懐中小話: 140文字の幻想奇譚集

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- はづき@paroles11182025年9月30日読み終わったKindle Unlimitedあるような、ないような、現のような、幻のような。140文字の幻想奇譚集。 こういうの、好きです。日常の片隅にチラつく陽炎のような、違う世界が垣間見える瞬間。 好きなお話を1つ載せさせてほしい。 透明な蝶 冬空に、透明な蝶がひらひらと舞っている。人の目にも鳥の目にも、その姿が映ることはない。 透明な蝶は、蜜を求めず、翅を休めず、ただひたすら飛び続け、薔薇の葉に透明な卵を産みつけた瞬間、この世から消えてなくなる。 そして次の年、冬空がまた冴えわたる頃に、透明な蝶がひらひらと舞うのである。