めもり "安心毛布" 2026年2月11日

安心毛布
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川上未映子
SNSで、20代は将来を思うなら今のうちから稼いだ金を投資に回すべきであるという主張と、人生には適性年齢があるから自由も体力も美貌もある今はむしろ旅行やラグジュアリー品に費やしたい、という主張の投稿を見た際に、なぜか、唐突に川上未映子の存在を知った。 「でも川上未映子は今もmiumiuの服を着こなしているから」 写真に映る彼女は、薄くもたつきのない身体で少女性を追求したシルエットの薄衣を身に纏い、けれどもただ幼いだけにならないよう、小綺麗に化粧を施し、上品で洗練された風格を持ってそこに立っていた。 持ち物から察するに、金の匂いはするのに金の流れが見えない。 この美女は一体… それから1カ月も経たない頃、某ビール会社のCM(大人エレベーター)で短い対談をしている姿を拝見し、始めて芥川賞を受賞した、世間的にも認知度の高い人気作家であることを知った。 本来なら受賞作品の『乳と卵』あたりから入門するべきなんだろうけれども、美しく歳を重ねていく彼女の思想を覗き見てみたくて、エッセイ本である本作を手に取ってみた。 蓋を開けてみたらなんと言うか、多分私達とそう変わらない。 ラグジュアリー品に興味はあるけれど、じゅうぶんに嗜好品の類であることを理解していて、会計をする際に高揚感と罪悪感を感じている。インドア派で極力外へは出たくない。だけど組織に所属する安心感を感じていたいのと、自分の成長、そして他者とのコミュニケーションを求めて読売出版広告の選考委員にチャレンジしてみた話。流行りの物や良いとされる物への好奇心はあって、スムージーにハマってみたり、頂き物で手に入った南部鉄器の急須で鉄分を補給していたつもりが、ガワが鉄で内部が陶器だったことを数カ月してから知り虚無感を感じた話。 オチに笑ってしまって、近くのロフトに寄った際に本当に中身だけ陶器の南部鉄器急須が置いてあった時はニンマリしてしまった。 第1章は私生活のアレコレがふんわりと書き綴られていて、ひらがなを多用しているのが少し読みにくくはあったけれど、どうか第2章まで読んでほしい。 第2章は特に印象に残った話がいくつかあり、妊娠と出産を振り返って、好きなように動けなくなる、歩けなくなる、喋れなくなる、食べられなくなる経験が、老人を一足先にダイジェストで体験してしまったみたいな感覚で、あの時の自分は少女と思春期、成熟期、更年期、老人というそれぞれを一気に駆け抜けていたと表現していた。大変も痛いも忙しいも時間がないも、産前とは完全に質が違う。大抵のことを「大変」と表現してしまう我々とは違い、やはり作家、言葉に説得力があるとしみじみ感じた。 それから、友人が趣味でプレゼントしてくれた手作り燻製ベーコンの話が好きで、私も「スモークって…広がりのことだったんだ…!」と感動してみたいし、手作りを手軽に渡し合える交友関係とそれだけの技術(※重要)が欲しいなと思うなどした。 第2章は女性誌への寄稿文を集めたものなので、ターゲットの年齢層に合った興味関心が上手く散りばめらてあり、文体も読みやすく良かったです。 次は作品も読んでみたい。
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