誰がネロとパトラッシュを殺すのか――日本人が知らないフランダースの犬

誰がネロとパトラッシュを殺すのか――日本人が知らないフランダースの犬
ディディエ・ヴォルカールト
アン・ヴァン・ディーンデレン
塩ア香織
岩波書店
2015年12月11日
1件の記録
- 夏至@pixied82025年9月19日読み終わったベルギー文学というのは難しく、これと言って見つからないため今回の課題は「フランダースの犬」が中心になりつつある。ただその小説はイギリス作家の創作。作家はベルギーを訪れたことがあるが、現実と虚構が混ざっておりベルギーではほとんど認知されていなかったらしい。本作はフランダース人である著者が原作・アメリカ映画・日本アニメとフランダースの歴史と現実を織り交ぜながら文化比較した本。おおむね面白かったけど、日本人がフランダースの犬はどこ?と押し寄せ、創作と現実の差にがっかりするから、創作物に因むものを設置してほしいと要望してるみたいな話はやりすぎでは?と思った。世界の端のアジア人、嫌われてないだろうか。すごい雑な例えだけど、海外で日本を舞台にした銀魂みたいな作品が作られて(断っておくけど銀魂はそれなりに好きだ)、日本に来た外国人が日本人はなぜ洋服を着ているのだ、着物やチャイナドレスを着ているはずだ、アニメの像を設置してくれ、みたいになったとしたら興醒めしないか? 日本では自己犠牲を払ってでも誠実であることが美徳とされていたから、この作品が受け入れられたというけど、現代でもそうだろうか。鬼滅の終わりが炭治郎がむざんを道連れに死んでしまう作品だとしたら、と思うと…なんかまぁ伝説的になる気もするね。 本のタイトルがちょっと内容と一致してないかも。