ネバーホーム

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- 糖@inwatermelon_2026年3月9日読み終わった南北戦争、インディアナの農場で暮らす主婦コンスタンスは、体の弱い夫に代わり、男のふりをして戦争に参加する。 試行錯誤して原文を活かそうとしたであろう柴田元幸による独特な訳文は好き嫌いが分かれるだろうけど、朴訥で拙く、時にはっとするような情景を突き付けてくる主人公の語りは、まるで子どものちぎり絵のように無垢な鮮やかさに満ちている。 本来そこにいるべきでない人による戦争物語であり、文体の雰囲気からも、カート・ヴォネガット・ジュニアの「スローターハウス5」を思い起こし、重ねて読んだ。あの主人公よりは、この主人公のほうがだいぶタフ(むしろスローターハウスの主人公は夫に似ている)だけど、女性性という違ったレンズで、戦争の時代に弱い立場が被る理不尽、残酷さがズームアップされていた。 「neverhome」という言葉は著者による造語であり、かつ作中に一度も登場しない。表紙に不穏に浮かぶこの響きが常にあり、希望と諦念を両手に読み進めて行った。読み終えて、後に残ったのはだれしもの想像を超えるような喪失感で、まさにneverhomeとは言い得て妙だなと思った。 なんだか、人が読んでみたいと思うような魅力的な感想が書けないし、わたし自身もう一度読むかと言うと、結構食らってしまったので、相当に間を置くことになると思うけれど、間違いなく面白い、素晴らしい本です。数ページ捲ってみて、文章がお口に合うならば是非!
