宗教・エスニシティ
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nornacum@nornacum2025年11月3日読み終わった社会学宗教移民難民日系宗教・エスニシティをテーマにした巻。 宗教と移民はそれぞれ別立てにしたほうがいいような大きなテーマだと思うけれど、一巻にまとめられてしまったのは、ひとつに、日本における宗教社会学の相対的な層の薄さがあるんじゃないかと思う。巻末でこそ「宗教二世」の問題が取り上げられてはいるけれど、宗教者や帰依者、その周囲の人々のナラティヴや機微に立ち入るようなデリケートな研究がこの本でも見られない。「日本社会における宗教コミュニティの生き残り方、サヴァイヴの模索」、最終的には「宗教に社会資本としての役割を担わせる」みたいな、ある意味安直な着地点に誘導させられてしまってる気がする。それはそれで重要なのはわかるけれども、もはや到底そんなものを社会に実装できるほどにこの国に宗教が根を張っていないように思う。ぽつりぽつりと成功の事例があったとしても、宗教が日本社会における広範な社会資本に育つなんて、現状とても想像がつかない。 こういう議論をしたいのならせめて、宗教が(良くも悪くも)どのようにメディアやネットで表象されてきた/表象されているか、国家が宗教をどのように利用してきたか/利用しているか/利用しないでいるか、その細密な史的分析とセットであるべきだと思う。

