火の後に

2件の記録
- ricochet@ricochet2025年6月3日読み終わった借りてきた単行本未収録作品を中心に集めているとのことで、パルプマガジンに載っているような探偵小説の翻訳などの軽い作品も入っており、それがまたいきいきとかわいらしく訳されていて楽しく読んだ。娯楽小説系については多分この訳だからこそいっそう楽しく読めるんだろうなという気がする。読み慣れないし苦労するかなあと思っていた戯曲のところも、大正の香り漂う台詞回しが心地よくて、案外おもしろく読んでしまった。 印象的だったのはダンセイニの「人馬のにい妻」。別訳で何度か読んだことのある作品であり、名作だとは思っていたけれど、今回改めて読んで、その青春の香り、みずみずしさにくらっとするようだった。これは私が当時より歳をとったせいもあるかもしれないけれど。あと、ロレンスの「アドルフ」も、こどもの頃の動物を飼う高揚と野うさぎの子の生命感がなんとも懐かしい。