もうすぐエピタフ どうしてプログレを好きになってしまったんだろう♯9第三印象

もうすぐエピタフ どうしてプログレを好きになってしまったんだろう♯9第三印象
もうすぐエピタフ どうしてプログレを好きになってしまったんだろう♯9第三印象
市川哲史
シンコーミュージック・エンタテイメント
2024年2月9日
1件の記録
  • 勝村巌
    @katsumura
    2025年11月3日
    同僚の大久保さんに差し入れてもらった音楽評論本。480ページもあるがスルスルと一晩で読んでしまった。 タイトルにある通りプログレッシブロックにまつわる音楽評論。ロッキングオンで1993年まで原稿を書いていたというので、それはちょうど僕の高2までとなり、ネットや携帯のない青森の田舎者だった僕がクロスビートなどと並んで数少ない洋楽の情報源としてロッキングオンを1番読んでいた頃なので、かなりデジャビュ感があった。 90年代の僕はかなり素朴なハードロック小僧だったが、当時のロッキングオンにはツェッペリンやクリムゾンの記事はまだまだ載っていた気がする。そんなものを何度も何度も読み返したものだ。 この本では2010年代以降のトリプルドラム期→2010年代後半のダブルカルテット期→ライブ引退にかけてのキングクリムゾンのメンバーやフリップの考えていたことが解釈されていて大変学びが多かった。 ロバートフリップという人はキングクリムゾンの音楽的なコンセプトをかなりしっかりした方向性を持って演出しているが、案外共演者たるメンバーによってやることやできることが制限されたり、大きく舵取りされる人なんだなと感じた。 特にライブバンドとして70年代の初期クリムゾンの古典的名曲を今のキングクリムゾンで再解釈/再演したあたりは、ビルリーフリンの存在が大きかったということがよく分かった。 また、70年代のクリムゾンの楽曲というのはほとんど演奏されることがなかったというのも、フリップの性格からするとそうであろうな、とは思うものの、それをしっかりやり切ることをクリムゾンでやり切る、というのはある種の答え合わせのようで素晴らしい。 『ポセイドンの目醒め』とか高校生の頃、故郷の八戸の寒い冬の間、布団の中でよく聞いたアルバムなので、その辺りが大変な技量で再演されているのを聞くのは大変まともな体験に思える。 『暗黒の世界』とか『レッド』の楽曲の最近のライブでの演奏も好きでよく聞いていたので、そういう背景に触れられたのも良かった。 それ以外ではデビットシルヴィアンの話やピンク・フロイド、ニナ・ハーゲンの話なども僕ら世代向けの真っ当に軽薄な文体の音楽評論という感じで大変に楽しめました。 この本を片手に記述されている音源を片っ端からアップルミュージックで聴けるなんて、大変な時代ですわな。 そういえば、最近新しい音楽に触れていないのは、詰まるところ音楽評論を読んでないから、という考えに至った。昔は文章で読んで妄想して音楽に触れる、という順番だったですね。そういえば。 今、49歳ですけど、同世代の方におすすめです。
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