

りなっこ
@rinakko
寒がり変温動物。にょろにょろしている。本を読む。
アイコンは、以前お迎えした “わたくしは誰でもない。あなたは誰?” のエミリー。
- 2026年2月24日
アルモニカ・ディアボリカ皆川博子読み終わった再々読。素晴らしかった。18世紀英国の歴史ミステリ。聴いた者は発狂するといわれた幻の楽器アルモニカは、ディアボリカ(悪魔の)と呼ばれた。発明したのはベンジャミン・フランクリン 前作で触れられなかった素描の天才ナイジェルの驚くべき過去が語られ、己の信条で出奔したエドと、彼の思いを汲んでも犯罪を見逃すわけにはいかない治安判事サー・ジョンの正義とが、相容れず行き違う。権力者の横暴に踏みにじられ法や裁判にも守られない弱い立場の人々の物語が、世の不条理への憤りを湛えた筆致で描かれる。 「勿忘草」の歌の光が切ない。 - 2026年2月21日
開かせていただき光栄です皆川博子読み終わった再々読。今回も滅法面白くて堪能した! エドワード・ターナーの物語がここから始まって、この続きを読み返せることもしみじみ嬉しい。 そして昔の講演会で、トーマス・チャタートンについて話されていたのをまた思い出した。利用価値がないとわかれば簡単に大人から見放された、そんな無辜なる弱き存在に向ける眼差しに込められたもの。エドが法の権威に対して突きつける否の強さにも、あらためて感じ入った。“法を嘲笑したい願望”…。 - 2026年2月19日
あらあらかしこ(3)波津彬子読み終わった - 2026年2月18日
- 2026年2月17日
溺れる少女ケイトリン・R・キアナン,鯨井久志読み終わったとてもよかった。昏いところへ引き摺り込まれてぐらぐらした。語り手は“狂人は自分が狂っていることに気づかない、というのは迷信だ”——と言い、混乱した記憶を解きほぐせないまま“わが怪談”を語りだす。 「赤ずきんちゃん」への嫌悪、亡霊=ミームという考え、エヴァという人魚(或いは人狼)に出会って狂いだした日常と悪夢(まさかルイス・キャロル「エビのカドリーユおどり」がセイレーンの歌になるなんて)。辛そうに内面を抉っていく筆致に慄きつつ目が離せなくなる。 『白鯨』やシェイクスピアの引用、ナボコフへの言及など、好きな作品に触れる箇所にも掴まれた - 2026年2月13日
わたしの名は赤(下)新訳版オルハン・パムク,Orhan Pamuk,宮下遼読み終わった再読。素晴らしかった。舞台は16世紀末、栄華に影の差すオスマン帝国イスタンブル。イスラムの細密画や装飾写本の美麗な世界が、西洋絵画の手法を知ってしまった絵師たちの懊悩とともに描かれている。神の視点を探求し、痕跡を残さない様式美を極め、最後は盲目になり光を失うのが彼らの本来の理想だ(でも、自分と他者とを区別されたいとは全く思わないものだろうか…いや…)。 語りの絡繰りも秀逸で、とりわけ“わたしの名は赤”の章は短いけれど鮮烈なイメージがここから全篇に行き渡るようだった。(シェキュレの強かさも存外好きでしたw) - 2026年2月12日
- 2026年2月9日
英米文学のわからない言葉金原瑞人読み終わった - 2026年2月8日
花と少女の日本文学西原志保読み終わったとても面白かった。文学における花の表象について、生殖や性愛とどのように重ねられ変容してきたかをたどる。古来豊穣のイメージや生殖・性愛の比喩(間引き、手折る…)となってきた花は、近代以降は生殖を禁じられた少女の純潔や性愛を拒絶する表象へと読み替えられた。 『源氏物語』『紫式部集』、京極夏彦『絡新婦の理』、野溝七生子『山梔』、夏目漱石『それから』、森茉莉『甘い蜜の部屋』(モイラと林作、女三の宮と朱雀院の関係性の比較…など)と、取り上げられる作品がツボ過ぎて嬉しい。 - 2026年2月4日
キルケマデリン・ミラー,野沢佳織読み終わった再読。素晴らしかった。大好きな神話の語り直し。太陽神の娘でニュンペ(「花嫁」の意もある)キルケは、囚人プロメテウスと言葉を交わし人間に関心を持つようになる。そして魔力を手に入れるが、ゼウスに咎められ無人島へ追放となり…。 『変身物語』では逆恨みとされるスキュラへの仕打ち(と、その後の自責)、妹パシパエの出産(!)、ダイダロスとの出会い、気を許せないヘルメスとの付き合い、そしてオデュッセウス…。といった、神話で馴染みの人物や出来事がキルケの視点から語られる。ペネロペの造形も好ましかった。 オリュンポス神族から見下されるキルケが、傲慢な神々の愚かさや醜さを見抜き、女神らしくない自分と折り合いをつけながら生きようとする。ラストは胸がいっぱいになった。 - 2026年2月2日
- 2026年1月29日
聖女ジャンヌと悪魔ジルミシェル・トゥルニエ,Michel Tournier,榊原晃三読み終わったジル・ド・レと言えば青髭のモデルとされているが、私がまず思い出すのはかつて澁澤龍彦が見せてくれた “肖像” の強烈な印象だ。その幼児性とか、極端から極端への飛躍とか。 中世の信仰のあり方、処刑が公開されるような時代における神聖と悪の観念は、想像することすら難しい。ジャンヌ・ダルクが「神のお告げ」を聞いたことが、彼女が魔女であることの証左とされる理屈にあらためて驚いたり。そしてジル、自分は天国に召されると本当に信じて最期まで疑わなかったのか…。
- 2026年1月27日
水と自由上川涼子読み終わった透徹した眼差しがひりりとする。 〈春宵にこつりこつりと円を描く銀のコンパス、そして青鷺〉 〈月、そしてそこから冷えてゆく音叉 ひかりにみちて鳴ることもなし〉 〈みづからを脱ぐ仕草にて波生(あ)れて海の裸身のはげしかるべし〉 〈浮彫りの花にかぐろき影わたり睡眠口座に貨幣の熟睡(うまい)〉 〈クレスカは花冠のごとく文字に咲きスタニスワフ・レム スタニスラフ・レム〉 〈心臓をひとつ点して現し身は白夜、ひとよを燃え尽くるまで〉 〈冷えびえと床にビー玉散りみだれ乱り尾をひく孔雀見ゆ、見る〉 〈肌の上に青く重なる薄絹をとどろきののち雷(らい)と知りたり〉 〈死ののちへ続く渇きか紫陽花に羊皮紙の質感をみとめつ〉 〈カルヴィーノ読まばや夏の浜に似たカルビーのポテトチップス溢して〉 〈鏡の、十指を押せど触れやうのなき奥行きへ深まりてゆく、秋は〉 〈不可解な着こなしになほ際立てる人間的底力おもふも〉 〈わが閉ざすのち一冊の小説は少し膨らむ息づくごとく〉 〈たひらぎてはなびらを待つ水の時その時を揉み魚ら泳ぐも〉 〈雨は傘を脈打ちながらしたたりてこころに至る不可思議のこと〉 〈音楽にとりのこされた一脚の椅子がいま自壊すればいいのに〉 - 2026年1月26日
巨匠とマルガリータミハイル・ブルガーコフ,石井信介読み終わった新訳で再読。頗る面白かった! スターリン体制下のモスクワが、春の夕暮れに忽然と現れた悪魔の一味に引っかき乱される。あれよあれよと大混乱に陥る人々の狂騒ぶりと不条理な展開に、おおブルガーコフだ…と楽しくなった。 保身に走り右往左往する役職者たちの描かれ方、その扱いは容赦ない。一方、愛する巨匠のためなら何でもするマルガリータの勇気は悪魔も称える(でも全○にする必要なくねw ゲーラもだけどw)。 小説家の祈りのような「原稿は燃えない」という言葉にがぐっときて、思いめぐらす読後感だ。 - 2026年1月25日
- 2026年1月20日
- 2026年1月19日
- 2026年1月16日
- 2026年1月15日
新装版 虚無への供物(下)中井英夫読み終わった再読。内容をすっかり忘れており、頗る面白かった! 作中では薔薇に名付ける予定の言葉として“虚無への供物”が出てくるが、この小説こそが虚無への供物でありまた現実への一矢であったことが、最後まで読むとわかる。裏返しになった理屈(事件の進行を喰いとめるために密室事件を先に作り出す...とかw)や精緻な仕掛けの数々に、驚嘆しつつ堪能した。 私(“読者”)を迷い込んだアリスのままではいさせてくれなかったところに、凄みを感じる。 - 2026年1月13日
新装版 虚無への供物(上)中井英夫読み終わった再読。『をとめよ素晴らしき人生を得よ』(瀬戸夏子)の中条ふみ子と中井英夫の章で『虚無への供物』にも触れていて、奈々村久生のモデルとなった尾崎佐永子や歌人たちの協力があったことなどを知り、読み返したくなった。 無意味きわまりない事故死よりは血みどろな殺人…とは、海への復讐。
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