地震と社会〈下〉

2件の記録
- みなと@minato_nozomu2025年9月22日読み終わった"震災の直後、被災地で助け合い、生き残った人々の間には一時期、「逆ユートピア」ともいえる高揚の一瞬があった。被災という体験を共有し、その悲惨を潜り抜けなければ理解できない「非日常」の一閃の光が照らし出した、人間への信頼の絆ともいえる。 被災から時間が経ち、人々の利害の格差や多様さが浮き彫りになるにつれ、そうした逆ユートピアは少しずつ色褪せていく。「お役所行政」を強引に進める自治体への反発は先鋭化し、住民同士の対立は地域を静かに引き裂いていく。 だが、その過程を、人間の「性」の一言で片付けるのは、震災を生きる人々に対してあまりに軽率で、苛酷といわねばならない。それは金銭の問題ではなく、私たちが無意識のうちに継承し培っている制度の問題であり、更にいえば、改革に向けて焦点が定まらず、硬直した制度に甘んじている私たち自身の問題にほかならない。"