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橘海月
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@amaretto319
美味しいお酒と本、かわいい娘達と唯一無二の友人でもある旦那がいれば幸せ。 本はある時は私の唯一の世界で、またある時はそばにいてくれる友人で、絶望から救ってくれる救世主だった。読める時も読めない時も本はじっとそこにあって、私はただひたすら読んで読み尽くしてまた読みたいなと思う。いつまでも。 Xは@amaretto319
  • 2026年4月18日
    探偵は友人ではない
    前作『探偵は教室にいない』に続くシリーズ第二弾。 一作目がかなり好きだったので期待して読んだが、こちらの方が謎も登場人物の気持ちも不明瞭なものが多く、やや消化不良だった。これだけを読むのもおすすめしないし、前作が好きな人には余計におすすめしないので、結果的に万人にあまりおすすめではない。 だが、真史にとって幼馴染で頼りになる探偵でしかなかった歩が、互いにそうではない存在になりつつあり戸惑うのだけは理解できた。 日常の謎の中で、人は無意識にそして意図的に嘘をつく。単なる保身もあれば、自分以外の誰かのためにつく嘘も。そしてそれに気がついたとしても、小説でない限りそう人は問い詰めたりはしない。そんな喉に刺さった小骨のようなものが積み重なった四編だけに、最後の「理由」はとても腑に落ちた。
  • 2026年4月18日
    め生える
    め生える
    ある日突然人々の髪が抜けて、それは感染症のように広がった。大人達がハゲる中、子供だけは髪の毛があり、年齢とともにどこかの段階で毛がなくなる。元々薄毛で悩んでいた佐島と真智加、世界がハゲで覆い尽くされホッとするも、なぜかその後真智加の髪は生える。すっかりハゲが当たり前の世界で、真智加は皮肉にも再び居心地の悪さを感じるのだった…。 「チビやデブを笑う風潮は批判されるのに、どうしてハゲは許されるのか」の問いかけは本当にそうで。M-1で優勝したコンビのネタが当時から好きでなかった私には納得しかなかった。
  • 2026年4月16日
    コンサバター 幻の《ひまわり》は誰のもの
    シリーズ第二弾はひまわり! 修復士スギモトとその助手の晴香は、長年封印されたゴッホのひまわりのコレクターから鑑定と修復を請け負うが、その絵が盗まれてしまい…。ゴッホにフェルメールと華やかな絵画の裏側で、シルクロードとアフガニスタンの盗掘に焦点が当たる。意外な犯人にも注目。 中編集だった第一弾と違い、長編な分読み応えがあった。絵画の修復と盗難の切っても切れない歴史や、紛争で美術品が破壊され盗まれる歴史。それぞれの国や立場とルーツを巡るアイデンティティ。読みながらずっとすっきりしないモヤモヤがあった分、結末はやや駆け足だがお見事だった。美術の素晴らしさだけでない側面に考えさせられる。
  • 2026年4月8日
    スノードームの捨てかた
    すごく劇的な何かがあるわけではないのに、妙に印象に残る短編集。それは異なる友人に馳せる思いだったり、捨てられない指輪を物語にしたくない気持ちだったり、展示品の監視員独特の目だったり…。心に残るセリフもあり、どれも読んでいてふっと惹かれるものがあった。 物語の始まりと終わりではなく、彼女達の人生の一部分をこちらが眺めているような、そんな感覚。
  • 2026年3月27日
    コンサバター 大英博物館の天才修復士
    大英博物館の修復部門で働く春香。大勢いる職員の中でも変わり者の偉才スギモトの助手として、彼のフラットに住まわせてもらいながら、様々な依頼の解決を手伝うが…。コンサバターという仕事の醍醐味、英国からギリシャの神殿やエジプトのミイラ、そして北斎がいた日本まで、芸術品を巡る旅が面白く興味深い。 冒頭から大英博物館が抱える問題である美術品の掠奪や返還について、後半は一度所蔵した美術品は決して転売や処分をしてはならないというルール(それゆえ多くが展示されず収蔵庫で眠る)にも触れ、美しいだけでないそれらの文化的、政治的な側面も紹介される。物語としてだけでなく、その背景も含めて面白かった。
  • 2026年3月18日
    アルバトロスは羽ばたかない
    文化祭の当日に、高校の屋上から墜落した彼女。事故か自殺未遂と片付けられそうにな謎を追って、春から冬へと児童養護施設七海学園の季節は巡る…。 ミステリとしてだけでなく、養護施設を舞台とした仕事小説としても面白かった。メインの謎解きはもちろん、季節ごとに挟まれた日常の謎も良い。 メインの大掛かりなトリックについては、読み終えてみると「よくある」印象ではあるけれど、細部に至るまで考えられ尽くしたもので、作者はフェアネスを重んじるのだなと感じた。わかってから辿ると、なるほどだからこういう言い方かと不思議だった部分も納得だし、読み返す楽しみも散りばめられている。 様々な事情がある児童が暮らす学園で、複数の子供達を見るのは難しいのだろうなとも思うが、その中でもちょっとしたことを彼らが覚えていて現実に活かしたりする様子には希望を感じた。 できればそれが、彼らだけでなく全ての子供にありますようにとも。
  • 2026年3月13日
    鏡の国
    鏡の国
    小説家の叔母が亡くなった。遺作を引き継いだ主人公は、刊行間近となったある日担当編集者から告げられる「この小説には削られた文がある」 確認のために小説を読む主人公は、作家室見響子が綴った40年前の物語の世界へと旅をする…。 現代と過去、入れ子の物語が鏡のように見事に反転する様が心地よい。現代と過去の小説が交互に展開すると聞き、目まぐるしく感じるかな?と身構えていたが、特に気にならず幕間のような感覚だった。 当初は削られた箇所への謎解きかな?と思ったが、無理に謎を解こうとせずとも、入れ子の小説は充分に楽しめるものだった。響や他の登場人物が醜形恐怖症や後天性の痣や相貌失認に苦しみルッキズムに振り回される姿がリアルで、その悩みも息苦しさも身に詰まされた。
  • 2026年3月12日
    連鎖犯
    連鎖犯
    中1と小6の姉弟が誘拐された。二人は解放されるも、シングルマザーの母親は晩の9時過ぎに子供だけでコンビニに行かせたとコメンテーターに批判され、その後亡くなってしまう。7年後そのコメンテーターが何者かに殺害されて…。誘拐シーンから残酷な展開が続くが意外と読後感は悪くない。 母がバッシングの末亡くなった凛と翔の7年間を思うとやりきれないし、犯人を捕まえられないまま被害者を死なせてしまった後悔を抱えた刑事達の章は、読んでいて手に力が入った。物語はかなり意外な展開を見せるが、それよりも主題は別にあるだけに、亡くなった尚子の気持ちを思うと更にやり切れなくなる。ただ姉弟の成長は救いだなと思うし彼らは希望だなとも。
  • 2026年3月9日
    山の上の家事学校
    妻から突然離婚を突きつけられ、娘とも離れて一人暮らしとなった幸彦。食事は適当でゴミは溜まり、生活は荒れている。見るに見かねた妹に、男性対象の家事学校へ行くように言われて…。離婚を引きずる主人公が、後向きな気持ちで始めた家事学校が、思いの外楽しくなる過程がよい。 面白いのが「家事に正解不正解はない」ところだ。例えばわが家の夕食でご飯を炊く時「明日の朝ごはんも含めた量で炊こう」と考えても、予想外に子供達が食べ、明日の分は新たに炊かないとならない事がある。これは失敗ではないけど、じゃあ残りご飯はどうする?と。 これが仕事なら「業務に必要な書類は多めにコピーしておけばいいか」で、常に余分に印刷すれば済む。でも家事なら「残りご飯の処理」を考えるのも仕事のうちだ。常に炊き立てを余分に炊飯し続ければ、大量の余りご飯が発生する。これでは日常の家事は成り立たない。その現実に即した物語だなと思う。 物語には独身者に既婚者、様々な男性が登場し、家事を学ぶ動機もその必死さも違う。嫌々通うあまり先生に喰ってかかる者もいれば、淡々とスキルを磨く人も、中には学校の学びで配偶者にマウントをとる者もいる…。主人公でなくとも、自身の人生を振り返り「あの時ああしていれば…」と思いたくなる要素が家事にはあるなと感じた。
  • 2026年3月8日
    きこえる
    きこえる
    小説に組み込まれたQRコードの音声を聴くことで、話の構成がガラッと変わったり、犯人がわかったりする仕掛けがある五つの物語。巧いなと思ったのは、音声が話のおまけではなく物語の中でも重要な位置を占めていること。この本は絶対に家で読もうと決めていた一冊。 気持ちよく騙されたのは「にんげん玉」だった。先入観が覆されるのはとても小気味良い。 意味がわからなかったのは「セミ」で、それだけにあっとなった時は、主人公がセミに「馬鹿!」と叫んだわけがわかって、切なくなった。 「死者の耳」は、色々な意味で作者の仕掛けが施された話で、これは絶対にラストでなくちゃいけない。
  • 2026年3月8日
    楽園の楽園
    楽園の楽園
    絵本のような装丁と挿絵、あるかどうかもわからない“天軸”へ、先生に会うために向かう三人。聖書のような童話のようなとりとめのない物語は、人工知能であるAIと人間との戦いから、自然の知能いわばNIと人間との関係性に辿り着く…。美しい表紙からは予想外の辛辣な結末。 感覚的に短編に近いが、著者ならこれでもう少し長編を書けたのではとも思ってしまう。若干読み足りなさを感じた。三人の登場人物のうち、一人にしかスポットが当たっていないので、後の二人の過去や生い立ちも読みたかったなという印象。 #book
  • 2026年3月5日
    まぐさ桶の犬
    まぐさ桶の犬
    ミステリ専門書店のアルバイトにして探偵の葉村晶も、もう五十歳。更年期障害に悩まされ、次から次へと厄介な依頼を押し付けられるうちに、寝不足になり歯は痛み、満身創痍なうえに命を狙われて…。 このシリーズの主人公は毎回不運がつきものだが、歳を重ねるごとに更に哀愁が増す。 表題にもある「秣桶の犬」の意味を本書で初めて知った。牛の餌である秣桶の中に居座り吠え続ける犬。自分には役に立たないものを誰かがいい思いをするのは嫌だと手放さず、意地悪や嫌がらせをする存在。話が核心に迫った時、その意味に再びゾッとした。悪意そのものが動機だったのだな…。 フロストシリーズもそうだが、物語が展開するにつれ登場人物は増え話はややこしくなり、あちこちで問題や事件が起こるのが、最初は読みにくくとも途中から面白くなってしまう。現実がごちゃごちゃしてる時の読書として、割と合うと思ってる。
  • 2026年2月28日
    家族解散まで千キロメートル
    増築をくり返した古い民家に暮らしていた喜佐家。五人家族は兄や姉、そして末っ子である僕の結婚でそれぞれが引越し、家を解体する。それは同時に家族解散を意味するはずだった…。正月に倉庫で盗品のご神体を見つけてから、ドタバタが始まる。家族の意味、家族とは?問いかけられる物語。 あるはずのないご神体が見つかり、遠い青森まで返しに行く…。道中のドタバタはコミカルだが、家族の歴史は重く苦しいエピソードが続く。読者の誰しもがどこかツッコミたい内容も多く、長男惣太郎の「お前は何人家族だと思ってるんだ?!」の叫びは私の思いでもあった。家族に縛られる様は見てて苦しい。あすなが父親の浮気に私には関係ないと言い放つのも、周が自分の両親は家族に含めつつ、婚約者の両親は家族に含めない様も酷くグロテスクだ。 “こうあるべき“が一番理不尽に働くのは家族という形態だなと思う。
  • 2026年2月24日
    レンタルフレンド
    レンタルフレンド
    女性限定で、彼女達の友達役を演じる七実。ある時は新婦友人として披露宴に出席し、またある時はカフェや映画につきあう…。漫画「明日、私は誰かのカノジョ」にも通じる、仕事としてプライベートに関わる不思議な存在。 物語のある人物が言う「そういうときのためにレンタルのお友達がいるのよ。美味しくて楽しいところは本当のお友達がとればいい、面倒なことはみんな、私達がやってあげる」が印象的だった。プロだからこそできる、プロにしか無理なことがある。 どの話も考えさせられたけど、一人暮らしで猫飼いの依頼者が入院する「臆病な猫を抱く」は単身者の現実味があった。 婚約者やその友人、元カノの思惑が交差する「仁義なき女子の歌」は、こういう仕事をしていたらバッティングするのでは?へのアンサーとしても面白く、話の展開が読めないのがよかった。
  • 2026年2月20日
    神様の本
    神様の本
    「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズが好きで読んだが、他の短編もなかなか面白かった。 「神」に関する物語とは言っても、古き聖書を巡る話だったり、実際に神が登場したりと内容は様々。個人的は、久しぶりにビブリアの世界に浸れて満足だった。この長さの物語でも、これだけの参考文献があるのだなと感心することしきり。
  • 2026年2月14日
    高島太一を殺したい五人
    塾の教え子を殺した高島太一、その彼を殺害しようと目論む塾関係者の五人。動悸は被害者の復讐や塾の保身など様々だが、意を決した彼らが別々に別荘に辿り着いた時には、太一は床に転がり生きてはいるが意識がなかった…。生者を前に殺害方法を検討する、前代未聞のミステリ。 物語としては非常に不謹慎だが、冒頭の深刻さから打って変わって「どうせこのまま死んでもらうのだから、できるだけ自分達が疑われないようにベストを尽くそう」と、五人がああでもないこうでもないと模索する様はコミカルで笑ってしまう。死者が出る前に推理合戦するのも、誰もこの期に及んで彼を助けようとしないのも。 そして結論が出そうなあたりからの違和感が、最後は見事に回収される。表題も含めてよくできていた。
  • 2026年2月14日
    藤田先生のミステリアスな一年
    恩師の見舞いに来た中村や同級生は、小6の一年間を懐かしむ。田舎の学校に現れた藤田先生は愛情深く生徒に接し、彼らに数々の魔法を見せてくれた。先生は謎解きをしないだけでなく、なぜか翌年から魔法を一切使わなかった。かつての同級生達は思い出を語りつつ、魔法の謎を解こうとする…。 田舎の学校に突如現れた先生が、生徒の心を掴む。ひとつひとつのエピソードはほのぼのとしつつも、実際にこんな問題に直面したらどうすればいいのか?を投げかけるものだった。クラスに不幸の手紙が蔓延したらどうするのか?樹海に生徒が迷い込んだら?最後に明かされる先生の過去も含めて物語が一面的でなくよかった。 藤田先生が放つ「魔法」は、謎が解けてみればそれほど派手ではなく、やや拍子抜けな面もある。でも当時、あれらを目前にした生徒達にとっては紛れもない魔法であり、生涯忘れ得ぬ物だったろうなとも。私にも小学生の先生に関する忘れ得ぬ記憶がある。藤田先生がそれをやろうとした思いこそ、素敵な教育だなと感じた。
  • 2026年2月12日
    本を守ろうとする猫の話
    書店を営む祖父を亡くした高校生の夏木は、人の言葉を話す猫に導かれて不思議な本の迷宮に誘われる。 想像通りに物語が進み、予定調和な結末を迎える。温かな登場人物は魅力的だが話の筋が単調で、まるでラノベのようだなと思った。いや、ラノベの方がずっと面白いけど。 ただ物語が単調で、予想通りなだけならよかったが、私が一番鼻についたのは全編を通して感じる説教くささかもしれない。なるほど私も本好きだし本に価値を置いている。だがそうでない現実に対して、主人公がヒーローよろしく対峙した上であの結末はどうしても説教くさい…となってしまった。 いや、好きな人は好きだろうし、感動する物語だとは思うのだけれど、とにかく私にはあまり合わず退屈だった。いっそ不思議な世界に行かない現実の話だけだったらよかったのに。そっちはとても読みやすく面白かったよ。
  • 2026年2月10日
    そして誰も死ななかった
    あくまで本作はミステリ。だが肝心の謎やトリックは説明が難しい。西澤保彦『七回死んだ男』を彷彿とさせなくもないが、あちらは死ぬのは主人公1人に対し、こちらは5人も死にそして甦る。その死の順番が犯人を導く…あれ?この時点で誰々は死んでるんだっけ?甦ってるんだっけ? …途中から私は考えるのを放棄した。いやわかるか! ただ、この興味深いトリックや謎解きが始まるまでは、ハッキリ言ってそれほど面白くはない。舞台設定や登場人物のキャラクターは好みが分かれるところで、正直私にはあまりハマらなかった。後半の謎解きも含めて、エログロに耐性がある人向け。死者が次々と甦る様はコミカルで笑えるが、なんせややこしくて「いいから死んどけ!」となること必須だ。
  • 2026年2月7日
    そして誰もゆとらなくなった
    著者の堂々たる空回りっぷりが、これでもか!と味わえるエッセイ。書店説明会の講演を頼まれて、まさかの健康情報を披露してしまう姿や、友人の披露宴の余興でガラス細工の小籠包を生かすための無理矢理な脚本に、それに纏わる捏造など、リア充ぽく見えて意外とそうでもない様がとにかくおかしい。 どのエピソードも魅力的だが、特に「しておくべき」に捉われた、マチュピチュにウユニ塩湖の旅行や、サイン会に向けての入念な準備のエピソードが良い。考え過ぎて誰も得しない、共感性羞恥が満載だ。 空気の読めなさが端的にわかる、高級な寿司屋で「今日はいいワサビが手に入ったんですよ」と目の前で大将が得意気におろしたそれに絶賛した直後の「サビ抜きで」には笑ってしまった。 「令和ロマンの娯楽がたり」が、私が初めて目にした朝井リョウで、トークがとても上手で話し慣れているのかな?と思ったあれも、入念に下準備した結果のアドリブのきかなさだったとしたら面白いな。彼自身が小説の登場人物かのように、キャラとして個性的だなとも。
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