-ゞ- "暗殺コンサル" 2026年3月5日

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@bunkobonsuki
2026年3月5日
暗殺コンサル
暗殺コンサル
カンバンファ,
イム・ソンスン
殺人はなぜ起こるのか。 それは、責任が特定されるからだ。 世界文学賞を受賞した今作『暗殺コンサル』は、殺人の責任を問う作品である。主人公はミステリもののウェブ小説を投稿する物書きで、会社から暗殺小説の依頼を受ける。会社から送られてくる細かい設定資料をもとに、主人公は小説を書き上げる。その物語は、現実に起こされる殺人計画に利用されるのだ。 書いた通りのことが起こる。当然主人公は自分のやっていることに疑問を持ち、会社を恐れるようになる。 本作における暗殺は、武器を用いた過激なものではない。パッと見では他殺だとすら思われないような方法で対象を死に至らしめる。こんな組織が現実にあったら厄介なこと極まりないと思わせられる。 本作を読んでいると、「仮に暗殺の犯人を挙げるとしたら誰になるのか?」という問いが出てくる。しかし誰も明確に犯人たりえないのだ。会社は小説を依頼しただけ。主人公は小説を書いただけ。死に至るまでの行為が細分化されているので、罪に問うことができない。従って責任も生じない。 誰も責任を取れない以上、殺人として立証しようがないのである。「そんなの屁理屈だ」と憤る人もいるだろう。本作の終盤では、そんな憤りに鋭い反論が提出される。誰もが間接的に人を殺していることを、まざまざと暴かれるである。 「人を殺す」ということは自明に思えて、責任を誰かに集約しているにすぎない。開き直りのような、重苦しいような読後感であった。
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