

えい
@shibamoti
なんでも読むタイプの備忘録。
絵本、エッセイ、マンガ、食べ物、小説少し。
感想は簡易な自分の主観メモ。
- 2026年9月17日
ようかいりょうりばんづけ澤野秋文読み終わった絵本@ 自宅料理番付を作ろうとしているとうふこぞうたちが目を付けたのは、ボロボロのとうふや。ぼそぼそしたとうふは見事番付入りして、それから……という顛末までを描く絵本。 妖怪や動物、人間のタッチはコミカルで表情豊かな味わいがあり、楽しい。 ド派手な絵柄ではないけど、登場人物たちが個性際立っており、妖怪というものを印象深く描くのが上手な作家さんなのだなと感じた。 それにしても、妖怪と人間の味覚はかなり違っていそうだ。 妖怪世界で番付で上位になるのは、ぼそぼそしていたり硬かったり、人間世界では美味しくないと思われるような食べ物のようだ。 その辺りの設定も面白かった。 お話としては、妖怪人間双方に大団円という感じで終わり、さっぱりしていてそれも良かった。 あと江戸時代からこのかた、ランキングという概念は日本人に愛されているなあと思う。 今も昔も、世間の評判は気になるね、などと思いながら読了した。 - 2026年9月17日
ぎょうれつのできるスパゲッティやさんふくざわゆみこ読み終わった絵本@ 自宅ぎょうれつのできる~の絵本シリーズ。今回はスパゲッティやさん。 どんなお店の話なのかなと思ったら、なんとお店屋さんの話ではなかった!ともあれ、みんなで美味しいスパゲッティを食べられる素敵な話には違いない。 レッサーパンダくんはちょっとおまぬけだったけど、困った時はお互い様!で助け合いしていく姿はえらいし、わらしべ長者みたいな面白い展開。 そしてスパゲッティや材料のイラストは文句なしに美味しそうで、その上巻末にはレシピまで。 手厚くお膳立てをしてもらい、読み終わる頃にはすっかりスパゲッティの口になってしまった。 - 2026年9月16日
かこさとしの食べごと大発見 1加古里子読み終わった絵本@ 自宅まさにタイトル通り、日本人に馴染み深いたべものの絵本。 子ども向けの絵本というには内容がかなり細密で、1993年というかなり昔に出た本だとしても硬派で古風な言い回しもある。 ただ、それだけ非常にしっかりコメやミソに注目した本でもあり、料理の種類をなぞるだけではなく来歴や調理方法まで事細か。 情報量が多く、力も気持ちも入っていることが伝わってくるようだ。 あとがきの「食事は未来への願い」という言葉、その内容には作者の強い思いを感じ、心に残った。 食べ物に感謝し、素材をよく知りたい気持ちが強まるような、熱い絵本だ。 作者の経歴が添えられているのを見て、「え?このかこさとしさん、そのかこさとしさんだよな?」と驚いたのだが、東大の理系卒(しかも博士号あり)の、バリバリの理系の方なのだそう。 絵本作家として有名な人だけに意外に思える経歴だったのだが、色んな分野の人が子どもの読める絵本に携わっているというのはとてもありがたい環境だなと感じた。 - 2026年9月2日
100このたまごももろ読み終わった絵本@ 自宅ほしのおうさまからのお願いで、届けられた100この卵で料理を作ることになったネズミのモリー。 1個、2個と卵をカウントしながら作られる様々な料理、デザート。色んなものを作っても、100個を消費するのはなかなか大変だ。そして待ちきれなくて早くやってきてしまった王様に出した、シメの素敵なデザートは……。 卵の残りが減っていくのが面白い。優しくキュートなタッチで描かれる、美味しそうな料理と可愛い動物たち。 シメを飾る特別なデザートが、なんと私の大好物だったので、なんだか嬉しくなりにこにこしながら読了した。 - 2026年8月28日
着物のえほん高野紀子読み終わった絵本@ 自宅着物にスポットを当てた絵本。 着方やパーツの名前、着物そのものや帯・生地の種類、文様や季節ごとの着こなし、着物文化の変遷……などなどとても盛りだくさんの中身。着物に関しての基礎知識を良い感じにダイジェストにしてくれている感じ。説明も丁寧で、イラストも優しい上に美麗だ。 説明自体は易しく分かりやすいけど、内容も文字も多いため、本当に小さな子には難しそう。その分小学校高学年~大人でも役に立つ内容な気がする。 華やかな着物や小物、可愛いらしい動物の家族が季節や行事に合わせて色んな着物をまとっているのを見るだけでも、楽しいは楽しいと思う。 着物を着て外出した先での振る舞い方のコツや、着物のために便利な道具、手入れの仕方まで書かれており、着物に全然詳しくない身としては純粋に勉強になるなあと思った。 浴衣ですらほとんど着たことがないので、素直に感心してしまった。 図説するのに絵本という媒体はもってこいだし、素敵な絵本だと感じた。 - 2026年8月28日
エルフの料理帳ロバート・トゥーズリー・アンダーソン,森嶋マリ読み終わったレシピ本@ 自宅表題通り、トールキン世界におけるエルフの料理をイメージしたレシピ本。 注意としては、トールキン財団など本家の公認本ではない点。ということはファンブックなのだろうか?扱いと立ち位置がよくわからない。 内容は作中で出た料理の再現レシピというより、あくまで「イメージ」レシピ。 レシピのイメージとして設定されているシーンがかなり細密で、登場する人物名や固有名詞も非常に多い。しかもイメージ本が特に有名な指輪物語に限らず、作品全般のエルフに渡るので、トールキン作品にある程度詳しくないと全くピンとこなそうだ。 案外料理の写真が多くなく、大半のレシピを文章と食材から想像することになる。表紙の写真が美味しそうだっただけに残念だった。 レシピの内容としてはちゃんとしているように感じたが、それなりに手がかかる物が多い。前菜やメイン、デザートに飲み物とジャンル分けされて記載されている。 食材は日本ではメジャーではなさそうなものもちらほら。正直実用には向かないし、張り切って作る雰囲気でもないかなと思いながらも、筆者のイメージするトールキン世界のエルフ像が見えたのは興味深かった。 - 2026年8月26日
おすしが ふくを かいにきた田中達也読み終わった絵本@ 自宅ミニチュア写真作家の作者による写真の絵本。 タイトルにあるおすしが服を買いに行く話の他、アイスやソーセージ、いちごなど色んな者(?)たちが街に買い物に出かける。 ミニチュアで作られた街並みは見ているだけで面白い。 この品物をこんな風に見立てて使うのか……と目から鱗の気持ちになり、感心する場面も多々ある。 主役になるおすしたちの他、犬だとかおじいさんだとかの通行人的な登場人物があちこちで再登場してくれるのも、なんだか間違い探しに没頭するような嬉しさがある。楽しい絵本だ。 - 2026年8月16日
世界をまどわせた地図エドワード・ブルック=ヒッチング,関谷冬華読み終わった画集・写真集資料系@ 自宅実際に地図として描かれた、実在しない場所や地形や生物のエピソード、そしてその地図自体を集めたフルカラーの本。ナショナルジオグラフィック。 アトランティスやムー大陸などの有名な場所から、なんと2000年代に至るまで地図(グーグルマップに!)に載っていた存在しない島まで、「幻」の存在の形は多岐に渡る。 絵巻物みたいな装画のとても立派な地図に載っている場所なのだから、もちろんその場所は当然存在するのだと思いがちだ。 書店で手に取ったり、もっと昔書物が限られた人しか見られない時代であれば、きっと疑うという発想がそもそも浮かばなかっただろう。 しかし地図を書く側や国家の都合、観測者・探索者たちの勘違い、そして意図的な嘘によって、地図というのは実に簡単に姿を変える。 古代の遠い土地の伝説、中世の宗教に密着した冒険に連なるもの、大航海時代の浪漫と悲劇、近代の探検における発見と偽装。 種々のエピソードが興味深かった。血なまぐさいものも、愉快でないものも含めて、地図が刻んできたのは人間の歴史の積み重ねだなと感じる。 - 2026年8月14日
江戸呑み久住昌之,江戸呑み連中,海原大,飯野亮一エッセイ読み終わったレシピ本@ 自宅江戸における「呑み」にスポットを当てた、対談、コラム、レシピの本。 料理担当は江戸の食文化を参考に江戸料理を再現するお店「芝浜」の海原氏。対談はコラム筆者飯野氏と、久住昌之氏。久住さんはとりわけ江戸に詳しいわけではないけど、再現料理に関しての現代の呑兵衛の素直な感想は、料理の味が想像しやすくなり嬉しい。 居酒屋の文化の発端はまさにここ、江戸から。豊かな江戸には様々な店があり、食べ物があり、昼からお酒を飲む人もいたそう。お酒の飲み方は今とは違うが、飲兵衛の気持ちはあまり今と変わらなそうだ。 コラムは知っていることから知らないことまで書かれており、楽しく読んだ。 写真や浮世絵も豊富なカラー本でパラパラ眺めるのも良い。 ページ数が殊更多いわけでなく、レシピも込みなので、本としては食文化の深掘りというよりずっとライトな印象はある。ただ、その分身構えず気楽に楽しめた。 - 2026年8月14日
うちのねこ高橋和枝読み終わった絵本@ 自宅「うち」にやってきた、元野良の猫。その猫が「うちのねこ」になるまでの絵本。 野良だけに警戒心が強くて、お迎えしても隠れてしまい、まともに姿すら見せてくれない。ようやく姿を見せてくれるようになっても、すぐ毛を逆立てて威嚇し、作者さんを引っ掻いてしまう。 打ち解けるまでの道のりの長さと、その間粘り強く猫と一緒にいて信頼関係を築こうとした作者の気持ち。 今では甘えん坊になったというが、最初のその一年は思うだけでなんだか自分事のようにドキドキハラハラとしてしまう。 作者さんも、もちろんねこも、お互い歩み寄るため頑張ったんだな……と胸が熱くなる。 にじみの味わいを生かしたタッチのイラストは柔らかな雰囲気。 猫の毛の質感を巧みに生み出している。 イラストも優しくてとても素敵。 - 2026年8月11日
ヨーロッパの装飾と文様海野弘読み終わった図鑑資料系@ 自宅装飾・文様とその様式についての図説本。 タイトル通りヨーロッパが主眼に据えられているが、文様に関して言えばルーツがアジア・古代オリエントとヨーロッパに収まりきらないこともあり、一概にヨーロッパで言いきれないような世界との繋がりを感じる。 ちょっと眺めてみようという気持ちで手に取ったら、文様自体の概念や定義みたいな解説部分からスタートする本で、思ったよりヘヴィでびっくりしてしまった。ともあれ、ゆっくり読み進めてなんとく読了。 文様の歴史や様式の広がりなどの一章、具体的な文様の種類を見ていく二章、文様を応用した装飾(建築や装飾品、その他)などにピックアップした三章という、三章立てで展開する。 個々の文様を深堀すると言うよりはダイジェスト的に見ていくという印象。 文様や様式を知ることは、ある種言語的……という解説文を読んで、目からウロコという気持ちになった。 難しそう、というか実際に難しい部分もある本だが、読み込まず眺めるだけでも楽しいと思う。 フルカラーだし、表紙の箔も綺麗でゴージャスだし、中身もさまざまな文様を見ることができて面白いので。 - 2026年8月11日
メキシコのごはん銀城康子,高松良己読み終わった絵本@ 自宅世界のごはんのシリーズ、メキシコ編。 中南米に位置するメキシコは、ジャガイモ、トマト、トウモロコシに唐辛子と、現在世界中で欠かせない馴染みの食材の原産地。もちろん原産地だけあって、それらを使用したラインナップの料理はとても多く、食べ方も様々。中でも唐辛子とトウモロコシの使用方法の多彩さには驚かされる。 地形的に高所が多い場所なので、昼食がしっかり、夕食が軽めという、高所あるあるの食事風景のようだ。 トルティージャや豆料理がよく食べられるようだけれど、カカオ入りの飲料やサボテンなども食べるのだそうで、土地柄を強く感じる。メキシコ料理、食べたくなってきた。 - 2026年8月1日
中華満腹大航海酒徒エッセイ読み終わったレシピ本@ 自宅中華料理に魅入られ、中国各地を食べ歩いて来た筆者の、お気に入りをまとめたエッセイとレシピの本。 広大な中国をあちらへこちらへと旅し、実食しているフットワークにまず圧倒される。有名なものだけでなく、かなりローカルな料理を地方の小さな村で食べることもザラのようで、熱い思いを感じる。 筆者が迷いに迷った末に決めた『三つの基準』から選抜された料理の数々は、まさに大航海の記録を綴った航海日誌。とはいえ全然三つに収まり切れていないのは筆者自身も本文で触れている通りで、ご愛嬌だ。 端々から料理への情熱を感じ、勢いと熱量の迸る文章は食欲を刺激する。食の描写はとても詳細。好きなんだなあという気持ちが伝わり、とても良い本だと感じた。 作者は飲兵衛で、健啖家のよう。食べ物の話を見ていくにつけよく食べるなあと思うのだが、気持ち良い食べっぷりというのは良いものだ。一般的な日本人の味覚に合わない食事からも色んな気づきを得、味覚の幅を拡張しているさまは、素敵だなと思う。 コラムには多少、そして終盤にはややデリケートな話題が出る。中国料理が多彩な素材を用いるゆえに、避けられないことなのだと思う。 「食べたい人は食べる。食べたくない人は食べない」……筆者はこの章でそう述べている。自分が気に食わない行動を『間違い』『野蛮』としてマイノリティに押しつけ禁止することへの憂慮に、共感した。 私も正直それは食べない、やめてほしいというメニューはあった。それは私にとって到底食べ物することが出来ない動物だからだ。ただ、私(と私の周りに)に直接害がないところにある限り、私が無理だと感じたことを相手に声高に訴えて規制しようなんて気はない。それは、驕りだろう。 人は食べねば生きてはいけない。たまたま多数派として容認された食材を食べていることに胡座をかいて他者を糾弾すれば、いずれ自分にも跳ね返ってくるように思う。 時代の流れで国は変わり、人は変わり、料理の形も変わっていく。この時この瞬間しか食べられないもの、見られないものはあるのだなと本書を読了してしみじみ感じた。 まだまだ書ききれなかった地方の話、料理の話がたくさんあるということで、続刊が出ないかなあ……という気持ちにさせられる本だった。 - 2026年8月1日
えほん北緯36度線小林豊,小林豊(画家)読み終わった絵本@ 自宅北緯36度線という一本の線。大きな鳥とともに、線の上にある各地の旅へと出かける。 土地が変わり、建物や生活のスタイルが違っても、生活の風景には何処かしら共通する部分がある。それは全く違う環境に見える草原でも、砂漠でも、海辺でもそうだ。 夕方から始まる風景を描く、作者の絵の美しさ。温かみを感じるような、優しさも印象的。 人の手で引かれた線は時代によって変わっていく。でも人と人との繋がりは、困難があって途切れそうになっても、行き来が難しい時代にあっても、完全に絶えることはないのかも。 たくさんを語る絵本ではないが、なんだかしみじみとした気持ちになった。 - 2026年7月29日
マンガ読了@ 自宅くまが身近なところから遠いところまで、さまざま出かけた先での食べ物と出来事を綴るコミックエッセイ。つまり、作者であるナガノさんの食べ歩き録みたいなもの。身近なところ……近場のスパや浅草、高尾山など、そこそこ行きやすい行動圏内と思われる都内の各所から、遠くはなんと海外、台湾まで。台湾、海外にしては近い方だが、いきなり海を越えるのはなかなか予想外で面白かった。 作者のイラストやマンガを見ているといつも感じるのだけれど、単純そうな絵柄に見えて、仕事がものすごく丁寧で描き込みも細かく、構成・構図が素晴らしい。この作品はフルカラーの本だけど、各コマやイラストのカラーリングを見ると、フルカラーの意味がしっかり感じられるくらいよく出来ている。風景や料理の絵も、ちゃんと写真資料ありで丁寧に描いているんだろうなと思える。あと、字が可愛らしく読みやすいのも嬉しい。 食べ歩き系コミックエッセイに重要な、「食べ物が美味しそう」というシンプルにして最大のネックみたいな点ももちろん難なくクリアしている。超画力!というタイプの絵ではないけど、要点を押さえつつ、くまの表情やオノマトペの表現力がものすごくてかなり私の好みにフィットした食描写。 作者は細やかなところは細やかなのだが、一方で突然深夜のジムの後にラーメンを食べてに行ってみたり、食べ放題前に色々食べてしまったり、ジャンクなものを愛していたりするような、しょうもなくもなんだか人間味がある部分も多い。でもその飾らない素直さがとても好きで、このコミックエッセイの良さにもなっていると感じた。失敗もあるけど、何処に行っても楽しむ部分をちゃんと楽しんでいるところも好感。 2020年以前に描かれた本なので、くまの行き先には当時と変わらない部分もあれば変わった部分もあるだろう。でもなんだか聖地巡礼してみたくなるような魅力のあるマンガだ。 再読。こちらに未登録なので改めて。 - 2026年7月29日
はじめての梅しごと 梅シロップをつくろう高野紀子,髙野紀子読み終わった絵本@ 自宅優しいイラストと易しい手順で教えてくれる、梅シロップの作り方、梅しごと。 イラストを見ているだけでも楽しいが、最後まで読むと実際にやってみたくなる。そのくらい、解説が分かりやすく丁寧。 シロップ作りに使う瓶は、子どものやけど防止のために煮沸消毒ではなく食用アルコールでの消毒としていたり、発酵との付き合い方の細かな解説もあったりと、万事においてとても親切だ。 梅仕事は大きな瓶を使ってやるのが当たり前だと思っていたのだが、小瓶を使うやり方もあるのを知ってハードルが下がった。 梅シロップを使ったレシピ、砂糖や梅の種類の使い分けによる味の違いまでも細かく書いており、自由研究にも良さそう。良い絵本だ。 - 2026年7月28日
トレッキングinヒマラヤ カラー版向一陽,向晶子エッセイ読み終わった@ 自宅表題通り、ヒマラヤの山々をトレッキングしたその旅行記。日記的な風情の本だ。4章構成を半分ずつご夫婦で書かれている。写真もありのカラー版。 国内外のさまざまな山を歩いたことがあり、登山に関しては素人よりずっと踏み込んだ経験を持つ筆者たちだが、それでもヒマラヤというのは別格の存在なのだなという印象を抱いた。 ごく素直な内容で、旦那さんの方が山に関して広く詳しい知識を持っているようだ。ご夫婦二人とも気取ったところのない、良い意味でも悪い意味でもごく普通の文を綴られるので、それほど山に詳しくないものでも雰囲気はつかみやすい。 その中で、のどかに見えそうな風景で雪崩に飲まれて人がなくなっていたり、山の上では今も見つかっていない遭難した登山家がたくさんいたりと、淡々と心に堪える話にも触れられている。山に登らなくても人は生きていけるが、山に登りたいと強く思うような人がいるから人間の世界は広がっていったのだろう。 また、トレッキング自体だけでなく、トレッキング中の食事事情や出会った人々、動植物のことも、あれこれと触れられているのが良かった。 章の時系列がぱっと見よく分からないのが残念な点。2章➝3章➝1章➝4章なのかな。それとも1章と4章が逆なのか。何となくで読めはするが、年代が明記してあった方が分かりやすかったかも。 2000年代の初めに本が出版された後、カトマンドゥは大地震で激変したと言うし、他にもさまざまな天災や国際情勢の変化もあり、ヒマラヤ周辺の環境はこの頃からさらに大きく変わっただろう。 文中では、この頃からすでに登山客や家畜が増えたことによる環境破壊への懸念が記されていた。 人が特に悪気もなく、ただほんの少し今より豊かに生きようとするだけで自然環境は大きく変化してしまう。失うのは簡単だが、取り戻すのは非常に難しい。そして貧しさの中を限られた手段で生きて行かなければならない時、環境云々を案じる余裕は人にはないだろう。 筆者たちもほかの旅行者もまた、経済的にゆとりがあるからこそヒマラヤで旅行会社にお膳立てしてもらい登山が出来る。筆者たちがそのことを当たり前に享受して疑問を抱いていないかというと、やはり思うところがありそうだと感じた。 生きる場所の違いは覆せず、人間一人に出来ることはとても少ないが、何かに気づいた時に人はどう動くべきなのか。あるいは動かないべきなのか。この本を読んでみて、そのことに思いを馳せた。 思いのほか色んな方向に思考を動かすきっかけになる本だった。 - 2026年7月17日
読み終わった絵本@ 自宅ごくありふれた現代の風景から始まる、ちょっと不思議な物語。 子どもの目からは見えないものがあることに、小さな頃は不満があった、確かにそうだった。大人になったらきっともっと色んなことが出来るようになる、早く大人になりたい……なんて子どもの頃は思っていたものだけど、大人の目からは逆に見えないものもあるのだと今は感じる。 そんなものがまさにこの絵本の中には描かれていて、ほんのり怖いような、それでいて心弾むような展開が魅力的だった。繊細なイラストもとてもマッチしており、良い。 そして不思議な出会いには、もしかして不思議な再会もあるのかもと思えるようなシメ。余韻も感じさせられる、素敵な絵本だった。 - 2026年7月16日
旅して見つけた! 地方に伝わる素朴なレシピ 世界の郷土菓子郷土菓子研究社・林周作エッセイ読み終わった@ 自宅旅をし、現地のお菓子を食べ、時には作るという趣旨の本。レシピと旅のログが合体したレシピつき旅行記の雰囲気。 断片的な旅の記録と写真がそのまま載っているため紀行文というよりは「ログ本」というのが良いのかも。旅で出会ったお菓子を再現可能なレシピも幾つも掲載されている。味の感想もあるのがありがたい。 カバー範囲としては西・東・南欧、南コーカサス、中東、アジア。「世界」というには少ないという見方もあるだろうが、自分の足で巡って実食しているのだから驚異的な数だと思うし、種類としても多い。 あちこちで出会ったままにお菓子と人々の写真が載っている感じなので、菓子の詳細に関しては分からないものもある。が、実際駄菓子感覚で売られているものにあまり詳細がないパターンもありそうだ。とにかく普通見かけないような、珍しいお菓子の写真がたくさん。 筆者の旅は自転車主体のヒッチハイク・地元の善意の人に宿を求めることも多いスタイル。飛び込みでホームステイとか野宿もあり、バックパッカー的な逞しさを感じる。ただ当時はともかく今の世界情勢でやるのは厳しそうだ。 現在筆者は実店舗を閉じ、ウェブ通販ではまだ菓子販売をしているよう。詳細は分からなかったが新たな試みもしているらしい。この本からもそんな取り組みからも、筆者は根っからの冒険者気質なのかもしれないなと感じた。 - 2026年7月13日
するりベント酒久住昌之エッセイ読み終わった@ 自宅週刊連載していた食べ物エッセイから一部抜粋し、加筆してまとめたというエッセイ集。タイトル通り弁当で飲むのがコンセプト。 コロナ禍の連載だったそうで、春夏秋冬とともに当時の出来事が記されている。振り返ってみると懐かしかったり、大変だったなあとしみじみしてみたり。こんなにも前のことなんだっけ、と時の流れを感じる。 いつもながらちゃらんぽらんな筆者だが、今回も例に漏れず。大体の場合、容易にご機嫌になり、適当なことを言っている。でも、ものすごく豪華で特別な品や状況じゃなくても機嫌良く食事が出来るって、結構大事なことなのかもしれないと思う。 弁当じゃないじゃん!とか酒飲んでないじゃん!というツッコミ所もあるなんでもありなところも気楽で、それはそれで良い。 しかし一部抜粋なら、ほかの連載は収録されないということで、アーカイブはされないまま終わるのだろうか?ふと気になった。
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