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ミオReads
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@hanamio03
家とスマホに無限の積ん読を築きつつ図書館通いの円環に囚われしオタク。
  • 2025年7月5日
    水車小屋のネネ
    水車小屋のネネ
    続きが気になって早起きしたの久しぶりだ。 生きているわけではなく死んでいないだけという人が、自分の未来は特に見ていなくとも「だれか自分以外の人の未来がうまくいくといいと思った」瞬間に、未来を思えてうれしかった、しかもそれが「転職先でうまくいきますように」という、言ってしまえば「生きている」人間には普通を思うことで、でもそこに真剣な祈りや願いがあることに、その発見にうち震えるような喜びがあった。人が希望を持つ瞬間に立ち会えることが、たまらなく嬉しかった。 「誰かに親切にしなきゃ、人生は長く退屈なものですよ。」 そうなのかもしれない、と40年をかけて読ませてくれた。してもらうだけではなく、してもらったことを受け渡したくなる、そういう時間と視野と人生の余力が、10年ごとに変わっていく。 そしてずっとネネがいる。 困ったり、弱ったり、死んでいないだけになったり、そういうときになんとか転がり込んで歌い喋り踊りコミュニケーションを取るヨウムの姿にぼう然として、ネネにとって自分が当たり前になるぐらいまでぼう然として、それからまた、自分の足でネネの水車小屋から出て行く。 「またねっ!」 そう言ってくれるネネがいるから、自分の足で出て行ける。 素晴らしい物語だった。読めてよかった。
  • 2025年7月3日
    水車小屋のネネ
    水車小屋のネネ
    図書館の予約の順番が回ってきた。半年待ちぐらいだったと思う。なにせ、何故予約を入れたのか、どんな本なのか、全く思い出せない。毎日新聞の書評で知ったのは間違いないんだけど(毎日新聞出版だから)。 だけど、読み始めた瞬間からもうたまらない。親に蔑ろにされた娘の、大人の理不尽な暴力にさらされた子供の、何もかもがいやになった女の、それでも生きていく当たり前さ、その真摯さにずっとずっと読みながら震えてる。 「なんとなく、これからの自分と律は、ジュースを飲む機会があれば必ず「いる?」とたずねるような関係でもなくなるだろう、という予感があった。それは要するに、理佐が律を子供としてもてなすのではない、律を甘やかしすぎない、二人で無駄遣いはしないという関係になることへとつながってもいるようだった。」 この1文を読んだ瞬間、もうだめだった。その「ああもうだめだ、たまんない、魂に刻まれる」の気持ちを今この瞬間に書き留めておきたかった。 引き続き、噛み締めて読みます。
  • 2025年6月12日
    登山ボディ
    週末に念願の初登山に行き、普段のリングフィットアドベンチャーやフィットボクシングとは比べものにならないレベルの筋肉痛に襲われた。登山、恐るべし…というか、こんなにバキバキに筋肉痛来てくれるなんて最高じゃーん、もっと効率的に身体を鍛えるためにも登山有効じゃーん!と手を伸ばした本。 「長期的に痩せるには有酸素運動より筋トレ」をやってきた後、「それはそれとして有酸素運動で心肺機能高めたい」というブームも来ていたので楽しく読む。尻とふくらはぎと心肺機能。鍛えたい三つが登山で鍛えられる!というかここを鍛えて登山を楽しもう!が本の趣旨なんだけど、読み手的にはどっちが先でもいいな。 トレーニング方法なども載ってるけど、それよりも「登山ボディとは」の思考を知れるのがとてもよかったです。 オタクは新ジャンルにハマると無限に情報を追い求め読み込み咀嚼して吸収する生き物である、をあまりにも体現してる最近。知りたい知識を手に入れていくのってほんとに楽しいな。
  • 2025年6月6日
    日経トレンディ 2025年5月号 [雑誌]
    一番良かったのは「登山はネガとポジがしょっちゅう切り替わる、朝起きたときは行きたくないし、登山口ではテンション上がって、一時間も登ると飽きるけど、頂上では最高、下ってるときは早く帰りたいけど、帰宅してシャワー浴びて、全体通すと『まあなんかよかったな』になる」というインタビュー。ハードルが一気に下がる素晴らしいインタビューだと思う。 アプリ特化の登山入門は「今から始める」のとっかかりとしてすごくいいと思う。ヤマップとか、使い始めると面白くて暇さえあればインスタみたいに見ちゃうけど、存在を知らないとそれもできないし。YouTubeチャンネル良く見てるヤマレコとか、登山は特にアプリが大事だなと感じるので。 情報をコンパクトにまとめてあって「いきなりそんなに言われても分かんねぇよ!」とならない作りなのがさすが。 余談だけど、日経トレンディ、開くたびにフォントの書体と文字詰めが男性向けだなぁと感じる。 余談その2。ここ最近の雑誌は大体dマガジンで読んでます。
  • 2025年6月5日
    TRAILHEAD軽量登山最前線ロングトレイル(Vol.2)
    とんでもない熱量と志、官民一体、地元の人たちへの惜しまぬ説明、ワークショップ、それによって浸透した「みちのく潮風トレイル」という途方もない魂の道程。存在は知っていて、縁あってルートを調べたこともあったのだが、その成り立ちは復興支援の四文字以上のことは知らなかった。とんでもない。冒頭インタビューの密度たるや。「全道程踏破」が採用条件のトレイルセンター自体未知の感覚なのに、そこに登場してくる生きた人たちのまばゆさや。ムック本ってここまでできるんだ…という雑な感動もありました。すごいな。わたしも一度は歩いてみたい、みちのく潮風トレイル。
  • 2025年6月5日
    PEAKSアーカイブ 山ごはんガイド
    全体的に登山レベルが高い(初心者にとっては)ので、いつかやってみたい!と夢見るよりは、素敵なお伽話を覗かせてもらった気持ち。しかし「山ごはんは登山初心者が最初に憧れるポイント」というところをきちんと掬ってくれるところには毎度ほっとする。
  • 2025年6月5日
    ランドネ 2025年 5月号
    これまで読んだ中では登山ファッションの毛色が違った。原色ではないけど黒でもない。こういうバリエーションがあるとあれこれ用意するのも楽しいね。 趣味登山(これから始める)において「親子」はかなり大きめのテーマなので楽しく読んだ。わたしの父は、かなり強引に自分の思想を押し付けるところはあるのだが、こと登山に関しては一度たりとも強要されたことがないなぁと気付いた…分からない、長子のわたしだけ運動神経がまったくなかったからかもしれないし、下に二人いる状態で趣味登山に第一子を連れて行く余裕がなかったのかもしれない。聞いたら教えてくれるかもしれないが、まあそんな昔の話より、結構大人になった今唐突に山に興味を持ち始めるようなこともあるので、息の長い趣味というのはいいものだな、という話を大事にしたい。 梅雨入り前ラスト、今週末は晴れておくれ〜。
  • 2025年6月3日
    山と渓谷 2025年 4月号
    山と渓谷の中では比較的ナンパというかミーハーな特集だけど、初心者のわたしの一ヶ月程度の観測範囲ではジャンル・登山の方々はミーハーな初心者にかなり優しい。興味持つ前は「闘志なき者は去れ」ぐらいのジャンルだと思ってたけど「興味を持ってない人にグイグイ布教はしない」「でも興味持ってくれたらあらゆることを教えるし一緒に楽しみたい、楽しもう!」みたいなスタンスが多いのかなと感じる。これは新規参入者にはすごくありがたい。わたしも山に登ってそこで限定の手ぬぐい買いたいよ〜!
  • 2025年6月3日
    モノ・マガジン (2025年6-16号)
    モノ・マガジン (2025年6-16号)
    オタクこそ登山にハマりやすい感じは確かにあるんだけど、本書では登山における「計画性」と「記録性」についてmont-bellの会長が触れていて、なんか納得したのだった。オタクは計画を立てることとそのためにあらゆることを調べるのが好きだし、同人誌出すようなオタクは特に自分の思ったこと・考えたことをまとめて記録して形にしたい欲が強い。合致。
  • 2025年5月31日
    子ども版 これで死ぬ 外遊びで子どもが危険にあわないための安全の話
    子ども版 これで死ぬ 外遊びで子どもが危険にあわないための安全の話
    自己責任は突き放しではなく、自ら学び知識をつけ実践することだとつくづく思う。怖さを正しく知り、怖さに正しく対応する。いや〜〜〜しかし川も海も山も、鈍感でいてはならないとしみじみ思う!怖い!怖さを知ってよかった!
  • 2025年5月31日
    低山手帖
    低山手帖
    日本全国の低山の登山道をガイドブック的に紹介する本かと思いきや、写真は一切なくイラストもごく一部。ひたすら文章で読ませるのだがまぁ面白い。実際に登ったストーリーを、歴史や土地柄に思いを馳せながら綴られており、山関連齧り始めたばかりの人間には新鮮で楽しくてすごいよかった。自分の地元の山もあったりして、この山岳信仰は確かに聞いたことがあるなとか、なんとなく肌に馴染むな、というのもあったりして。何より登山が楽しそうなのが伝わってくるので行きたくなる。でもこれも、完全無知から少し抜けて山の名前やレベル、土地勘などが少しついてきたから楽しめてるのかも。
  • 2025年5月31日
    これからはじめる山歩き
    これからはじめる山歩き
    好日山荘が出してる本だからかmont-bellの商品が全く載ってないの、日本の山歩き導入本として色んな意味で斬新。でもこの本自体は動画だと分かりにくい全体図なんかが写真やイラストで図解されてて分かりやすく感じた。写真やイラストが大きいのも見やすい。
  • 2025年5月31日
    山と溪谷2022年3月号「山ごはん大全」
    新規参入者のブームに乗っかった姿勢を鼻白まないって何より大事なマナーだと思う。山でごはん食べたいってワクワクする動機だね🗻
  • 2025年5月28日
    天官賜福 2
    天官賜福 2
    素っ頓狂なキャラクターたちがトンチキな事件に巻き込まれては特に何も解決しないまま秒で進んでいく展開に、な、なんだこれは?文化の違いか?!と驚愕していたのだけど、文化の違いではなく原作者のヘキなのだ、と教えられて合点がいった。何一つ彼らのこと分かんねぇまま進んでいたので相当寝落ちしてしまったんだけど、過去編?第二巻?に入ってから一気に面白くなってきました。チュートリアルが終わった感覚。いやしかし長いチュートリアルだな…。面白くなかったら投げ出してたけどがぜん面白くなってきたのでオッケーです。
  • 2025年5月16日
    成瀬は信じた道をいく 「成瀬」シリーズ
    オーディオブック第二弾。 「成瀬は天下を取りに行く」を聞いていたときは成瀬に対して好きとか嫌いとか積極的な感情はないと思っていたのだが、こちらを聞いて、自分が思った以上に成瀬を好きになっていたことに気付く。というか「好きになる」「好きになっていると気付かせる」書き方になっているのかもしれない。 みらいちゃんが小学生コミュニティの中でゼゼカラを馬鹿にされて傷ついたり(ここの島崎の、成瀬を一般論で肯定しないところがまたいい)、お父さんの偏向的な愛情の真摯さと裏腹の滑稽さに笑ったり、篠原が「うちの成瀬!」と言ったところで湧き立ったり、前回島崎が離れることで不安になった成瀬と同じ不安を島崎が感じたり…キャラクターへの理解が進んだ分「信じた」はより面白く感じられた。 篠原がすごくよかったな。斜に構えてるように見えつつも根っこから育ちのいいお嬢さん。あの成瀬の二人目の相方で、成瀬をきちんと好きになってる。親切で真面目で面倒だろうに成瀬にSNSの使い方を教え、「お見合いさせられそうになって…」なんていう結構口に出しにくい相談を、ちゃんと成瀬にできる。かわいい。 問題が何も解決してないのもいい。大きなカタルシスがどっかんどっかん起こる小説じゃないので、篠原は親に気持ちを理解されていないし、みらいちゃんは今いるコミュニティを一生涯のものにはできない予感がする。呉間さんはクレームをやめられないし、お父さんは成瀬のことがいまいち分かってない。城山も、色々あるだろうけど色々あったまま。それでも少しずつ道が見えたり、世界が変わったり、そこに成瀬もいて、成瀬は周囲の変化に気付いていないまま、自分の世界が広がっていく。その広がりの良さが「信じた」はさらに良くなっていて楽しかった。 登場人物たちは地味なりにかなり試行錯誤するんだけど、その試行錯誤が特に何の実も結ばなかったりする。それって書く側からすると相当勇気がいる。伏線ありきの構成というか、全てに意味があって然るべき、みたいな考えが強いので。でもこのシリーズのキャラクターたちは「試行錯誤する」という「人生」を生きていて、それが必ず何かに結びつくわけじゃないけど、結びつかないからといって意味がないわけじゃない、というところにきちんと繋がってくるのがいい。それはラスト、様々な試行錯誤の結果、成瀬が紅白に出るところに繋がってきて、そういう、息を詰めるのとは逆の、深くゆっくり息を吐くようなカタルシスになっていく。そこがとてもいい話でした。 なんかもう2025年の年越ししちゃったのが面白かったな。そういうちゃんと最近の話を読めた(聞けた)のもよかったです。
  • 2025年5月13日
    成瀬は天下を取りにいく
    初オーディオブック小説。聞き始めるまで「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」と混合していたことに気付く。野球で天下取るんやないのかい?!と思ったが取らんのよ。 強い口調の突飛な女子高生、というとめだかボックスを思い出すが、もっとリアリティある割と普通に変な女子高生なのがよかった。変なりに大津に根ざし、変ではあるけど普通に生きてる。200歳まで生きられたらいいね〜とは思いつつもまあ無理だろう、と思う。けれど折に触れて思い出す。そういう空気感がよかった。すごく普通のことで悩むのもいい。面と向かって嫌われるのも。そういう、小さな世界に生きてる成瀬が、世界へ一歩ずつ踏み出してゆく。世界があることを知っていく。明るい青春小説だった。 構成としても、短編集の要素が強くありつつも、最後にすべてがいやらしくなくほどよくまとまっていくのもいい。「仲直りできないと30年悩む」が効いてくるのが、わたしはすごく好きだった。18歳に30年は衝撃だよなぁ。 今回、読書にもう少し時間を割く方法はないか?と考えた結果、これまで遠ざけてきたオーディオブックを遂に試してみた。これが実にいい。洗面や身支度の最中、ちょこまかと動く家事の最中、そして結構時間を取られる運転の最中…と思った以上に聞き進められる。昔、小学生の時分に道徳の時間などに聞いたEテレのえほんの時間などを思い出す。傾聴、に集中できるのもいい。スマホを雑に触る時間も減った。AudibleのCMじゃないが、物語の続きを聞きたいから単純作業を率先してやるようになった。実にいい。しばらく続けてみたい。 オーディオブック初心者だからライトな作品がいいかな、と思って選んだのだが、作風もだが、朗読の技術がさすがなので他の作品でもよかったのかも。でも面白かったから2も聞きます。
  • 2025年5月6日
    地面師たち
    ネトフリでドラマを見て予約から半年ほどかな。図書館の順番待ちが来たので借りてきた。ファイナルベッツ、アノニマス、と最新から遡るように読んだのも予約の順番待ちの関係である。 地面師たち、読み口はライトだし展開のテンポもいい、途中でダレないしエンタメとしてはいいんだけど、やっぱり3作通してハリソン山中のキャラ造詣にハマりきれなかったな…という感想。「こんなやつおらんやろ」はそうなんだけど、なんというか、リアリティを求めてる割にハリソン山中だけ空想上の怪物というか「俺が考えた最強の理解不能犯罪者」にしかなってないのが残念だったな…。理解不能に重きをおくあまり、ただの変な奴になってるというか。全く憧れないし惹かれないというのは、この手の悪役には苦しいんじゃないだろうか。悪役にこそ魅力は必要だよね。 ドラマでの改編部分は、映像にしたときのセンセーショナルさを意識してと監督の嗜好だろうから、むしろ小説版は現実味のところではよかった(ホスト狂になってなかったり、謎に美しく若い女性刑事が出てこなかったり、辰さんが死ななかったり)と思うので、余計ハリソン山中の造詣だけが引っ掛かっちゃったな。でもダーーーーーっと読めたし、次々読みたくなったし、途中飽きたりもしなかったしで、娯楽小説としてはとてもよかったです。 なお、これはピクニック読書のお供に連れて行ったんだけど、ピクニック読書、新緑の明るく風の気持ちよく暖かな外でシート敷きながらのんびり読書するの、本当に気持ちがよかったのでオススメです。
    地面師たち
  • 2025年5月4日
    山と食欲と私 18
    山と食欲と私 18
    今夏、趣味登山の父と低山を登る予定が入った。数年前に行ったときはスニーカーと防災リュックで装備したのだが、ギアが物足りないとテンションが上がらない。別件で、泥汚れに強い靴が欲しい予定もある。というわけで、mont-bellやKEEN、ワークマンなどでギアを物色しつつ、「山と食欲と私」を全巻読み直した。 18巻、山岳耐久レースに参加する瀧本さんたちに差し入れをしたい小松原さんと、そんなおせっかいは迷惑だからやめろという鮎美ちゃんで喧嘩するエピソード。小松原さんの「別ジャンルに自分のペースでコミュニケーション取ろうとするメリットデメリット」と、鮎美ちゃんの「自ジャンルの神を守るために村ルールを振り上げるメリットデメリット」、どちらにも共感性羞恥を煽られる。でも、コミュニケーションってこういうことの積み重ねで深めて行くんだよなぁ…と、今回の再読で改めて思った。 山頂でトランペットを吹きたいけど迷惑だからやっぱり辞める…と言い出した若者に「回りへの配慮は大事だもんね」と同調だけ示して「やりたいことへの努力」を提示してあげられなかった反省とか、カップラーメンの汁を捨てようとしてバチクソに怒られてるときの心境とか、【失敗】への解像度が高くてすごい。 なんにせよライトな読み口だから一気読みに向いてるね。わたしはシューズとザックとシャツがほしいな〜。
  • 2025年5月3日
    天官賜福 1
    天官賜福 1
    三体を読み切れなかったわたしに読めるだろうか…とドキドキしながら開いて、案の定序盤で「この人(人じゃないけど)たちの様子がおかしいと感じるのはやはりわたしがこの文化に馴染めてないからなんだろうな…」と思ったりもしたんだけど、最後まで読んでみて、文化の違いによる違和感は絶対的にありつつも、普通に様子のおかしい変なやつが続々出てくる話だということがよく分かった。謝憐は多分変な奴筆頭なんだけど、こっちの感覚的にまだ一番「分かる」のが変な感じで、それも面白かったな。引き続き2を読みまーす。
  • 2025年4月15日
    黙って喋って
    黙って喋って
    ヒコロヒー氏が勧めた「アボカドの種」を書いた俵万智氏がほとんど同時期に大絶賛していたのがこの本で、だからわたしの中ではなんとなく対の気持ちでいたし、一緒に読みたいなぁと思っていた。 「とんでもないものを読んでしまった」というのが率直な感想だ。 読みながらずっと「これはとんでもない」「やばい」「なんだこれは」「良すぎる」「とんでもない」「待って」「マジ無理しんどい」とオタクらしく大慌てしていた。良かった。恋だった。人の大きな流れの中に一瞬だけ存在する「恋」の瞬間を、右と左の手のひらでそっとせき止めてすくい上げ、当人にはすくい取られたと感じさせないまま「はいどうぞ」とお出しされたような、そんなリアリティと信じられないほど上手すぎて気持ちいい言語化と苦しくてしんどくてつまんなくて辛くて愚かしい恋の弾けるような輝きがあった。 読んでいてよだれが出てくるようなクズ男やダメ男がたくさん出てくる。恋に落ちないのが無理な男たちだ。泣いている女たちは「大事にされていない」ことに気付いたり気付かないふりをしたりわたしは絶対、こんな男を好きにならないと息巻く姿がもう恋そのものだったりする。 「景太くんのことを好きになる、ということは、未来の香山を探せオーディションに自ら腕を回し奮って参加するということで、そんなとんでもないオーディションで見事な合格を蒔ち取ろうという女など、まともであればいるはずがないのである」 たまらない。 あとがきにある「共感しましたと言われると、おいなにしとんねん、ちゃんと幸せになれと思う」という言葉に、また一つ、この本を好きになる。なにもかもよすぎる本でした。
    黙って喋って
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