

ricochet
@ricochet
幻想文学、ミステリ、SFが好きです
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- 2025年8月3日6月の本マーク・トウェイン,アルチュール・ランボー,シャルル=ルイ・フィリップ,ヴワディスワフ・レイモント,フーゴー・フォン・ホーフマンスタール,M・R・ジェイムズ,中谷宇吉郎,中野重治,二葉亭四迷,北原白秋,北園克衛,堀辰雄,安部公房,宮本百合子,尾崎翠,山川方夫,岡本かの子,岡本綺堂,泉鏡花,石井桃子,石垣りん,石川欣一,茨木のり子,西崎憲,谷崎潤一郎,遠藤周作買った
- 2025年8月3日廃墟建築家ヘルベルト・ローゼンドルファー,垂野創一郎買った
- 2025年8月3日ナイフ投げ師スティーヴン・ミルハウザー,柴田元幸買った
- 2025年8月3日シナバー 辰砂都市エドワード・ブライアント,市田泉買った
- 2025年7月29日石灰工場トーマス・ベルンハルト,飯島雄太郎読み終わった人生を賭けた論文を書くために、過酷な環境の石灰工場へやってきたコンラート。人生と夫婦関係のどん詰まりで彼が妻を殺すに至った経緯がほぼ全編にわたり又聞きの形で綴られるが、この語りの形式が屈折したリズムと妙な軽さを生み、悲劇のはずがどうにも喜劇のように読めてしまう一因になっている。さすがに終盤は痛ましかったけれど。コンラートの絶望は普遍的なものであり、彼の脳内での逡巡は痛ましいのだが、日々の行動の描写は悲劇から遠ざかってしまう。 語り手の私が生命保険の営業というのもまた奇妙な設定で、本文の九割はコンラートの喋っていたことなんだけども、たまに自分の営業成果についてしれっと紛れ込ませてくる感じは嫌いじゃない。コンラートは論文を全く書けずじまいだったのに、この作品自体は(特に真摯な動機があるようにも見えない)語り手が人から聞いた話を無造作につらつらと書き連ねたように見える形になっているのも味わいがある。章立ても改行もなく一見読みにくそうではあるものの、苦いユーモアが好みなのもあり意外にリーダビリティもよく面白かった。
- 2025年7月28日シナバー 辰砂都市エドワード・ブライアント,市田泉気になる
- 2025年7月27日まぼろしの馬イサク・ディネセン,田辺欧,酒井駒子気になる
- 2025年7月27日ナイフ投げ師スティーヴン・ミルハウザー,柴田元幸気になる
- 2025年7月3日未来散歩練習 (エクス・リブリス)パク・ソルメ,斎藤真理子借りてきた読み終わったコーヒーを飲み、歩き、ご飯を食べ、ドーナツを食べ、というような生活のリズムと、人々の間の友情の距離感がとても心地いい。望む未来をたぐり寄せるための練習として今を繰り返し生きていくこと、の意味するところは分かるようでいてはっきりとは分からないけれど、過去と現在と未来を何気ないリズムの中に繋ぎとめる作者の言語化のセンスにはびっくりする。
- 2025年6月22日カーペンターズ・ゴシックウィリアム・ギャディス,木原善彦借りてきた読み終わった地の文でも会話でもナレーション的な説明がされず、読者は情報の断片を拾いながらストーリーを作り上げていくことになるが、それは陰謀論を作り上げるのとそう変わらない行為のようにも思える。作中の各人物は、その人について話している人が誰か、対話の相手が誰かによって印象が揺れ動き、読者にとって信頼できる人物は見当たらない。謎めいた言葉の連なりは、今起きている会話や動作の描写の中に、テレビで流れている映像の描写や作品内外のテキストをシームレスに織り込みながら流れていき、幻惑されるような美しさを感じさせる。言葉そのものが、今起きていることのレイヤーを分裂させ、上塗りし、つぎはぎしていくかのような。説明のなさや明暗の描写の美しさから、途中までは映画を見てるみたいだと思っていたけれど、これは小説ならではの体験だった。
- 2025年6月21日小さな手袋小沼丹買った
- 2025年6月21日回送電車堀江敏幸買った
- 2025年6月21日イワン・デニーソヴィチの一日ソルジェニーツィン買った
- 2025年6月21日歌の祭りル・クレジオ,管啓次郎買った
- 2025年6月21日帰れない探偵柴崎友香気になる
- 2025年6月19日ソルジェニーツィン短篇集 (岩波文庫 赤 635-2)ソルジェニーツィン気になる
- 2025年6月17日歌の祭りル・クレジオ,管啓次郎気になる
- 2025年6月13日魔の聖堂ピーター・アクロイド,Peter Ackroyd,矢野浩三郎借りてきた読み終わった17世紀と現代のロンドンが時を超えて交錯する怪奇小説、ということで、解説によると現代パートに過去の地名が紛れていたり過去と現代で意味が違う単語が使われたりと技巧が凝らされているとのこと。そこも分かれば過去と現代が入り混じっていく様をもっと楽しめるんだろうな。ふわっと読んでいたらはっきりした種明かしパートがなく謎が色々と残ってしまったので反省。過去パートの時代の暗黒っぷりがなかなか迫力があり、一番楽しめたポイントかもしれない。
- 2025年6月4日影犬は時間の約束を破らないパク・ソルメ,斎藤真理子借りてきた読み終わった冬眠小説は素晴らしい。私が他にぱっと思いつくのは「ラピスラズリ」と「ムーミン谷の冬」ぐらいだけど。 平易な一人称の文体がするっと身に馴染むようでいて、しかし私の頭からでは絶対に出てこないだろう言葉が出てくるたび、そのずれが世界に立体感や余白を生み出していく。例えば「言葉は怖くて、言葉は楽しい。脳は素晴らしく、私は脳がほんとに好きだ。」とか、他にも色々。解説で「誤差を含めて泡立てたようなふっくらした質感」と表現されているのがしっくりくる。ただ文章を読んでいるだけで心地よく、じんわりと回復していくような作品。
- 2025年6月3日未来散歩練習 (エクス・リブリス)パク・ソルメ,斎藤真理子気になる
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