「マウント消費」の経済学

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- たなぱんだ@tanapanda2025年2月3日読み終わった感想あとがきの中でオマケ的に書かれているクリエイティブ論が、本編よりも興味深かった。「『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(三宅香帆著)はなぜ売れ続けるのか?」の考察のなかで、「もはやタイトルは単なる『本の顔』ではなく、読者にとって自己表現のツールであり、社会的ステータスを示す装置として進化している」という指摘があり、なるほどと思わされた。 一方で、個人的には、本論はどうにも腑に落ちない部分が多かった。流行の存在と、経済発展に伴うモノ・コトの付加価値の増大という、別々の現象をごちゃ混ぜにして「マウント消費」とラベリングしなおしているだけに思えてしまう。消費行動を分析する切り口としては少し強引な印象を受けた。 むしろ、後書きで言及がある「ナラティブ(物語)」をキーワードと位置づけて、「ナラティブ消費」という観点から整理しなおした方が、筆者の言いたいことが明確になる気がする。 精緻に消費行動を分析する本というよりは、ビジネス本的な側面が強いので、「マウント消費」というキーワードに興味を持ったビジネスパーソンは手に取ってもいいのかもしれない