おとわ "スモモの木の啓示" 2026年3月8日

おとわ
おとわ
@otty1211
2026年3月8日
スモモの木の啓示
スモモの木の啓示
ショクーフェ・アーザル,
堤幸
泣いちゃう。 こんな時代だからこそ今読まないといけないなと思って、仕事帰りに購入。 イラン出身のジャーナリストによる物語。難民としてオーストラリアに移住、検問を受けることのない自由のおかげで執筆できたという。 ちなみに英訳された方は安全性の理由から匿名希望となっていて、すり抜けるような危険性の中、どうにか私は日本で日本語訳を購入できている。そのルートからすると大変貴重な本ということが分かった。 ふわふわと宙に浮きながらイランのとある村に暮らす一つの家族を見守っているような文章でありながら、最後はこの家族の辿ってきた運命と向き合うこととなり、私は心の中で大雨のように泣きました。 あまりにも辛い現実の割に読み進められたのは、その比喩とも読めるようなお伽噺調の表現のおかげかな。 本当に誰かの呪いが働く世界だったら、今はまた違う世界だったのかもしれない。 ちょっと前に読んだ「傷ついた世界の歩き方」 の中に「死者の背後では千の心臓が鼓動する」という文章があったのですが、この「スモモの木の啓示」では「死んでも尚その心臓は鼓動する」といえるほどの死のエネルギーを感じたのでした。 ——————- 家族と一緒にくつろいで笑いたかったし、家族のキスやおやすみの言葉が恋しかった。彼らは大量の涙を流し…・・・・ついにそれが川になった。 人生は大体その人のいないところで決まってしまう。そのことには誰でも腹が立つ。 簡潔さは苦しみに対する一つの反応だ。 人生がこれほど欠陥だらけで平凡なときには、空想の力で現実に元気を与えてもいいんじゃないかってこと。 善良な思想、善良な言葉、善良な行為を信じていた文明がなぜ崩壊し、こんな泥沼状態に陥ったのかをまだ知ろうとしていた。 世界は狂ってしまったと兄さんは言って、何ができるんだと私に訊いた。答えはこれだ。私にできるのは、ただ狂気に呑み込まれずにいることだけだ。 これだけ国が破壊された今、私にできるのは、自分が信じないものに染まらずにいることだけだ。
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved