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りなっこ
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@rinakko
寒がり変温動物。にょろにょろしている。本を読む。 アイコンは、以前お迎えした “わたくしは誰でもない。あなたは誰?” のエミリー。
  • 2025年7月10日
    かかとを失くして 三人関係 文字移植
    再読。昔は一冊ずつで読んだ3篇を、この並びでまとめて読んであらためて面白かった。 とりわけ印象が強いのは「文字移植」で、普段翻訳物を読むことが多いのもあり “翻訳とは何ぞ” というテーマに魅かれる。自分の翻訳に全く自信のない語り手が、頑なに翻訳に拘り続けるのは何故なんだろう。彼女が翻訳中の〈ドラゴン退治の伝説〉の世界は、現実との垣根を越えて翻訳者を捕りこみに来る。 「かかとを失くして」の心許なさ、「三人関係」のずぶずぶ感も好きだ。
  • 2025年7月8日
    シェイクスピア全集(10)
    シェイクスピア全集(10)
    再々読。材源である物語自体が古いふたつの民話(高利貸しの話と王女の夫選びの話)からなるそうで、ヴェニスとベルモントそれぞれの話が交互に進む。女相続人ボーシャと侍女ネリッサコンビの活躍や、駆け落ちをするジェシカのエピソードが好き(どちらも男装と指輪が欠かせません)。 話はとても面白いけれど、金持ちのユダヤ人シャイロックの存在が読む側を落ち着かせない。誰からの同情も得られぬ老人。近年(大戦後)ではシャイロックを全くの悪役として扱うことは少なくなり、偏見や侮辱を受けてきた犠牲者という解釈がされがちという。
  • 2025年7月7日
    ケアの物語 フランケンシュタインからはじめる
    『フランケンシュタイン』を取っ掛かりに、ケアの観点から様々な物語が読み解かれる。映画『バービー』や『バグダードのフランケンシュタイン』『鬼滅の刃』『オーランドー』『虎に翼』…と作品も多岐にわたり、そこで繋がるのかという驚きも楽しい 見落とされ軽視されてきた〈小さな物語〉が、10のテーマ(戦争、論破と対話、マンスプ…)の中で取り上げられる。なぜケアは必要で、非暴力の可能性を探求しなければならないのか。自分をも含めた人の “傷つきやすさ” とどう向き合っていけばいいか…という課題も響いた。
  • 2025年7月3日
    見晴らし台
    見晴らし台
    素晴らしかった。10年以上にわたり発表されたエッセイや評論、往復書簡など。幾つかの書評や山尾悠子さんとの往復書簡は既読だったが、読み返してまた感嘆した。 とりわけ「呪われたもののための福音——『ラピスラズリ』評」での、先ず “生と生殖に対する屈託” を指摘してから、フェミニズムとシスターフッドの物語として読み解く展開は、何度読んでもわくわくと引きこまれる。言葉に対して誠実に凛然と向き合い、自分の言葉を使って思惟を深めていくこと。〈現実〉を疑い、不変の真実などないということを突きつけるための幻想について。など
  • 2025年6月30日
    寒さ: 一つの隔離
    寒さ: 一つの隔離
    自伝五部作より4作目。肺に影が見つかった主人公が、収容された結核療養所で過ごした日々が描かれる。痰の製造法を身につけ、“病と死の学問に没頭”しながら、ベルンハルトの筆致なのでどこか笑えてしまって暗澹とならない。そして医者への服従に抵抗し続け、立場を逆転させていく(少なくとも本人にとっては)。 『悪霊』を読み返したくなる。
  • 2025年6月26日
    雲なす証言
    雲なす証言
    こちらも面白かった。ウィムジイ家の面々、なかなか癖があるw(先代公妃が素敵)
  • 2025年6月25日
    きのう何食べた?(24)
  • 2025年6月23日
    スピン/spin 第12号 2025年 07 月号 [雑誌]: 文芸 増刊
    楽しみに読んでいるのは、一穂ミチ「ハイランド美星ヶ丘」と恩田陸「そして金魚鉢の溢れ出す午後に、」。新連載も面白そう。連載書評の服部真里子「無表情の神」もよかった。
  • 2025年6月20日
    ヒロインたちの聖書ものがたり
    再読。エデンの園を追われるエバから、復活のイエスに会ったマグラダのマリアまで、女性を軸に聖書全体を俯瞰する試みがとても面白い。古代の男性中心文化における「他者」の視点で、様々な難儀が降りかかったヒロインの姿が浮き彫りになる。 王国の実権を握るアタルヤ、救いのない物語の名もない少女、イスラエルの神に運命を賭ける自由なラハブ、大国の指揮官を殺めるユディト。忌み嫌われた王妃はそんなに邪悪だったのか…。 “マグダラのマリアが娼婦だったというのはファンタジーにすぎない” が、何故そのような誤読が中世において定着したのか。
  • 2025年6月17日
    増補 古典としての旧約聖書
    旧約聖書を人類の古典とする視点から、果敢に社会を糾弾する預言者の批判精神、多様な書物としてのダイナミズム、排他的民族主義と包括的普遍主義が併存することによる複眼的特色…などが読み解かれる。 そして辺境の弱小民族の間で培われた信仰が、人類の精神史に多大な影響を残したという逆説的現象について。 近年のキリスト教批判(人間中心主義や一神教のもつ暴力性)に対する、批判自体があまりにも杜撰だという指摘にはなるほど…と。物語文学としてのルツ記やヨナ書、ギルガメシュ叙事詩の件も面白かった。
  • 2025年6月14日
    愛の獣は光の海で溺れ死ぬ
    長篇と思っていたら連作の6篇だった。金子作品を読むときには相応の覚悟をするのだが、今回は他の作品で味わってきたような辛さも凄みも感じることが殆どなくてむむむ…。 最初の「独白する愛の犠牲獣」はよかった(ここからどこまで連れていかれるのだろうと期待した)。
  • 2025年6月12日
    兄と弟、あるいは書物と燃える石
    おお、面白かった。すっかり騙されたけれど、こういうややこしい作品は大好きだ。引用されるマグリットの言葉〈目に見えるものは、いつもほかのなにかを隠している〉さながら、虚構は現実を隠していたし、その現実もまた…。 曖昧で回りくどい感じの文章が幾つかあって気になったが、後からそこを読み返すとちゃんと「なるほど…」と得心できる仕掛けに唸った。
  • 2025年6月12日
    天幕のジャードゥーガル 5
  • 2025年6月11日
    ナイン・テイラーズ
    ナイン・テイラーズ
    こちらも面白かった! 小さな田舎村に思いも寄らぬ壮大な教会(もと大僧院)、転座鳴鐘術に夢中な教区長と熱心な鐘方たち…という出だしから即引き込まれた。 人の名で呼ばれる8つの鐘が、長い付き合いの相方として鐘方(其々の鐘の担当者)から愛されている一方で、畏怖したり苦手に感じる人たちがいるのが印象的だった。ナイン・テイラーズとは、九告鐘(死者を送る鐘)。
  • 2025年6月9日
    初子さん
    初子さん
    3作品中、表題作と「うつつ・うつら」は再読。笑って読んでいたのにいつの間にか怖いところ(落ちたら抜け出せない虚ろのような)を覗かされるのが、赤染作品だなぁ…とあらためてしみじみ。 そこにあるのかもわからない何かに届きたくて、やっぱり欲しい…と高いところに手を伸ばす。健気でひたむきなだけなのに、その姿は時に滑稽で時に哀しい。 そんな風にしか生きられない主人公たちは、頼もしくはないけれど逞しくて、人は簡単には絶望出来ないものだということを思い出させてくれる。希望という名の病がそうはさせてくれない、と。
  • 2025年6月5日
    ゴッホ作品集
    『ゴッホの犬と耳とひまわり』を読んだ流れで、まだ通読していなかった画集を引っ張り出した。 ゴッホは狂気の天才画家などではなく、新しい美術を熱心に模索する理知的な画家であり探求者だった。そして語学も得意。 あらためて面白かったのは、巨匠たちを模写した作品群。忠実な模写とは全く別物で、ゴッホが自己流に解釈して「翻訳」した作品はどう見てもゴッホだ。“ゴッホがやるまで、こんな変わったことをやった画家はいなかった。”  写真がとても綺麗で、評する文章も的確でよかった。
  • 2025年6月4日
    ゴッホの犬と耳とひまわり
    堪能して大満足。事の始まりは19世紀のフランスで印刷された販促用の家計簿。余白に厖大な書き込みがあり、ゴッホの署名入りだった。 語り手はその翻訳を恩師の河島から依頼されるが、依頼主曰く「真筆の可能性はひくい」。と、ここから先の展開は予想外な広がりを見せ、話がどこまで逸れるのかと思うとまたゴッホ周辺に戻る。宮沢賢治、初版『月に吠える』の装幀、メアリー・シェリー…縦横無尽な蘊蓄(主に河島)と、登場人物たちの関係とが綾に結ぼれていく様は流石の見事さだった。 語り手の記憶から掬いだされた絵本『森のなかのお城』の内容も忘れがたい。
  • 2025年6月2日
    ペネロピアド 女たちのオデュッセイア
    ペネロピアド 女たちのオデュッセイア
    いかに貞節であったかと、そこばかりを誉め称えられてきたオデュッセウスの妻ペネロペイア。20年(半分は戦争、半分は冒険という態の寄り道と不貞w)も帰らない夫を、妻はただ賢明に耐えて待つしかないなんてどういうことよ…と思わずにはいられない。 なので、ペネロペイアが己を語る声を聞けてよかった(それから12人の女中たちのこと!)。 仲の悪い従姉へレネの造形も面白いし、“文化人類学講義”の内容には膝を打った。小川公代さんの解説も素晴らしい。
  • 2025年5月30日
  • 2025年5月30日
    死体をどうぞ
    死体をどうぞ
    こちらも面白かった。 昔の名作海外ミステリって、なんか落ち着くんだよな…(殺人事件なのにw)。型があることで安心して読めてるのかも知れない。イギリス黄金時代の探偵小説なら尚の事よろし。
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