獣の記憶 (創元推理文庫)

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- りなっこ@rinakko2025年8月25日読み終わった再読。初読は10年前、18世紀フランスで実際にあった〝ジェヴォーダンの獣〟事件(狼に似た獣が殺戮を繰り返したとされるが真相は謎)に関心があり手に取ったのだった。今回も面白く読んだ。 フランスが外国で物笑いの種になってしまった事態を終結させたいベルサイユの思惑と、野獣の存在によって生活を脅かされている地方の人々の願いはかけ離れていた。博物学者を目指す主人公トマは狩人隊に同行し、野獣に遭遇して傷を負った少女と出会う。 若かりし頃のデュ・バリー夫人やイザベルの果敢さに惚れ惚れ。黒い聖母やお伽噺の力が果たす役割も忘れがたい。