ヒナパパ
@hinapapa
2025年3月14日

人間の建設(新潮文庫)
小林秀雄,
岡潔
読み終わった
人間の建設 小林秀雄×岡潔
知の巨人である二人の対談。
知の広さ深さの基礎教養が圧倒的だと、抽象的な概念から相手の知識量を把握して具体に移行していくプロセスを吹っ飛ばして、いきなり具体的な話を始めるのでとんでもない急流の中にいきなり放り込まれたような感覚になるなあと思いました。
小林秀雄さんが語ったエピソードで友人の骨董屋が酒を飲む時に李朝のいい徳利をいつも自慢して売ってくれないので28年間我慢していたけれども、酔った時に持ち帰って、危篤の時に電報をよこしたら返してやろうと言ってたら、その暇もなくアッサリと亡くなってしまった。その後、息子さんが父親の句集を出版したいので、序文を書く約束をしたと日記に書いてあるので書いてくださいと尋ねてきた。俳句を詠んでいた事も知らなかったが、俳句の中に「小林秀雄に」という詞書きがあり、「毒舌を逆らわずにきく老いの春」「友来る嬉しからずや春の杯」と徳利を持って帰った日の俳句に書いてあり、小林秀雄以外には何の事やらわからない俳句であるけれども、これほど面白い俳句はなかったとあった。
インテリジェンスに満ち溢れた素敵なエピソードだなと思った。
