少年の夢 (河出文庫 う 13-1)

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句読点@books_qutoten2025年11月14日読み終わった高校生と小学生相手に行った講演録。 以下読書メモ。 創造的な人間になるためには何が必要か、梅原猛さんが実際に会ってきたさまざまな先人たちの例をだしながら、語る。 ニーチェの三つの進化説に即して、まずはラクダのように忍耐の時期、とにかく基礎的なものをしっかり学習する期間、ライオンのように批判的精神を持って常識を疑う目を養う期間、そして赤ん坊のように自由な心で、のびのびと創造する期間。 (梅原さんが語ったわけではないが、おそらくこの三つの段階もぐるぐると行ったり来たりする必要があるのだろう。) 大きな夢を持つ人というのは、心のどこかに大きな傷を持つ人である、という話も。梅原さんの生い立ちはこの本で初めて知った。 学問の面白さとは、ものを知ることだけでなく、発見、新しい仮説の提唱である。学問とは仮説を立てること。 そのためにはまず懐疑が基礎となる。そしてあるとき直感がひらめく。それを実証的に調べる。 懐疑と直感、粘り強い演繹と帰納、体系構成。それが学問である、と簡潔にまとめる。 常に新しいものを創造しつづける。「自分の映画に傑作はない、未来に傑作がある」という黒澤明の言葉。できたもの、完成したものに未練は持たない。 これまでの時代と全く方向転換しなければならない今だからこそ、夢を見なければならない。これまでと同じようなやり方は通用しない。偏差値教育もあてにならない。社会が安定している時の方法だから。