世界の食べものーー食の文化地理
2件の記録
えい@shibamoti2026年5月24日読み終わった資料系@ 自宅世界を巡り、日本の食文化研究に貢献した筆者による食文化の入門書。内容としては三章構成。 第I部は主にアジア圏、オセアニア、マグレブ(北アフリカの方)の諸民族の食文化の解説。具体的に何を食べるか、食具や調理法、食事の形態などまで章立てて触れられているのが分かりやすい。 Ⅱ部は日本の食事。我々にとっては当たり前のことでも、俯瞰した視点から解説されると特徴的な点が多々あると気付かされる。 Ⅲ部は世界と食べ物の関わり。I・Ⅱ部と重複する部分もあるが、米、茶やコーヒー、酒、などといった食文化に影響力の大きい食べものが登場する。 特に印象的だったのは、「ごはんと、ごはんのおかず」という類いの主食副食という概念が必ずしも世界共通ではないということ。確かに西洋の食卓ではパンのおかずが肉料理、という風ではない。 また、トウガラシが世界の料理に与えた影響の大きさには驚いた。 それに、馴染み深いと感じていた食物でも、歴史を辿ればほんの百年二百年程度の付き合いのものも非常に多くあり、食文化の変遷に思いを馳せてしまう。そんなことを思う今も、現在進行形で文化は変わっていっているのだ。 「世界の食べ物」というタイトルに反して言及がある地域が偏っているのは、I部の文章の多くが元は同名の事典に寄稿したものだからだそう。 筆者があとがきと文庫版あとがきで触れているように、80-90年代という激変の時代を経、この本が発行された当時から日本も世界もさらに食の形が変化した。 ただ、数え切れないくらい海外に足を運び、食を追究し続けてきた筆者の文から得られる知見はとても多いと感じた。味の素や日清などの企業とともに研究をした実績もあり、特にアジアや東南アジアに関しては興味深い話がまだまだありそうなので、文庫にない写真も掲載されているという元の本も読んでみようと思う。

