物理学はいかに創られたか 上

物理学はいかに創られたか 上
物理学はいかに創られたか 上
インフェルト
アインシュタイン
石原純
岩波書店
1963年9月20日
1件の記録
  • 「習慣によれば甘いものは甘く、苦いものは苦く、熱いものは熱く、冷たいものは冷たく、色づいたものは色づいています。しかし本当は原子と空虚とがあるだけです。すなわち感覚の対象を実在であると考えて、習慣的にそう認めてはいるが、真実ではそうではないので、ただ原子と空虚とが実在なのであります。」……「空間そのものが電磁波を伝える物理的性質をもっているということを事実として許すより外にはないので、しかもこの言葉の意味がどういうものであるかについて余り執拗に拘泥しないがよいということになるのです。」 ……  「科学的研究の結果はしばしば科学自体の局限された領域を遥かに超えて、問題の哲学的見解をも変えさせるようになることがあります。」……「哲学的に一旦完成されて広く受け容れられてしまうと、これが種々の可能な進歩の方向の中の一つを指定してしまうので、科学的思想のその後の発展にまで影響を及ぼすことになります。この認容されていた見解に対して反抗が成功すると、いつも予期しない、かつまるで異なった発展を起し、それがまた新しい哲学的見解の源となってゆきます。」……「新しい証拠、新しい事実及び理論のおかげでこれを放棄するのやむなきに至り、今度はそれらが科学の新しい背景を形づくるようになりました。」……「一見複雑な自然現象を、ある簡単な根本的な思想と関係とに帰着させようとする企てはギリシャ哲学から近代の物理学に至る科学の全歴史の上で絶えず続いて来ました。」……「過去の世紀の物理学者たちによって受け容れられたかような見解が、その後は廃れるようになったのですが、」…… 「たとえて言えば、新しい理論をつくるのは、古い納屋を取りこわして、その跡に摩天楼を建てるというのとは違います。それよりもむしろ、山に登ってゆくと、だんだんに新しい広々とした展望が開けて来て、最初の出発点からはまるで思いもよらなかった周囲のたくさんの眺めを見つけ出すというのと、よく似ています。」 …… 「場の実在性」(追記:物理学における「場」とは、空間の各点に物理量(値)が定まっている状態のことで、相互作用を記述するために使われます。例えば、磁石の周りの「磁場」や、電気量を持つ粒子の周りの「電場」は、空間全体にわたって「磁気的な力」や「電気的な力」が及んでいることを表しています。)
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