京都食堂探究
5件の記録
120@1202026年8月21日読み終わったたとえば、「きつねそば」と「たぬき」。 大阪には「きつねそば」が存在せず、京都の「たぬき」は、いわゆるきつねをあんかけにしたものだという。しかも京都では油揚げを刻む。この時点でややこしくて、また興味深い。 しっぽくうどんをめぐる話も面白い。江戸時代にはしっぽくが江戸にも進出したものの、鴨南蛮やおかめに人気を奪われ、定着しなかった。一方、大阪ではしっぽくうどんはほとんど残らず、代わりに「かやくうどん」がある。そして京都では、しっぽくを卵でとじたものが「かやくとじ」となり、それが丼になると「木の葉丼」になる。ああ、ややこしい。ややこしいが、これらの料理がそれぞれ独立して存在しているのではなく、ある料理から別の料理へとつながっていく系譜が浮かび上がる。 さらに、「鴨なんば」「鳥なんば」の「なんば」が「南蛮」の略ではなく、ネギの産地だった難波に由来するという話も、言葉だけを見ていると気づきにくい。京都で「黄そば」「キーソバ」といえば中華麺を指すというのも同様で、同じ日本語でも土地が変われば食べ物の意味そのものが変わる。 こうした話が単なる雑学で終わらず、文献を丹念に紐解き、料理名の由来や変遷をたどりながら、実際に店を食べ歩いた結果も交えて検証していく。そのため、ひとつひとつの料理についての話が、歴史、言葉、地域性、そして現在の食文化へと広がっていく。 食べ物は、人の移動や流行、店の工夫、他店との競争などによって姿を変えながら残っていく。そして、いつの間にか「京都らしい」「大阪らしい」という文化になっていく。うどんやそばを通して、そのことを実感できた。




