすら主人公の日常が続く…。 大事な人を失ったらどうすればよいのか、どうすればよかったかを考え続け一歩も動けなくなったらどうすればいいのか?堂々巡りとなる中、読者も主人公と一緒にグリーフケアを追体験する。
  • 2026年1月10日
    お探し物は図書室まで
    様々な悩みを抱えた人達が、ふと立ち寄った図書館でなぜ?という本を勧められる。なぜか羊毛フェルトのおまけも。そこから少しずつ生活に変化があって…。と、よくあるストーリーながら、それだけに留まらない良さがあった。どの主人公も悩みもよくあるものなのに一面的でないのも。 特に印象的だったのは、第二章の諒が、最後に職場で上司の言葉にあっとなるのや、第三章の夏美の他人事とは思えない悩み。図書館も本も、ただあるだけではなく、ちゃんと人がいて人の関わりの容れ物として初めてその良さがでるのかなと。文化事業との繋がりも、街の公民館のリアルだと思った。
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