窓から見える最初のもの

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おいしいごはん@Palfa0462025年11月7日読み終わったなんというか不思議な感覚の本だった。 四種類の物語がそれぞれに動き始めて最終的にそれが交わる、というとよくある構成だけれど、最後になってもほんの少し交差するくらいでふんわり終わる感じだった(最後に載っていたアガサクリスティー賞の選評では、そこを嫌う人が多そうな印象だった)。 個人的には途中にすごくリンクを思わせる話が入るものの、最後の帰着はある種それぞれであるところは何というかリアリティのようなものを感じた。あとは、物語の展開のリズムが面白かった。 物語には関係ないけど、気になった言葉のメモ。 波長というのは、色合いと言い換えてもいいかもしれないね。それまでの経験がその人間をつくり、そして波長は生じる。だから、人は少しずつ違う波長を持っているし、それは日々、変わっていくものでもある。その波長を感じ分ける力を、他の人よりも少し、多めに持っているということかな。波長を持っているのは、なにも人間だけじゃない。人間が作り出す、絵もそうだし、彫刻もそうだし、音楽だってそうだ。感じ分ける力を持っていれば、その作品が何を放っているのか、たとえ背景を知らなくとも、ある程度は理解出来ることになる。(中略)人間と人間の場合も同じことだけれど、一方が静物の場合と違ってそこには、動的な二つのカが作用している。それが交じり合って、場の空気は出来あがる。だから、どちらか一方が全部を作り出しているということは決してないんだけれど、相沢さんのような人はときどき、全部を自分のせいだと考えてしまう。あまりよくない感情を目の当たりにしたとき、自分を責めてしまいがちだ。それが度重なるようなことがあると、とても疲れてしまうんだね。 (pp.334-335のセリフから抜粋)




