

ricochet
@ricochet
幻想文学、ミステリ、SFが好きです
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- 2025年9月13日孤独な旅人ジャック・ケルアック,中上哲夫買った
- 2025年9月10日アーモンドの木ウォルター・デ・ラ・メア,和爾桃子読み終わった幻想怪奇と児童文学、どちらの風味もありつつ、かつ文学の香りが濃く匂い立つような短編集。あとがきにある通り、デ・ラ・メアの文章は俯瞰をとらずそれぞれの人物からの視点に寄り添うが、そこには慈しみだけではなく、ひやっとするほど透徹した眼差しを感じる。時々、この人はもう何百年も生きてきたのではないかという気がしてしまう。デ・ラ・メアの作品は全体に神秘の靄がかかっているような読み心地だが、その源は情景描写の美しさや事実のあやふやさだけではなく、この眼差しにもあるのかもしれないと今回思った。人生の寂しさ、哀しさ、陰の部分をそのままに見つめて愛おしむありようは心惹かれるものがある。
- 2025年8月31日より大きな希望イルゼ・アイヒンガー,小林和貴子読み終わった第二次世界大戦下のウィーンを舞台に、半分だけユダヤ人の血をひく少女エレンを主人公として戦争を描いているのだが、作品中を流れている時間はまるで今流れているかのよう。一度きりの過去を何度でも今として立ち返らせ、作家自身、過去の子供たち、未来の子供たちを救うための物語。そうした物語を作り上げるために、どれ程のエネルギーが必要だっただろうと思う。ひとつひとつの言葉が複数の意味や謎を秘め、共鳴し、箍がはずれて世界がばらばらになりそうなエネルギーをはらんでいるけれど、ぎりぎり繋ぎとめられている。あるいは新しく繋ぎ直されているのか。
- 2025年8月3日6月の本マーク・トウェイン,アルチュール・ランボー,シャルル=ルイ・フィリップ,ヴワディスワフ・レイモント,フーゴー・フォン・ホーフマンスタール,M・R・ジェイムズ,中谷宇吉郎,中野重治,二葉亭四迷,北原白秋,北園克衛,堀辰雄,安部公房,宮本百合子,尾崎翠,山川方夫,岡本かの子,岡本綺堂,泉鏡花,石井桃子,石垣りん,石川欣一,茨木のり子,西崎憲,谷崎潤一郎,遠藤周作買った
- 2025年8月3日廃墟建築家ヘルベルト・ローゼンドルファー,垂野創一郎買った
- 2025年8月3日ナイフ投げ師スティーヴン・ミルハウザー,柴田元幸買った
- 2025年8月3日シナバー 辰砂都市エドワード・ブライアント,市田泉買った
- 2025年7月29日石灰工場トーマス・ベルンハルト,飯島雄太郎読み終わった人生を賭けた論文を書くために、過酷な環境の石灰工場へやってきたコンラート。人生と夫婦関係のどん詰まりで彼が妻を殺すに至った経緯がほぼ全編にわたり又聞きの形で綴られるが、この語りの形式が屈折したリズムと妙な軽さを生み、悲劇のはずがどうにも喜劇のように読めてしまう一因になっている。さすがに終盤は痛ましかったけれど。コンラートの絶望は普遍的なものであり、彼の脳内での逡巡は痛ましいのだが、日々の行動の描写は悲劇から遠ざかってしまう。 語り手の私が生命保険の営業というのもまた奇妙な設定で、本文の九割はコンラートの喋っていたことなんだけども、たまに自分の営業成果についてしれっと紛れ込ませてくる感じは嫌いじゃない。コンラートは論文を全く書けずじまいだったのに、この作品自体は(特に真摯な動機があるようにも見えない)語り手が人から聞いた話を無造作につらつらと書き連ねたように見える形になっているのも味わいがある。章立ても改行もなく一見読みにくそうではあるものの、苦いユーモアが好みなのもあり意外にリーダビリティもよく面白かった。
- 2025年7月28日シナバー 辰砂都市エドワード・ブライアント,市田泉気になる
- 2025年7月27日まぼろしの馬イサク・ディネセン,田辺欧,酒井駒子気になる
- 2025年7月27日ナイフ投げ師スティーヴン・ミルハウザー,柴田元幸気になる
- 2025年7月3日未来散歩練習 (エクス・リブリス)パク・ソルメ,斎藤真理子借りてきた読み終わったコーヒーを飲み、歩き、ご飯を食べ、ドーナツを食べ、というような生活のリズムと、人々の間の友情の距離感がとても心地いい。望む未来をたぐり寄せるための練習として今を繰り返し生きていくこと、の意味するところは分かるようでいてはっきりとは分からないけれど、過去と現在と未来を何気ないリズムの中に繋ぎとめる作者の言語化のセンスにはびっくりする。
- 2025年6月22日カーペンターズ・ゴシックウィリアム・ギャディス,木原善彦借りてきた読み終わった地の文でも会話でもナレーション的な説明がされず、読者は情報の断片を拾いながらストーリーを作り上げていくことになるが、それは陰謀論を作り上げるのとそう変わらない行為のようにも思える。作中の各人物は、その人について話している人が誰か、対話の相手が誰かによって印象が揺れ動き、読者にとって信頼できる人物は見当たらない。謎めいた言葉の連なりは、今起きている会話や動作の描写の中に、テレビで流れている映像の描写や作品内外のテキストをシームレスに織り込みながら流れていき、幻惑されるような美しさを感じさせる。言葉そのものが、今起きていることのレイヤーを分裂させ、上塗りし、つぎはぎしていくかのような。説明のなさや明暗の描写の美しさから、途中までは映画を見てるみたいだと思っていたけれど、これは小説ならではの体験だった。
- 2025年6月21日小さな手袋小沼丹買った
- 2025年6月21日回送電車堀江敏幸買った
- 2025年6月21日イワン・デニーソヴィチの一日ソルジェニーツィン買った
- 2025年6月21日歌の祭りル・クレジオ,管啓次郎買った
- 2025年6月21日帰れない探偵柴崎友香気になる
- 2025年6月19日ソルジェニーツィン短篇集 (岩波文庫 赤 635-2)ソルジェニーツィン気になる
- 2025年6月17日歌の祭りル・クレジオ,管啓次郎気になる
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