金融詐欺の世界史

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- たなぱんだ@tanapanda2025年2月18日読み終わった感想詐欺の歴史や手口を、豊富な実例とともに解説した一冊。「取り込み詐欺」や「ネズミ講」など、さまざまな種類の詐欺の歴史が丁寧に描かれている。 単に詐欺の手口を読むだけでも十分面白いけど、本書の魅力は、より構造的な視点から詐欺を捉えている点だと思う。特に興味深かったのは、「万引きなどの犯罪と違い、金融詐欺師は資金繰りのために嘘を積み重ねないといけないため、精神的に追い込まれていく」 という指摘。実際、本書にはこんな一節がある。 「逮捕前は華やかなライフスタイルを楽しんでいた人もいる。しかし、ついに悪事がバレたとき、多くの詐欺師は苦しくストレスの多い仕事がやっと終わって、うれし涙を流した。」 この一文を読んで、ふと『リーマンの牢獄』で斎藤栄功氏が語っていた言葉を思い出した。「これで詐欺は終わった」「もう苦しいカネ集めに奔走する必要がない。気持ちがずっと楽になりました」。 森功『地面師』のような犯罪系ノンフィクションが好きな人には刺さる内容だと思う。とはいえ、『クロサギ』や『地面師たち』のようなエンタメ作品ではないので、あくまで真面目な視点から「詐欺」を読み解いた本として手に取るのがいいと思う。