クマゼミから温暖化を考える

2件の記録
あんどん書房@andn2026年7月25日今年も蝉シーズン真っ盛り。そして間も無くセミ会(※食べる)もある。ちょっとでもセミに親しんでおこうと読んだ。 本書を読めばクマゼミの知識が増えるのはもちろんなのだが、それ以上に大切なメッセージは科学におけるエビデンスの重要さに関する部分だろう。自分のような一般人は「温暖化でクマゼミが増えてるんだってさ〜」と言われたら「へ〜」と納得してしまうが、じゃあ科学的にそれでいいかって言うとそんなわけがない。ちゃんと仮説-実験の証明プロセスが必要になってくるのだ。 本書は構成がものすごく丁寧になっていて、まず温暖化の基本的知識から入る。長期的な地球の温暖化と温室効果ガスによるヒートアイランド現象を区別した上で、何でもかんでも温暖化に結びつけてしまう陰謀論的態度と、逆に温暖化なんて大丈夫という(資本主義的な経済利益が背景にある)楽観論、どちらにも釘を刺す。 次にセミ以外の研究例を紹介しつつ、温暖化と生態系の変化について実証することの難しさを示す(絶滅や分布縮小の研究は本当に難しいらしい)。 そこまでお膳立てしてようやく、第6章からセミ研究の具体的内容に入ってゆくのである。 温暖化によって変動するパラメーター(気温と湿度)を用いてさまざまな実験を行っているが、そもそもセミは生き物なので卵の発生に一年、羽化までに七年という非常に時間と手間がかかる研究対象だ。ものすごい根気がいるだろうなあとひしひしと伝わってくる。 そして最終的にクマゼミが増えた要因(というより、他のセミが減っている要因)が明らかになっていくあたりは読んでいて何らかのカタルシスが感じられるのだった。