されど私の可愛い檸檬

されど私の可愛い檸檬
されど私の可愛い檸檬
舞城王太郎
講談社
2018年11月28日
3件の記録
  • ミオReads
    ミオReads
    @hanamio03
    2025年10月14日
    家族の話を思うとき、いつかマツコ・デラックスがテレビで言っていた「家族だからこそ言えないし、どうにもできないことってあるじゃない?」というような言葉を思い出す。あれほど賢く、世界の真理を見通しては、的確に言葉を紡いでいるような人にも支配できないものが家族なんだな…と空恐ろしくなるのだが、その言葉を読んでる間中、何度となく思い出した。 これが家族じゃなかったら、多分もっと早く、もっと手短に、もっと鋭く終わりにできた。家族だからできない。家族だからしない。家制度なんてクソだなと思うのに、結局家に捕らわれてることにむしゃくしゃしたり、むしゃくしゃしながらも本気で恐れて読んだ。戦慄。まさしく。姉が怒りによる目に見えないし知覚しにくい支配を始めること、血の繋がらぬ義兄には何もたどり着けていないこと、その絶望と安堵。義母の無神経過ぎる態度や言葉、それに対抗しようとする己の浅はかさと奮闘。豹変した妻と怯える娘は何もかもが怖くて泣きそうになる。話のまるで通じない異星人のような男。次々に壊されていくのに本人は気付けず知覚できず、結局できた家族のせいで苦手な決断を下せるようになる。怖かった。ほんとに怪談のようだった。 「君と一緒にいるとまともになれる気がする」 「けど、私、あんたのそういう問題をどうにかするたの道具とかじゃないんだけど?」 これに心底納得できるのに言動が「正しく」出力されない。でも「正しさ」って? コンプラに引っかかる? 引っかかりはする。けどだけど、そういうことじゃない。 ああこれが、どうにもできないことかもしれない、と思って、また一つ身震いする。
  • 架瀬
    架瀬
    @SZ_tm
    2025年3月8日
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